蘇軾の名詞【但願人長久】 中国・中秋節 ロマンチックなお月見はどこに…

中秋節には家族団欒で食卓を囲みます(2017年11月大連)

中秋節の名月を愛で、蘇軾は「但愿人長久」と詠んでいます。遠く離れて暮らす家族や恋人を想う心がにじみ出ています。浪漫の心が溢れているのですが、地上の社会では相反して、どろどろとした現実が渦巻いています。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

包藏祸心 / 禍(か)の心を包み蔵(かく)す

  • 中国語:包藏祸心   [ bāo cáng huò xīn ]
  • 出典:左傳(·昭公元年)
  • 意味:胸に悪だくみを抱いていること。腹に一物有り。

»記事へ

 

不知好歹 / 好歹(こうたい)を知らず

  • 中国語:不知好歹   [ bù zhī hǎo dǎi ]
  • 出典:郑廷玉(金凤钗)
  • 意味:善し悪しのけじめがつかないこと。他人の好意がわからないこと。

»記事へ

 

但愿人长久 / 但だ人の長久を願う

  • 中国語:但愿人长久   [ dàn yuàn rén cháng jiǔ ]
  • 出典:蘇軾(水调歌头)
  • 意味:蘇武の詩「水調歌頭」の一部。少しでも長く生き、千里へだてた名月を共に眺めようではないか、との意のこもった詩。(著名歌手の王菲や邓丽君=テレサ・テンはこの詩に曲をつけて歌っています)

»記事へ

 

扫地以尽 / 地を掃くに尽を以てす

  • 中国語:扫地以尽   [ sǎo dì yǐ jìn ]
  • 出典:漢書(魏豹田儋韩信传赞)
  • 意味:地面を掃いてすっかりきれいにすること。転じて、面目が地に落ちる、体面、威信がすっかり失われることの意。

»記事へ

「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」索引はこちら

☛ 「テーマ別 ことわざ精選」はこちら

 

記事:蘇軾の名詞【但願人長久】 中国・中秋節 ロマンチックなお月見はどこに…

▮無粋な事

 中秋節が近づいたある日、突然、地元税務局の役人が会社にやって来て曰く、「会社が社員に配る月餅に課税する」と。中秋節と言えば中国の極めて大事な伝統行事のはず。それに欠かせない月餅に課税するとは…?

 中秋の満月は、真ん丸でどこもかけることが無く、「円満・完璧」であることの象徴と考えられており、中秋節は別名「団円節」とも呼ばれています。

 普段は別に住まいしている家族が実家に集まり、円形の食卓を囲んで久々の一家団欒を楽しむのです。中秋節は家族を大切にする中国人にとって、一家円満の喜びを満喫するおめでたい伝統行事ということです。

 どこの会社でも、社員とその家族に対して、日頃の感謝の気持ちを込めて月餅を贈ることが習慣となっています。

 そんな悠久の歴史を持つ中秋節の月餅に税金を課すとは、何と「不知好歹」の振る舞い。事の善し悪しがわからないのであろうか、と思わなくもないが、それも詮無いこと。

 

▮月餅の活用

 中秋節に月餅を食べる習慣は明から清にかけて中国中に広まったそうです。今では年中売られているとはいえ、中秋節の月餅は格別なものということでしょうね。

 元々は素朴で日持ちのする素朴なお菓子であったのですが、経済成長と共にアワビが入った月餅や高級ワインとセットされたものなど、年々豪華になってきました。贈りての下心も見え隠れします。

長い歴史の中で続けられてきた中秋節ですが、一面では、大事な人脈への付け届けをする恰好の行事として活用(?)されている現実もあります。

 ただ、あまりにも高級すぎると「禍(か)の心を包み蔵(かく)す」と勘ぐられてしまいます。腹に一物を持つ相手に足元をすくわれないようにと返って警戒されるようです。

 近年は、中秋節のひと月以上も前から月餅のプロモーションが始まり、会社でも社員贈呈用と顧客に贈呈するやや高級のものを注文し準備。顧客には、会社の幹部社員や営業員がそれぞれに配るのが恒例となっています。街に出ても、月餅の入った大きな紙袋を持った人がいて、季節感を感じることができます。

 

▮月餅のクレーム

 お世話になった顧客に月餅を配る、といっても、日本のようにひと箱だけ持って行って「皆さんでどうぞ…」という訳にはいきません。何せ、中国は個人主義の国ですから、実際には、お世話になった担当者や役職者の方など個人に、それぞれ一箱から二箱を贈ることになります。

 すると、中には「あの人がもらって、何故私には無いのか!」とか、「昨年は貰ったのに今年は無い」など、思ってもいなかったクレームを呼び込む厄介なことになりかねません 

 一箱の月餅が原因で「掃地以尽」、大事な大事な面子が地に落ちたではないか、ということのようです。どのようなシーンでも、心すべきは相手の面子、ということです。

 月餅をたくさんもらった方は、それを更に親戚や知人に回し、それをもらった人がまた別の人に回します。頂き物であっても、相手の顔を思い浮かべながら、高級、普通と、ランクを定めて相応の人に回すのです。庶民の生活の知恵とでも言えそうですね。

 

▮ロマンチックな名月

 月餅を巡るこの世のどろどろを、天空の兎は何と見るのであろうかは、知る由もありません。

 が、遠い昔、蘇軾は「但愿人長久」と詠んでいます。どんなに離れていようと、懐かしい人は同じ美しい月を見ることができる、と。遠く離れて暮らす家族や恋人を想う心がにじみ出ています。浪漫の心が溢れているのが中秋の名月です。

 中国での中秋節は、春節と並ぶたいへん重要な日で、国家の祝日になっています。元は名月を愛でながら秋の豊作を祝う伝統行事です。

 意のままにならない中国ビジネスですが、少しでも「円満に」推移してくれれば、という願いを込めて中秋の満月を愛でたいと思います。歌手の王菲が歌う「但愿人長久」を聴きながら…

「成功を収めるための重要ポイント 現場目線で見たツボ」 はこちら

Follow me!