【遼東の豕】とは何ぞや 独りよがりの自慢は恥をかくことに

大連市内を走るレトロ感の溢れる路面電車(2015年9月)

それぞれの国や地域によって主義主張が異なっていたり、また価値観や考え方に違いがあっても当たり前。そうであったとしても、見聞をしっかりと広めその地の人から嘲られることの無い人間になりたいものです。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

少见多怪 / 見少なく怪多し

  • 中国語:少见多怪   [ shǎo jiàn duō guài ]
  • 日本語表記:少見多怪
  • 出典:漢・牟融(牟子)
  • 意味:見聞が少ないと、ありふれたことでも不思議に思う。その後、転じて見聞が少なく常識のない人を嘲る意味で使われるようになりました。

»記事へ

 

想方设法 / 想方設法

  • 中国語:想方设法   [ xiǎng fāng shè fǎ ]
  • 出典:得失
  • 意味:あれこれ方法を考えること。いろいろ手立てを考える。

»記事へ

 

分毫不差 / 分毫不差

  • 中国語:分毫不差   [ fēn háo bù chā ]
  • 出典:醒世恒言
  • 意味:寸分も違わないこと。どんぴしゃり。

»記事へ

 

辽东之豕 / 遼東の豕(いのこ)

  • 中国語:辽东之豕   [ liáo dōng zhī shǐ ]
  • 出典:後漢書(朱浮传)
  • 意味: 世の中で知られていることを、自分だけが知っていると思い込んで得意がることの例え。当たり前のことを独りよがりに得意に思う。世間知らずのために、つまらないことを誇りに思ってうぬぼれることの例え。
  • 故事:昔、中国・遼東で頭の白い豚が生まれ、珍しいので朝廷に献上しようと河東地方まで来た。そこで見た豚はみな白かったので恥ずかしくなり引き返した。

»記事へ

「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」索引はこちら

「カテゴリー別 成功に拘る中国のことわざ」索引はこちら

 

記事:【少見多怪】ということわざ 【遼東の豕】が現地の常識を理解できるか…

▮想方設法

 大連で走っている中国では珍しい路面電車。運賃は一回1元。

 ある時、乗車した時、運賃箱に一元硬貨を入れようとすると、運転手の横に立っていた見知らぬ乗客が手を出して「その一元、俺にくれ」と言っています。何言ってるのこいつ…

 その人は1元の小銭を持っていなかったので、5元札を運賃箱に入れたようです。しかし、お釣りが出るようなシステムではありません。両替機も無いので、あとから乗車する人からお釣り分の4元をもらわねばならない。だから、運転手の横に立って次の乗客を待っていたという訳でした。

 「想方設法」とは、いろいろと手立てを考えるという意味のことわざ。乗客にしても、運転手にしてもよくもまあ運用方法を考えるものです。妙に感心!

 「あと3元だ」と呟いていた乗客、おおらかなのでしょうかね。

 ところでこの有轨电车(有軌電車)はレールの上を走るので、遠回りしたり、意としない方向へ勝手に行く悪徳タクシーのようなことは無いので、乗っていて安心感があります。それに約100年前の満州時代の電車が今も現役で走っていると聞くと何か誇らしく思います。

 また、乗車賃を払うのにICカードが普及し、現金派はむしろ少数派。このICカードは日本の交通系カードよりもはるかに早くから使われていました。そしてこのちんちん電車、運転手のほとんどが女性。なぜそうなのでしょうか?

 

▮分毫不差

 中国でも今では誰もが使っているスマホのナビ。しかし、20年ほど前は上海でさえもナビはあろうはずがなく、タクシーに乗り行先を告げると運転手が知らないことも…

 そこで、下手な中国語で「○○交差点を左折し、まっすぐ行ったところ」、と言う具合に説明。運転手が車を出したので通じたものと思いきや、すぐに車を止めて通行人に場所を尋ねなおして再び走り出すようなことも。

 一方、最も通じやすいのがその土地の方言。上海であれば上海語の方が普通語(共通語)よりも通じやすいことが間々あります。

 例えばタクシーに乗って「次の交差点を右へ、次を左へ…などの“タクシー用語”を上海語で伝えると、「分毫不差」、どんぴしゃり! ものの見事にはまります。上海語を話さない人は田舎者、遠回りしてやろう、といった悪さも防止。

 また、地の人が使う言い回し、例えばオールド上海の観光スポットである「豫園」のことを地の人が言う「城隍庙」と言った方が間違いがないしカッコイイ、という具合です。

 

▮少見多怪

中国と日本に共通するもののひとつが十二支。しかし、十二番目の亥年に当てられた動物が異なります。日本では「猪(いのしし)」。しかし「猪」とは中国では「豚」のことです。亥年に売れる貯金箱も豚がモデルになっています。

 ということは、干支は何ですかと聞かれた亥年生まれの人は「豚です」と答えている?中国のレストランでメニューに「猪肉」と書いているのは 豚肉のことなのです。

 こんな笑い話も。干支は何かと尋ねられたとある駐在員の奥様。「パンダです」と。つまらん質問をするな、と言う意味でしょうか。

 ところで「豚」に関する「遼東の豕(いのこ)」ということわざが後漢書にあります。誰でも知っていることを、自分だけが知っていると思い込んで得意がることの例えで、あまりいい意味ではありません。

「豕(いのこ)」とは、豚の異名で、「遼東」は中国遼寧省南部一帯を指します。そして遼東半島の南端に位置するのが大連。愛する大連のことを「遼東の豚」と田舎者呼ばわりするとは如何なることか!

いささか憤慨の念を持ちたくなりますが、冷静に考えると、「少見多怪」とのことわざにあるように、見聞をしっかりと広め人から嘲られることの無い人間になるように、という戒めであると理解しましょう。

「成功を収めるための重要ポイント 現場目線で見たツボ」 はこちら

Follow me!