【臨機応変】表向きは法治だが内実は人治 ここで大事なこと…

表向きは法治、内実は人治。広大な国家ですから地域によって経済状況などが異なり、それに応じた運用にも差異が出て来るのはやむを得ません。全国一律ではない環境の中で、日本から派遣された総経理はどのような物差しで舵取りをすればよいのか、悩ましいところです。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

临机应变 / 機に臨み変に応ず

 

◆中国語:临机应变   [ lín jī yìng biàn ]

◆出典:旧唐书(郭孝恪传)

◆意味:時と場合などの状況に応じて弾力的機動的に対応すること。臨機応変。

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草草了事 / 草草了事

 

◆中国語:草草了事   [ cǎo cǎo liǎo shì ]

◆出典:涌幢小品·实录

◆意味:そそくさと事をかたずけること。いい加減に事を済ませることの例え。

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尾生之信 / 尾生の信(びせいのしん)

 

◆中国語:尾生之信   [ wěi shēng zhī xìn ]

◆出典:荘子(盗跖)

◆意味:頑なに約束を守り通し融通がきかないこと。真面目過ぎることの例え。

◆故事:春秋時代、魯の国の尾生という男が一人の女性と橋の下で会う約束を交わしたが女は来なかった。そのうちに川が増水してきた。尾生は立ち去ろうとせず女との約束を守ろうとした。遂に橋げたにしがみついて水死してしまった。

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山高皇帝远 / 山高く皇帝遠し

 

◆中国語:山高皇帝远   [ shān gāo huáng dì yuan ]

◆日本語表記:山高皇帝遠

◆出典:黄溥(闲中今古录)

◆意味:山に隔てられて皇帝の威力が及ばないこと。中央から離れている地方では法律や制度の束縛を受けにくいとの意。

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記事:【臨機応変】表向きは法治だが実は人治 ここで大事なこと…

▮山高皇帝遠

 中国には「山高く皇帝遠し」という古くからの言い伝えがあり、国の中央から離れている地方では法律や制度の束縛を受けにくいというのです。古い中国ならいざ知らず、交通も通信も発達している現代はそんなことは無いだろうと思うのは早計。古来のその考え方は多少の変化はあるものの、今も生きているのです。

 粗い法律であるからか、それを解釈したり運用するお役人によって言うことが違ったり、同じ人でもその時によって異なったりすることが珍しくありません。つまり現実はちょっぴりの法治と根強い人治と言う肌感覚。表向きは法治、内実は人治とも言えます。

 広大な国家ですから地域によって経済状況などが異なり、それに応じて法の運用も差異が出てきます。全国一律ではないところに、日本から派遣された総経理はどのような物差しで舵取りをすればよいのか、悩ましいところです。

 

▮草草了事

 例えば現地会社を運営する総経理にとって身近な社員との関係。中国では会社と社員は労働契約を交わすことで雇用関係が成り立っています。契約期間を最初は一年、その後は勤務状況に応じて徐々に二年、三年と長くしていくのが普通。どちらにしても社員と契約交渉の中で決まります。

 契約期間は別としてよほどでない限りは更新することになるのですが、中には勤務態度などが原因で、更新しない場合もあります。会社として更新しないことを本人に通告すると、承服しない社員は政府機関に労働仲裁を申請することもあります。その時は少々悩ましいことになります。個人重視の色が比較的濃いので、概して会社が不利なのです。

 そこで、できるだけ穏便にことを進めるために、専門家である法律事務所にアドバイスを求めるのも一法です。その時の弁護士の回答は概ね二種類。ひとつは、現地の法律に基づいて対応すればよいというアドバイス。そんな「草草了事」、ぞんざいな対応しかしない弁護士。こっちは現地で現地会社を運営しているのですから、それくらいのことなら言われなくたってわかっている…

 もうひとつは、法律規定は重視しつつも、本人が納得する条件を見いだす努力をする。例えば法律上の条件を若干上回るお金を出すことなどです。つまり現実を見よ、ということ。

 

▮尾生の信

 一応は法治国家といわれている中国ですが、日本のように判例や仔細にわたる規則、付則などが整備され、成熟した法治がこの地で行われているわけではありません。中国戦国時代の思想家である荘子は「尾生の信(びせいのしん)」ということわざを残しています。法律や規定のとおりに物事に対応しようとする、やや語弊があるかもしれませんが、真面目に過ぎはしないか。そう、このアドバイスは現地に立ち上げられた日本人弁護士によるものです。一方現実的解決策を、というのは中国人の法律事務所の見解。現地の状況を考えると役に立つのは後者の方です。

 

▮機に臨み変に応ず

 幅広いグレーゾーンの中では、白黒の判断は人によることが多々あります。是非は別として人の判断がものをいう社会です。人治であることを痛感します。

 法律事務所以外にも会計事務所に税務処理の相談をするときも同じようなことが言えます。感覚は同様です。現地の会計事務所の方がよほど融通が利くのは言うまでもありません。もちろん、法律・規定の範囲を逸脱する違反行為をするのは論外です。

 しかし、日本本社は「連結」だということを理由に日本の会計事務所を好みます。そしてそれを押し付けてくるのです。費用が高いだけで、節税などは期待できません。(現地責任者としての利点は、本社指示に従っている方が自らの保身、安全は確保されることです…)

 「機に臨み変に応ず」とは一般的には「臨機応変」。状況に応じて弾力的機動的に対応することを意味しますが、人治の色濃い社会ではこの考えが不可欠です。もちろん、「臨機応変の対応」といっても、おのずと限界があり野放図にはできません。許される範囲はどこまでかは日本本社にわかるわけはありません。現地の総経理にしかわからないのです。もし、総経理本人にもわからないのであればその企業の発展は深刻な問題を抱えることになるでありましょう。

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