ことわざ【従容不迫】は悠々とすること 初めての中国式散髪屋と歯医者で…

 

大連・中山広場の歴史的建造物(2015年9月)

サラリーマンにとって転勤は付き物。とは言え、まったく初めての土地で生活を始めると、経験したことのない習慣や風習が多くあり驚かされるとともに、それ自体が大きなストレスとなります。しかし、それを楽しむくらいの余裕が、仕事の成功につながります。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

▮今回のことわざ

 

从容不迫 / 従容不迫(しょうようふはく)

  • 中国語:从容不迫   [ cóng róng bù pò ]
  • 出典:旧唐書(刘世龙传)
  • 意味:悠々と落ち着き払っていること。

»記事へ

 

措手不及 / 措手不及(そしゅふきゅう)

  • 中国語:措手不及   [ cuò shǒu bù jí ]
  • 出典:千里独行
  • 意味:対処が間に合わない。対処のしようがないこと。不意を突かれる。

»記事へ

 

天网恢恢,疏而不漏 / 天網恢恢疎にして漏らさず

  • 中国語: 天网恢恢,疏而不漏    [ tiān wǎng huī huī, shū ér bù lòu ]
  • 出典:老子
  • 意味:天網は目が粗いように見えるかもしれないが、実は悪人を漏らさずに捕まえる。お天道様は厳正で悪事を働いたら必ず報いがある、との意。一方で、今は不遇の身であっても、いつかお天道様は帳尻を合わせてくれる。だから頑張れ、とも理解できます。

»記事へ

 

百里不同风,千里不同俗 / 百里 風同じからず、千里 俗同じからず

  • 中国語:百里不同风,千里不同俗   [ bǎi lǐ bù tóng fēng,qiān lǐ bù tóng sú ]
  • 日本語表記:百里不同風、千里不同俗
  • 出典:史记。
  • 意味:百里も隔たると風(気候)は同じではない。千里も隔たると風習は同じではない。土地が変われば風俗習慣も異なる。所変われば品変わる。

»記事へ

 

喜从天降 / 喜び天より降りる

  • 中国語:喜从天降   [ xǐ cóng tiān jiàng ]  
  • 出典:元・馬致遠(青杉泪)
  • 日本語表記:喜従天降
  • 意味:慶事が天から降ってくる。突然、思いもしなかった目出度いことに遭遇することの例え。鴨が葱を背負って来る。

»記事へ

「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」索引はこちら

「カテゴリー別 成功に拘る中国のことわざ」索引はこちら

 

記事:【従容不迫】 習慣の違いの驚きを楽しむことが成功を呼び込む

▮措手不及

 人は初体験のことには緊張し、またドキドキするものです。それがどんなに些細な事であったとしても。

 中国に赴任して間もない新米駐在員の彼。駐在して一か月もすると髪が伸びてきます。そこで、「中国で初散髪」に挑戦することに。しかし、赴任してから始めた中国語の勉強。日常会話にしてもまだまだおぼつかないレベル。さて、どうしたものか。

 そこで中国語の先生に相談し、ある一言を教わった。「原来一样(元のとおりに)」と。これならできそう!

 ドキドキしながらも、目をつけていた比較的高級理髪店へ。意を決して店内に入り案内された席に座ると、間もなく女性店員さんが来てシャンプー。というよりも頭皮マッサージで、15分くらいたって洗い流してシャンプーは終了。これがとても気持ちがよかった。

 気持ちよさの余韻に浸っていたとき、理髪師がやって来て、「どのようにカットしましょうか」と聞かれ、前日に中国語の先生から教わったとおりの一言を。するとその理髪師は怪訝な顔つきで、「元と同じようにと言われても…」と。そうか、シャンプーによって毛がくしゃくしゃ状態だったことにはたと気がつきました。

 急なことで手の打ちようもないという意味の中国のことわざは「措手不及(そしゅふきゅう)」。理髪師から不意を突かれ、言い出すべき次の言葉がわかりません。他の言い方を教わっておけばよかったと思っても時すでに遅し。

 たった一言だけの急場しのぎの中国語ではどうしようもありません。その後、難儀しながらも何とかカットを済ませることができました。何とも滑稽な散髪デビューであったそうな。

 

▮喜び天より降りる

 人間は生身。

 駐在員生活もベテランの域にさしかかった彼。ある時、歯に痛みがひどくなり、我慢できずに地元の歯医者に行くことを決意。日本人向けのフリーペーパーに掲載されていた広告を頼りにある歯医者に電話予約。

 その歯医者に着くと、何と医師の先生が玄関で出迎えてくれました。更に既に何人かの患者さんが順番待ちしていましたが、その脇をすり抜け治療用の椅子の所まで、自ら案内をしてくれました。これは一体どういうこと?

 いざ、治療が始まり口を開けていると、順番待ちの他の患者が上からのぞき込んでくるのです。私は、倒された椅子の上で口を開けたまま。抗うこともできません。医師が治療器具について、中国製か日本製のどっちにしますかと、聞いてきます。もちろん日本製を指さし、もう大変。

 その頃、一見の患者にも関わらず、厚遇されている理由に気がつきました。

 その医者にとっては日本人の患者は治療単価が高くて儲かるのです、きっと。

 「喜び天より降りる」とは中国古来のことわざ。突然、思いもしなかった日本人患者がやって来た、まるで鴨が葱を背負って来たような。

 

▮天網恢恢

 中国で歯の治療は2~3時間かけて一回で治療を終えます。長時間口を開けるのはたいへんですが、痛いのを我慢するよりはまし。それに何回も通う必要も無し。やっとの思いで治療が終わり、治療費の精算。

 治療費については一旦全額を支払いますが、日本で手続きをすれば事後に7割ほどが還付されます。そのために必要な領収書を書いてもらうことをお願いしたところ、その医師は、「金額はいくらで書きますか?」と。 思いがけない質問に「…?」。唖然としながら一瞬の間をおいて実額で書くことを依頼しました。

 水増しで書いてもらえば自分も儲かるかも…、なんてことをしてもお天道様がお見通し、やめた方が良い。「天網恢恢疎にして漏らさず」というではないか。

 

▮従容不迫

 日本と中国の習慣の違いがあることはもちろんですが、広大な中国ではそれぞれの地域によっても風習や習慣が異なります。「百里 風同じからず、千里 俗同じからず」とは史記にある言葉。百里を超えると気候が違う、千里を越えたら風俗習慣が異なると。

 サラリーマンにとって転勤は付き物とは言え、一面識もない現地の社員の皆さん、まったく知らない土地。そこで生活を始めると、経験したことのない習慣や風習が多くあり驚かされるとともに大きなストレスとなります。

 しかし、「従容不迫(しょうようふはく)」という言葉のように、悠々と対処していけばよい。驚きをむしろ楽しむくらいの余裕が、仕事の成功につながっていくことを忘れまい。

「成功を収めるための重要ポイント 現場目線で見たツボ」 はこちら

Follow me!