中国・三略に【弱よく強を制す】と 巨竜に負けず成功する勝算は何処に

柳に雪折れなし 弱々しく見えても実は強い(大連・労働公園2015年9月)

中国現地のちっぽけな会社であっても、その総経理(社長)の腕ひとつで、巨大企業に勝つことができる。とすれば、そんな痛快なことはありません。周の武王に学び、現地社員の協力を得て、勝ちを目指す物語を書こうではありませんか。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

▮今回のことわざ

 

齐心合力 / 齊心合力

  • 中国語:齐心合力   [ qí xīn hé lì ]
  • 出典:墨子(尚贤)
  • 意味:心を一致させ、力を合わせること。一致協力する。

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柔能制刚,弱能制强 / 柔能く剛を制し、弱能く強を制す

  • 中国語:柔能制刚,弱能制强   [ róu néng zhì gāng, ruò néng zhì qiáng ]
  • 出典:三略(上略)
  • 意味:柔らかいものがかえって力強い者に勝ち、弱いものがかえって強い者に勝つ。「三略」とは中国の兵法書。

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争天下者 必先争人 / 天下を争う者は、必ず先ず人を争う

  • 中国語:争天下者 必先争人   [ zhēng tiān xià zhě bì xiān zhēng rén ]
  • 出典:管子
  • 意味:天下を狙う人は、まず人材を確保することを競い合う。大きな勝負をするときにはどうしても周囲の社員達の支持や協力が必要で、そのことに成功しなければ、勝負に勝てない。

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盘根错节 / 盤根錯節(ばんこんさくせつ)

  • 中国語:盘根错节    [ pán gēn cuò jié ]
  • 出典:後漢書(虞詡伝)
  • 意味:盤根は大木の曲がりくねった根。錯節は入り組んだ節。物事が複雑に入り組んで、解決しがたいことを例えたもの。盤根錯節に遭遇すればこそ、切れる刀の区別ができるのだ、という前向きなことわざです。

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自私自利 /  自ら私(わたくし)し自らを利す

  • 中国語:自私自利   [ zì sī zì lì ]
  • 出典:程颐(二程语录)
  • 意味:ひたすら自らの利益だけを考えること。自分本位であること。我田引水。

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記事:【弱よく強を制す】と 巨竜に負けず成功する勝算は何処

▮盤根錯節

 中国の都会はどこでも車が溢れ、大勢の人が行き交っています。交通ルールを守りましょうとTV広告流されていますが、現実はさてどうでしょうか。無用としか思えない車のクラクションの喧騒、無節操にも見える風景の中に立ち、見上げると、そこは高層ビルが立ち並ぶ巨大都市。

 輪をかけているのが難解な市場の形態。例えば、なぜ大学キャンパスの中に立派なホテルがある? はたまた、以前は軍隊や警察がレストランや貿易会社、不動産業、サウナ等々、儲かりそうな商売を当たり前のようにやっていました。

 それぞれにぞれなりに訳があるのでしょうが、後漢書にある「盤根錯節」とも言えそうな、巨大で且つ複雑な社会に相対して、なかなかスッとは理解ができません。その片鱗を窺うだけでもたっぷり半年はかかりそうです。

 

▮自私自利

 中国で企業活動をするうえで特徴的であることが地方政府との友好関係を持たねばならないことです。しかし、ややこしいのは、外資企業などを許認可し管轄する部門である公機関が、傘下に自らが設立した企業を持っている場合、そこと純民間企業との関係です。事業をスムーズに展開する上で、公機関とは仲良くしなければなりませんし、マーケットの中ではその子会社と競争するという二重構造が存在することです。

 中国には「自私自利(自ら私し自らを利す)」ということわざがあります。時としてその公機関は自らの子会社が有利になるように、突然ローカルルールを作り、或は運用を緩くまたきつくと、自由自在にコントロールすることが可能であり、実際に間々あります。この我田引水ともいうべき事態に対応することも織り込んでおけねばなりません。

 

▮弱能く強を制す

 しかし、考えてみれば「我田引水」的なことは、およそどこの国でも、程度の差こそあれ存在することであり、まして「右手で握手しながら、左手は拳を挙げる」のは世界的には常識。言わば、言うべきは言うという毅然とした態度が求められます。

 大事なことは、到底勝ち目が無さそうなアウエーのグラウンドで戦って、果たして勝算をどこに見い出すか、ということです。

 中国は独特の制度や何千年にもなる習慣を持つ巨竜。こちらは何のバックグラウンドも無い小さな民間企業。

 紀元前11世紀ごろの中国、贅沢の限りを尽くして悪政をほしいままにしていた殷王朝最後の紂王。一方、殷王朝に対抗する周の文王の子・武王は善政を行い人々の信望を集めていました。そこで武王は殷の紂王討伐の戦を起こしました。

 しかし、殷は70万の大軍。周はわずか4万5千の軍勢。しかし、武王の軍は諸侯が結束し同じ目標を持って戦い、結果、武王の軍が勝利し殷王朝に代わって周王朝が誕生しました。

 「柔よく剛を制し、弱能く強を制す」という中国古典のことわざ。圧倒的な差があったとしても、精鋭が団結することによって、大きな相手を打ち破ることができるということです。また、人は集団で作業を行うとき、その集団が大きくなればなるほど人は手抜きをする、というリンゲルマン効果が言われています。

 

▮天下を争う者は、まず人を争う

 強者には強者であるが故の弱点があり、弱者には弱者であるが故の利点があります。巨竜に守られた剛の者はそれ自体が弱点に成り得るということです。いわゆる親方日の丸では消費者によい品質の物は届けることができず、むしろ顧客は大きくない企業であっても良い商品を提供してくれる方を選ぶ、はずです。そこに注力すれば自ずと勝機は見えてくる。

 中国の管子には「天下を争う者は、まず人を争う」とあります。競争に打ち勝とうとする会社の経営トップである総経理は、人心(社員)の掌握に努め、人材の育成に注力するべきだというのです。組織は人によって成り立っている。なかんず会社を牽引する幹部社員については、有能な人材を充てなければなりません。

 どんなに総経理の能力が高くても所詮は一人の人間。できることには限りがあります。よって実働部隊のリーダーとしての幹部社員の活躍具合が、そのまま会社の業績に直結するからです。

 

▮齊心合力

 人材を見つけ育成することと並行して社員間の心を合わせることに腐心しなければなりません。実はこの分野が中国企業の最も不得意とするところです。そこに強者であるが故の弱点があります。「齊心合力」という言葉が墨子にあり、戦いに勝つためには心を合わせることが必要であると。

 中国に存在する外資企業とはいえ、ほとんどの社員は現地人ですから、団結して当たることは苦手ですが、そこに手を入れて少しでも一致協力に近づける努力をすればするほど「巨竜」との違いが現れてくる。それができるのは、総経理(社長)にほかならない。総経理の腕ひとつで勝つことが可能であるといえます。その結果、ちっぽけな会社が地域で一番になった時ほど痛快なことはありません。

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