老子は【千里の行も足下に始まる】と 中国で業績を上げる住居選びの要点

よい住まい選びは業績を上げる 私はここで成功した(大連2013年1月)

大連で自分が住み始めて4年経過したある日、住んでいたマンションの管理会社から一通の通知が届きました。そこには賃貸をするのをやめてすべてを分譲することになった、ついては退去されたい、と書いてあるではないですか…

 

新築物件は考えもの

 そのマンションは新築の物件。私は入居者第一号でした。ちょうど転居先を探していたので早速賃貸契約を結び入居。水や電気のインフラの他にもテレビの国際放送もあって十分な設備が整っています…。が、そのひとつぃひとつを見るととても“十分”ではないのです。シャワーの最中にお湯が止まったこともありました。入居者第1号の私は、多くの修理が必要な個所を見つけフロントに通報するサービスを提供(?)することが使命であったようなものです

 約4年間住みましたがインフラ設備は結局安定しないままでしたので、他のマンションに移ることを考え、その旨を管理会社に伝えました。すると「続けて住んでほしい」と管理会社から請われ、私も同意し賃貸契約を更新しました。その約1か月後、退去を求める通知を受け取ることになったのです。

 さすがに「口張り舌結ぶ」という中国のことわざのように、あきれてものが言えませんでした。そもそも、中国の新築マンションはインフラが弱いということです。そのしわ寄せは入居者に。中国では、新築直後の建物は避けた方が良いというのが持論です。

 

兎起ち鳧(ふ)挙がる

 現地会社の運営責任者としては、事が起きても24時間いつでも直ちに対応できる体制を作っておかねばなりません。そう考えて、赴任1年後に会社から車で5分程度の所にあったマンションに住むことにしました。その物件はワールドワイドの著名ホテルチェーンがマネジメントするアパートメント。

 セキュリティもまあまあ。日常生活にも特には問題がなかったのですが、住んで3年を過ぎたころ、そのホテルチェーンが物件を所有するオーナーとの意見の不一致により突然撤退してしまったのです。同時にオーナーは中国国内のホテルマネージメント会社を入れたことにより、一気にローカル色が強まりました。

 私と同じように住んでいた多くの日本人が、その後のアパート運営の質の劣化を心配しあっという間に退去して行きました。一夜にして撤退したその著名ホテルマチェーンにしても、さっさと大挙していった住人にしても「兎起ち鳧(ふ)挙がる」ということわざがピッタリ。変わり身の素早さは身につけておかねばなりません。なにせそのような運営形態や物件を売却したりするような突然の変化は日常茶飯事なのですから。

 

気が休まらない日本人村

 2000年4月に赴任した時には、大連の事が全く分からないこともあって、先に赴任していた日本人社員が、住んでいたビラに私も住むことにしました。いろいろ選ぶのが面倒だったのと、彼と同じ場所であれば何かと便利だと思ったからです。

 敷地の周囲はフェンスで囲まれていますので、家族帯同の場合、特に小さい子供がいても外で安心して遊ばせることができますので、家族帯同の日本人が多く住んでいました。居住者はすべて日本人。まさに日本人村。遅く帰ったり、誰かと一緒に歩いていたりしようものなら翌日には奥様方に知れ渡ってしまうのです。単身者の私には「飛短流長」と取沙汰されるのはなかなかしんどいことです。日本人の目を気にしなくてはならない日本人村は私の性にはあわない場所でしかありませんでした。

 

重き負いを釈くが如し

 会社では仕事上で大きなストレスと戦い、必要以上の緊張を強いられ、仕事が終わってやっとの思いで帰ってきたら、住居でまたストレスが待っている、そんなことでは身体がもちません。中国のことわざには「重き負いを釈くが如し」と。肩の荷を下ろしほっとする安らぎをくれるはずの住まいのはずなのですから。

 言葉の問題も含め日本とは大きく違う環境の中で生活していると、オフで家にいるときくらいは、ストレスができるだけ少ない住居を選ぶ必要があります。決して家賃の高い高級物件を選ぶのがよいということではありません。

 老子は「千里の行も足下に始まる」という言葉を残しています。会社の業績を向上させる第一歩は駐在員の住環境を整えることにあります。途上国に駐在した経験のない日本本社の偉い方々が気にするコスト問題だけではなく、そして自分が住むのにも関わらず安直に決めてしまうのもよくないことです。

 15年間の駐在中の最後の4年間住んだ4か所目のアパートメントが、建物は新しくないがホスピタリティが頭抜けていて最も快適でした。日本人の生粋のホテルマンが総経理を務めていたこともあり、非常に安定していたことで充実した生活を送ることができました。その好影響が仕事にも及び、私の中国ビジネスの業績は充実の成果を出すに至りました。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

千里之行、始于足下 / 千里の行も足下に始まる

◆中国語:千里之行,始于足下   [ qiān lǐ zhī xíng, shǐ yú zú xià ]

◆日本語表記:千里之行、始於足下

◆出典:老子(道德经)

◆原文:九层之台,起于垒土;千里之行,始于足下(九層の高台も土を積み重ねることから始まる。千里の道も足下の一歩から始まる)

◆意味:千里を行くのも一歩から始まる。ゼロからスタートして、一歩一歩進めていくこと。千里の道も一歩から。

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兔起凫举 / 兎起ち鳧(ふ)挙がる

◆中国語:兔起凫举   [ tǔ qǐ fú jǔ ]

◆出典:吕氏春秋(论威)

◆日本語表記:兎起鳧挙

◆意味:兎が巣から素早く飛び出したり、鴨が飛び上がる様子。並外れて素早いことのたとえ。凫(鳧)は野鴨のこと。

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张口结舌 / 口張り舌結ぶ

◆中国語:张口结舌   [ zhāng kǒu jié shé ]

◆出典:清石玉昆(三侠五义)

◆意味:呆れて物が言えない、絶句して何も言えないこと。二の句が継げない。

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飞短流长 / 飛短流長(ひたんりゅうちょう)

◆中国語:飞短流长   [ fēi duǎn liú cháng ]

◆出典:送韩北渚赴江西序

◆意味:あれこれと取沙汰すること。(「飛」と「流」はでたらめなこと。「長」と「短」は良いことと悪いこと)

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如释重负 / 重き負いを釈くが如し

◆中国語:如释重负   [ rú shì zhòng fù ]

◆出典:谷梁传(昭公二十九年)

◆意味:荷を下ろしたようにほっとすること。緊張から解放されリラックスすること。

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