【独辟蹊径】とのことわざ 元旦・春節 中国現地会社の総経理がやるべきこと

大連・中山広場のイルミネーション(2015年)

日本本社から派遣され中国に駐在している日本人総経理(社長)には、日本国内で仕事をしていた時にはあり得ない特権を持っています。果たしてその特権とは…

 

費尽心機

 12月も下旬にもなると日本では間もなくお正月。年の瀬のあわただしさの中で実家への帰省に、海外旅行にと浮つく時期でもあります。一方、現地会社ではその年度の業績は概ね固まりつつも、最後のひと踏ん張りをして少しでも決算をよくしようと奮闘中なのです。

 そして、迎える元旦ですが現地では単なる休日。改まった気分、雰囲気は特にはありません。とはいっても、元旦は会社にとっては新しい会計年度がスタートする第一日目です。既に出来上がっている新年度予算や販売計画などを具体的にどのように実行、展開していこうかと、総経理は思案を巡らすのです。「費尽心機」ということわざがありますが、総経理が知恵を絞る中国の元旦です。現地で年越しをする総経理は元旦を迎え、気持ちを新しくして取り組もうとするには恰好のタイミングなのです。

 

煥然一新

 短い中国の元旦休みが明けると、何事もなかったように新年度の仕事が始まります。目標はこうこう、達成のための具体策はこうこうと社員の皆に説明し、1月度がスタート。しかしものの半月程度で春節がやってきます。

 今度は元旦と違って年に一度の最大にして最高の中国の行事。流れは一気に春節休暇モードに。街ではイルミネーションが輝き、ショッピングセンターでは新年の飾り物が大量に売られています。社内でも故郷に帰る準備をする社員や長期休暇を心待ちにする社員達を相手に、何を言ってももうどうにもなりません。

 中国の生活実態はどう見ても旧正月の春節を以って旧新の切り替えが行われます。春節が年越しであり、人々はひとつ歳を取るのです。全てのものが「煥然と一新す」と言われるのですから。

 一週間の春節長期休暇に、日本に一時帰国する日本人総経理も少なくありません。休暇中どこにいても総経理は新年度スタート一か月の状況を分析し、休暇明けに新しい気持ちで仕事始めを如何にしようかと、改めて思いを巡らすのです。総経理は元旦に今年も頑張ろうと決意をし、春節には早くも二度目の決意をする機会を与えられるのです。

 

六神不安

 旧正月は毎年一定していませんが、春節休暇が明けてひと月もすれば日本本社は間もなく年度末という時期になります。そして日本本社は新年度に当たり、新しい人事や年度方針などが矢継ぎ早に打ち出され、海外現地会社に対しても歩調を合わせて最大限の努力をするよう求めてきます。現地としてはその頃は既に四半期が過ぎるころですが、本社に逆らうわけにはいきませんので、ここでも改めて頑張ろうと決意するのです。三度目の決意です。

 現地での問題は、実際に仕事をしてくれる現地社員の皆さんが春節前は気持ちが浮ついていて仕事にならず、春節後は疲れが残っているのか仕事に本腰がなかなか入りません。春節の前後は「六神安からず」と、気もそぞろ、落ち着かない状態が三カ月近くも続きます。

 結局、日本本社の年度替わりである4月、三度目の決意をする頃には、総経理は現地会社として、その年の残り9カ月間で年間目標を達成すように計画を修正するのです。

 

独辟蹊径

 元旦には一年の計を巡らし、春節にはすべてが一新されることに乗っかり、4月の本社新年度には派遣元と歩調を合わせ、業績の向上と予算達成に向け現地会社の責任者である総経理として、決意を新たにすることができるということです。日本で仕事をしていたのでは三度も機会はありません。中国現地で駐在をしているからこその、これが「特権」なのです。

 「独り蹊径を辟す」とのことわざがあります。現地のことを何も分かっちゃいない本社は横に置いておいて、現地責任者として自分一人で今年も道を切り開いて行こうと意を決します。

 現地社員の先頭に立つ「先駆者」なのです、総経理は。もちろん日本本社も頼りにはできません。だからこそやりがいがあるというもの。

 「好吃不如餃子」…餃子に勝る美味しいものは無いと巷間言われています。春節には欠かせない縁起物の餃子を頬張りながらそんなことを考えていました。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

费尽心机 / 心機 費やし尽す(費尽心機)

◆中国語:费尽心机   [ fèi jìn xīn jī ]

◆出典:王世贞(鸣凤记)

◆意味:知恵のありったけを絞る、苦心惨憺する、との意。心機とは策略、考えなどの意。

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焕然一新 / 煥然と一新す

◆中国語:焕然一新   [ huàn rán yī xīn ]

◆出典:唐・張彦遠

◆意味:目を見張るほど物事が新しくなること。新年の形容。

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独辟蹊径 / 独り蹊径を辟す

◆中国語:独辟蹊径   [ dú pì xī jìng ]

◆出典:原诗(外篇上)

◆意味:独自に道を切り開くこと。辟とは開くとの意。

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六神不安 / 六神 安からず

◆中国語:六神不安   [ liù shén bǔ ān ]

◆出典:张君房(云笈七签)

◆意味:そわそわして落ち着かないこと。気もそぞろである。(六神とは心、肺、肝、腎、脾、胆の六臓に宿る神のこと)

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