【慎始敬終】 小康の時代を生きる一人っ子は偉大なる事勿れ主義者か

大連友好広場にあるKFC 1907年竣工の建物(2018年5月)

今月、今週、今日に全力投球、力を出し切れば見えるであろう自分の限界点。実はそこに到達した時に次なる成長への展望が開けてくる。これが新たな可能性の創出。つまり人間の成長と能力は無限大であるということです。

 

▮今回のことわざ

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

意气风发 / 意気風発

  • 中国語:意气风发   [ yì qì fēng fā ]
  • 出典:三国·魏·曹植(魏德论)
  • 意味:意気盛んであること。意気軒昂。

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多一事不如少一事 /  一事の多きは一事の少なきに如かず

  • 中国語:多一事不如少一事   [ duō yī shì bù rú shǎo yī shì ]
  • 出典:清·刘鹗(老残游记)
  • 意味:事を余計にするよりは控えた方が良いという消極主義のこと。触らぬ神にたたりなし。事勿れ主義。

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是非不分 / 是非を分けず

  • 中国語:是非不分   [ shì fēi bù fēn ]
  • 出典:淮南子(修务训)
  • 意味:物事の是非を明らかにしないこと。問答無用。

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瞠目结舌 / 瞠目結舌

  • 中国語:瞠目结舌   [ chēng mù jié shé ]
  • 出典:夜谭随录·梨花
  • 意味:目を丸くして言葉に窮すること。驚いたり恐れたりするさま。二の句が継げぬ。

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慎始敬终 / 慎始敬終(しんしけいしゅう)

  • 中国語:慎始敬终   [ shèn shǐ jìng zhōng ]
  • 出典:礼記(表记)
  • 意味:物事を、最初から最後まで気を抜かず、手抜きもせずにやり通すこと。「慎」も「敬」も注意深く行う意。

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記事:小康の時代を生きる一人っ子は偉大なる事勿れ主義者か

▮瞠目結舌

 若い営業員からいきなり「いくら迄値引きをしてもいいでしょうか」との質問されたら… 
交渉をする前から値引きの話はないだろう… あまりにも唐突であったので「瞠目結舌」、目を丸くして言葉に窮し、その訳を訊いた。然るお客を訪問し商談をするために前もって知っておきたいとのこと。おいおい、ちょっと待ってくれ…

 もしも、〇〇%までならいいよとでも言おうものなら、不首尾に終わったときに「指示通りで交渉しましたが、商談は成功しませんでした」と言うのが落ちです。つまり、その商談がまとまらなかった原因は自分には無い、ということです。自分の営業力には触れず、責任を他所に求める無責任極まりない考え方です。

 「掛け値なしの条件提示に値引き許容範囲などあるわけがない、精一杯頑張ってこい」と、肩のひとつも叩きながら励まして笑顔で送り出すのが妥当解です。

 

▮一事の多きは一事の少なきに如かず

 主に90年以降に生まれた若手社員達。彼らの親世代は貧しい生活を強いられた時代に生まれ、それでも懸命に仕事に励み憧れのマンションを購入しマイカーも手に入れ、「小康生活」を実現しました。既に衣食住が足りた中流階層の子として、加えて一人っ子政策と相まって何不自由なく育った彼らにはハングリー精神は非常に希薄。彼らのモチベーションを上げることは簡単ではありません。リーダーとしては頭が痛いところなのです。

 もう一つの背景はセールスという仕事の歴史が浅いこと。以前の計画経済の体制下では「営業」ということをする必要性がありませんでした。1992年に解放改革施策が打ち出され、その後出現した職種なのです。営業理論や営業マネジメント手法など、まだまだ根付いているとは言い難い状況です。

 そんな状況下で営業員の社員が目標を決めるとき、管理者とのせめぎあいが起きることがあります。目標を高く設定するか、或は低めの無難な数値にするか。

 「一事の多きは一事の少なきに如かず」ということわざがあり、余計なことはしないで控えた方が無難だと言うのです。自分で大きな目標を設定して達成できずに叱責をされるより、小さな目標でやった方が無難という考え方が当時は支配的でした。これを処世術と言う向きもあるでしょうが、消極的であるとの誹りは免れません。若手社員が事勿れ主義から抜け出さないと自分のの成長も会社の発展も期待できません。

 

▮是非不分

 目標を高く持って邁進したとしても、営業は相手あってのことですから、満足できる成果を獲得できるとは限りません。

 淮南子には「是非を分けず」と、問答無用についての言葉があります。高めの目標を持ったものの目標を達成できなかった社員に、頭ごなしに「何やってんだ! 自分で言ったことくらいちゃんとやってくれよ!」と叱責したのでは、せっかく次月以降につながるはずの芽を摘んでしまいます。

 小さな目標しか持とうとしない消極的な営業員が多い中で、むしろ高めの目標を設定し周囲にそれを宣言する営業員の勇気を称えるべきです。何故なら必然的に彼の営業活動量が増えるのだから、その月は未達成に終わったとしても次月以降に必ず実を結ぶはずだからです。

 

▮慎始敬終

 しかし、目標をただただ高めに設定すればよいわけではありません。中国古典の礼記には、最初から最後まで気を抜かず、手抜きもせずにやり通すことを表した「慎始敬終」という言葉があります。定めた目標の達成に向かって活動を開始した時から最後まで全力で力を出し切ること。結果は二の次です。気を抜かずにやり通すことを続けることによって社員達は成長し、会社の業績は拡大することは間違いありません。

 そうして成長した社員はそれなりの役職や待遇を享受できることになり、大事な面子も上げることにもなります。そうなると若い社員達は「意気風発(意気軒昂)」、仕事が好循環に入った心地よさを享受できます。

 今月、今週、今日に全力投球、力を出し切れば見えるであろう自分の限界点。そこに到達した時に次なる成長への展望が開けてくる。これが新たな可能性の創出です。つまり社員の成長は無限大であるということです。心配なのはリーダーが部下の可能性を摘んでしまうようなヘマをしかねないことです。

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