【捉襟見肘】ということわざ 人頼みにせず自力の中国語で…

大連・中山広場の歴史建造物(2017年5月)

郷に入っては郷に従え。考えてみれば、その第一歩は中国語という言葉の壁を克服することでは。思いを必死に伝えようとする、聞き手は、何を言おうとしているのか、懸命に理解しようとする。そこに両者の心が通い合う。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

▮今回のことわざ(五十音順)

 

以心传心 / 以心伝心

  • 中国語:以心传心   [ yǐ xīn chuán xīn ]
  • 出典:六祖大师法宝坛经·行由品
  • 意味:言葉や文字を使わなくても、互いの気持ちが通じ合うことのたとえ。
  • もとは仏教用語。言葉や文字では表せない奥深い仏教の真髄を、師から弟子の心へ伝えることをいったそうです。

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捉襟见肘 / 襟を捉えて肘見ゆる

  • 中国語:捉襟见肘   [ zhuō jīn jiàn zhǒu ]
  • 出典:庄子(让王)
  • 意味:襟を合わせると肘が露出する。転じて、困難が多くて手が回りかねる、にっちもさっちもいかないこと。

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入乡随俗 / 郷に入りて俗に随う

  • 中国語:入乡随俗   [ rù xiāng suí sú ]
  • 日本語表記:入郷随俗 
  • 出典:庄子(山木)
  • 意味:新しい土地に来たら、その土地の風俗習慣に従うことがよい処世術であるとの意。郷に入っては郷に従え。

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体贴入微 / 体貼 微に入る

  • 中国語:体贴入微   [ tǐ tiē rù wēi ]
  • 出典:瓯北诗话·杜少陵诗·四
  • 意味:「体贴」とは相手の身になり思いやること。その思いやりが微に入り周到であること。かゆいところに手が届く。

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唯口出好兴戎 / 唯口は好きを出し戎を興す

  • 中国語:唯口出好兴戎   [ wéi kǒu chū hǎo xìng róng ]
  • 出典:墨子(尚同中)
  • 意味:ものを言うことは良好な効果や作用を果たすと共に、相手が仇に変化することの始まりでもある。

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記事:【捉襟見肘】ということわざ 人頼みにせず自力の中国語で…

▮唯口出好興戎

 中国人のある夫婦。子供にも恵まれ幸せでいっぱいの様子。ある時、奥様が自分の若いころの写真を眺めて「若い時の自分が懐かしいわ」と。横にいた夫が「そうだよな。僕も若い時の君が懐かしいよ」。すかさず奥様は「それ、どういう意味よっ」と。一気に険悪な空気が漂ったそうな。

 古代中国の思想家である墨子はこう言っています。「唯口は好(よ)きを出し戎を興す」と。ものを言うことは良好な作用を果たすと共に、相手が仇に変化することの始まりにもなると。思わず口が滑ってしまったのか、ご主人の「失言」にご立腹の奥様。二人の関係が壊れないことを祈るのみです。

 

▮体貼入微

 さて、中国語をまったく理解しないで赴任したある新米駐在員。彼は赴任前に上司から「言葉よりも大事なのは仕事のセンスだ」と言われたそうです。もちろん赴任当初はまったく中国語を話せなのですから、仕事上では通訳を頼らざるを得ません。

 そもそも、通訳を介して日本語と中国語が行き来しますから、単純に二倍の時間がかかります。それでも、思いがちゃんと伝われば良いのですが、実際にはなかなかうまく伝わらないことが何よりのストレス。

 「体貼微に入る」と、痒い所に手が届くような通訳を求めるのはできない相談です。何しろ、ストレスを感じさせない高いレベルの通訳は、給与もかなりの高水準です。もし、無理をして高レベル通訳を入れたとしたら、社内のパワーバランスが崩れ、マネジメントが困難になることが目に見えています。

 

▮捉襟見肘

 荘子曰く「襟を捉えて肘見ゆる」と。ハイレベルの通訳を雇うことで言葉のストレスは軽減されますが、他方、社員間のバランスが保てない。あちらを立てればこちらが立たず。

 社員や取引先、政府関係者など周囲の人達と気持ちを通い合わせることは何より大切ですが、その重要なツールの内のひとつが言葉。ここをクリアすることが中国での成否を左右します。たとえ、自信が高いレベルの仕事のセンスを持っていたとしても、それを活かすにはどうしても言葉というツールが必要です。

 

▮入郷随俗

 気心が知れた中国人社員とであっても、日本人が「以心伝心」で思いを伝えることなどマジック。物言わずして周囲との疎通ができるわけが無く、言葉を口に出さないことには何も始まらない。

 通訳を頼るのは限定的であるとすれば、自分が中国語を学び通訳を介さずにでコミュニケーションを取れるようになること。そうすれば社内のパワーバランスを崩すこともありません。自力で中国語を学ぶことが、問題解決の着地点であると考えます。

 上手ではなくても自分の口で中国語で話しかけること。どんなにハイレベルの通訳が話すよりもこの方が思いはよく伝わる。おそらく、自分の少ない中国語ボキャブラリーを駆使して思いを必死に伝えようとする、聞き手は、何を言おうとしているのか、懸命に理解しようとする、そういう両者の想いがそういう作用を生んでいるのではないでしょうか。

 言葉の勉強って面白いもので、学ぶ過程で言葉だけでなくその土地の風習なども自然と学ぶことが出来て、結局自分が成功することに対して寄与してくれることになります。

 荘子には「入郷随俗(郷に入り俗に随う)」という有名なことわざがあります。郷に入っては郷に従えとの意味ですが、考えてみれば、その第一歩は中国語という「言葉」の壁を克服することではないでしょうか。他人を頼っていたのでは、自分のイメージどおりの仕事はできません。

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