ことわざ【竜頭蛇尾】 常に竜頭の上海 自信と誇り でもひとつだけ…

ハクモクレンは上海市の花 先頭に立って道を切り開く(2020年3月大阪)

中国における事業戦略は、やはり現地にどっぷりと浸かって考えた方がより妥当な解が得られるのではないでしょうか。では中国ビジネス上のスタンダードはいったいどこにあるのか? 上海のような最先端の大都会なのか、地方都市なのか。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

十全十美 / 十全十美

  • 中国語:十全十美   [ shí quán shí měi ]
  • 出典:雪月梅传
  • 意味:完全無欠で申し分ないこと。

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飞龙乘云 / 飛竜雲に乗る

  • 中国語:飞龙乘云   [ fēi lóng chéng yún ]
  • 日本語表記:飛竜乗雲
  • 出典:韓非子(難勢)
  • 意味:竜が雲に乗って空を行く。賢者や英雄、豪傑が才能や権力を発揮する例え。誇らしげな自信満々の様子。

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目光如豆 / 目光 豆の如し

  • 中国語:目光如豆   [ mù guāng rú dòu ]
  • 出典:钱谦益(列朝诗集小传·丁集下·茅待诏元仪)
  • 意味:見る目が豆のように小さいこと。見識が浅く目先がきかない、との意。

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龙头蛇尾 / 竜頭蛇尾

  • 中国語:龙头蛇尾   [ lóng tóu shé wěi ]
  • 出典:朱子語類
  • 意味:始めは勢いがあって盛大であるが、最後は衰弱し衰えること。

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記事:【竜頭蛇尾】 常に竜頭の上海 自信と誇り でもひとつだけ…

▮十全十美

 上海市の花は白玉蘭(ハクモクレン)。1986年に制定された真っ白で清楚な花です。「ハクモクレン」は冬が過ぎ春の到来と共にいち早く開花します。そのことから、「先頭に立って道を切り開き、奮い立つ向上の精神」を象徴するという意義が込められているそうです。

 今では地下鉄網が張り巡らされ、街を歩いてもオシャレなお店が軒を並べ、上海には無いものは何もない「十全十美」の都市です。お金さえあれば、こんなラグジュアリーな街は無いのでは、と思わせます。

 しかし、2000年以前上海のその当時はというと、お昼の弁当の発泡スチロールの容器や割りばしが歩道上に散乱していて、それらを跨ぎながら歩いたものです。それに、市内を走る高架道路の建設の真っ最中で、どこに行っても埃っぽいこと。

 

▮竜頭蛇尾

 それが突然変わりだしたのです。2001年にAPEC首脳会議が上海で開催されたことを契機に上海の街は見る見る綺麗になって行きました。上海のような中国の巨大都市は一旦変化を始めると、ものすごいスピードで変化するのでビックリです。

 ほんの数カ月前で街の状況が一変していることが当時は珍しくありませんでした。都市部への進出や事業展開、出店を計画する場合、もう少しそのエリヤの経済が発展してから、などと考えているとおそらく乗り遅れることになると思います。まだ早いのではというくらいが、実はちょうどいいのです。

 そんな上海、10世紀ごろには漁村でしたが、その後、南宋の時代に街が大きくなり、13世紀ごろからは飛躍的に発展し、以来ずっと中国経済を引っ張ってきました。途中には負の歴史もありましたが、今では常住人口は2400万余人、しかもそのうちの約1000万人は外来人口ということですから、人を引きつけ飲み込でいくパワーには驚愕します。

 中国古来の「竜頭蛇尾」ということわざは、最初は勢いが良いが、最後には衰弱するとの意味ですが、上海に限っては例外で、この200年余りずっと「竜頭」として他を牽引しているのです。

 

▮飛竜雲に乗る

 一般の人には手が出せそうにない、上海の不動産価格の高騰も、別の角度から見たら人々の自慢の種になるのですから大変なものです。「プール付きのマンション」が発売されたと聞いて、まあ、中にはそういう高級物件もあるだろうと思いきや、そうではなくマンションの一戸の占有エリヤの中にプライベート・プールが付いたマンションだと聞かされ、度肝を抜かされました。

 韓非子には「飛竜雲に乗る」という言葉があります。竜が雲に乗って空を行く、つまり自信が溢れ誇らしげな様子を言った言葉です。上海の街を行きかう人たちからそんな自信や誇りが伝わってきます。元からの上海人だけでなく、外地から上海にやって来た人たちも同じようです。一様に、「竜頭」で生活していることの自信ではないでしょうか。物価は高くて大変ですがそれを凌駕する魅力が満々としてあるのでしょう。

 

▮目光 豆の如し

 約20年前には既に超高層ビルが林立していて、目を見張る光景が広がっていました。常に変貌と発展を続ける上海の姿を目の当たりにすると、どんな商売でも当たりそうな気がするから不思議です。

 しかし、上海の片隅で商売をするのなら別ですが、中国という膨大なマーケットの開拓をするべく、戦略を上海で考えるのなら、それは詮無いこと。そう、無いものが何もない上海にたったひとつないものは「中国のスタンダード」です。

 上海は中国の中では頭ひとつどころか四つも五つも抜けた街、言わば別世界です。

 従って、上海で中国ビジネス全体を考えようとするのは、例えば、東京で中国戦略を考えるのと同じようなもので、決して妥当な答えが出るとは思えません。

 上海の中からは中国全体の状況は見通せないのです。見識が浅く目先がきかないことを表す「目光 豆の如し」ということわざがあるように、上海でどっぷりと浸かって中国全体の策を巡らすことは、残念ながら失敗の第一歩。

 では、中国のスタンダードはいったいどこにあるのか? 突出した大都会ではなく、さりとて発展が遅れている都市でもなく、適度にこなれた地方都市にこそ、中国スタンダードがあり、そこでどっぷり浸かって戦略を立てるのが成功への道だと思います。

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