【井の中の蛙】 プラトー状態を克服するために講じた一計とは

香港の二階建て路面電車 これは大連にはありません(2012年5月)

中国古典の漢書にある「故歩自封(こほじふう)」ということわざは、現状維持を良しとしてもう一歩前に進もうとしないこと。会社にあっては一定の業績にとどまってしまい、それ以上の伸びが出にくくなってしまいます。

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

百闻不如一见 / 百聞は一見に如かず

 

◆中国語:百闻不如一见   [ bǎi wén bù rú yī jiàn ]

◆出典:漢書(赵充国传)

◆意味:他人からどんなに詳しく聞いても、実際に自分の目で見ることには及ばない、との意。

◆由来:漢の宣帝が将軍の趙充国に下問した際、趙充国は「百聞は一見に及ばない。前線は遠いので戦略を立てにくいから私自身が馬で金城に行き、企図して戦略を奉りましょう」と答えた。

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坎井之蛙 / 坎井之蛙(かんせいのあ)

 

◆中国語:坎井之蛙   [ kǎn jǐng zhī wā ]

◆出典:荀子(正论)

◆原文:坎井之蛙,不可与语东海之乐(坎井の蛙は、与に東海の楽しみを語るべからず)

◆意味:破れ井戸の蛙では、東海の広大な楽しみを共に語ることはできない。井の中の蛙では決して広い見識・見分を保持することはできない、との意。井の中の蛙大海を知らず。

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一箭双雕 / 一箭双雕(いっせんそうちょう)

 

◆中国語:一箭双雕   [ yī jiàn shuāng diāo ]

◆出典:北史(长孙及传)

◆意味:「箭」は矢、「雕」は鷲。一本の矢を放って、二羽の鷲を射る、との意。一つの行動で二つの利益を得ることの例え。

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故步自封 / 故歩自封(こほじふう)

 

◆中国語:故步自封   [ gù bù zì fēng ]

◆出典:漢書(叙传上)

◆意味:「故歩」はもとからの歩き方のこと。「自封」は自分の意思で閉じこもること。同じ場所に留まり現状を維持したまま、進取を求めない人の例え。

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記事:プラトー状態の克服のために講じた一計とは

▮故歩自封

 中国古典の漢書にある「故歩自封(こほじふう)」ということわざは、現状維持を良しとしてもう一歩前に進もうとしないこと。会社にあって、そういう雰囲気が出てくると一定の業績にとどまってしまい、それ以上の伸びが出にくくなります。それは「まあまあ」の平凡な会社でしかないということに他なりません。

 それがいわゆるプラトー(高原)現象という横ばい状態のことです。その状態が続くと正にマンネリズムがはびこる、達成感も喜びも無い組織に陥ってしまいます。故歩自封の雰囲気を廃するとともにプラトー状態を克服し、もう一段高いところに会社を押し上げることが、持続的発展につながる大きなテーマです。そのためには会社の実働部隊である幹部社員や中堅社員のモチベーションを上げることがどうしても必要ではないでしょうか。

 

▮坎井之蛙(かんせいのあ

 大連のマーケット規模は上海や北京などには及びませんが、中国の中ではたいへんこなれた街です。マーケットに応じた営業業績を生み出すことができますが、いつの間にかそれに慣れてしまい、結果としてマンネリズムに陥ることになりかねません。

 国慶節や春節などの休暇時には観光旅行に出かける人がひと昔に比べると格段に増えたとはいえ、仕事上ではまだまだテリトリー外のことはよくわかっていないのが現実です。いわば「坎井之蛙(かんせいのあ)」、つまり井の中の蛙状態です。

 上海や北京、深圳などの大都市の状況と比較して、大連の実力はこんなものではない、もっとできるはずだと説明しても、大連以外のことがわからない社員にとっては実感することはなかなかできませんでした。それもやむをえないことです。

 

▮百聞は一見に如かず

 プラトーを克服し一歩高みに上がるためのひとつの方法は、「外の市場」を見て、大連との違いを自分の体で感じることです。そこで、幹部社員や組織運営の中心的な役割を担うベテラン社員たちを対象にした「外地研修」が有効です。「百聞は一見に如かず」とのことわざのとおり、人から聞いた話やテレビなどから得る知識よりも、自身の目で見るのが一番だということです。

 もちろん物見遊山の観光旅行ではなく、自分が仕事をしている大連よりも発展しているマーケットに行き、学んだことを戻った後の仕事に生かす、というのがテーマです。我が社の場合は、北京や深圳(しんせん)で毎年開催されていた業界の展示会を見学に行くことにしました。視察先で得たことを自分の部下社員に伝えることもミッションに加え、結果として全社的なモチベーションのアップにつなげることを目指しました。

 

▮一箭双雕(いっせんそうちょう)

 外地研修に送り出すにあたり、選考委員会を設置、日頃の努力度合いや成績基準に数名を選抜。すると、選抜された社員は「自分は多くの社員の中で選ばれた」という認識を持つことになり、以降のモチベーションアップへの大きな作用のきっかけとなりました。

 選ばれたことによって高まった自分の面子、中国の中で先頭集団を構成する大都市を生で見て、何かを感じ取り、それらを土産に大連に戻り他の社員に波及させることが役割期待です。

 「一箭双雕(いっせんそうちょう)」ということわざは、一本の矢を放って、二羽の鷲を射るという意味です。いわゆる一石二鳥です。この外地研修施策は、少し経費は掛かりますが、それは小さな先行投資です。予想を大きく上回る成果に繋がりました。

 単に最優秀社員にご褒美としての旅行を贈呈するのとは違い、仕事の一環として外地に赴くことで社員が自身の見識を広げ、そのことが他の社員に波及し、徐々に組織全体のレベルが高まりました。後年はソウルや香港などにも拡大することとなりました。

 プラトーの克服のポイントは、普通の社員に少しの刺激を与え、そこに動機付けをプラスすることにあります。モチベーションを高める演出には十分な配慮をしなければならないことはもちろんです。それによりプラトーを乗り越え、業績アップに直結するということです。

 忘れてはならないのは、マンネリ感に気づいて打開策を打ったとしても、いずれその対策もマンネリ化するということです。繰り返しブラッシュアップし、時には別の施策を打たねばなりません。

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