【恍然大悟】ということわざ 中国での仕事はまるで格闘技 疲れを癒すには

部屋から望む大連駅 くすんだ感じ

中国でのビジネスはさながら心の格闘技。会社で、客先で、マーケットの只中で中国語のシャワーを浴びながら奮闘でへとへとの毎日。夢の中にまで出てくるのです。

 

垂頭喪気 気が滅入る

 久々の休みとなる土曜日がやってきました。ゴルフの予定がなければ23階にある自室でゆっくりして疲れを和らげたい。しかし、部屋の窓越しに見える大連の街は緑も無く、灰色の街です。大連駅が目の前にあるというロケーションであるが故の仕方のないこと。市街地のど真ん中ですから、早朝から車のクラクションやタクシー運転手の客引きの大声が一日中絶えることなく部屋まで聞こえてきます。

 疲れが癒されるどころか、数時間もすれば「頭(かしら)を垂れ気を喪(うしな)う」という古来のことわざにもあるように、自分の気が滅入いってくるのがわかります。

 

焚くが如し

 矢も楯もたまらず、ということを意味する中国のことわざが「心急如焚」。外出するために腰を上げて服を着替え、1階のロビーに降りると顔なじみの服務員が「こんにちは!」と流暢な日本語で声をかけてくれます。建物の外に出ると、タクシーや自家用のたくさんの車や道路を行き来する人々の喧騒が溢れかえっています。

 昨今の車の急増に駐車場所の整備が追い付かないのか、歩道は車がほぼ占領しています。そんな中にも歩道の端っこでは、おばちゃんが地べたに座り込んで季節の果物を売っています。「要不要?」(要りませんか?)とぶっきらぼうに聞いてきます。その向かい側では若いカップルが大声で口げんかをしています。何が原因か知る由もありませんが、何もこんな道の真ん中で喧嘩しなくても、と思うのですが…。

 

地べたに立てば

 23階の窓からは無機質な灰色にしか見えませんでしたが、地上に来ると実際には色濃い生活感が伝わってきます。中国古典のことわざである「恍然大悟」は、ふとした瞬間にはっと気がつくことがある、いわば「目からうろこ」という意味です。そう、地上には人間臭さが充満していることにはたと気がつきます。東京ではとても感じられない生活感です。

 地下街へ通じる階段を下りると、そこは勝利広場という響きのよい名を冠した巨大地下街です。勝利広場はおしゃれなショップが並んでいるという地下街ではありません。小っちゃな無数のお店がひしめき合っているのです。そこそこの面積を占有している店もあれば、壁にへばりついたような陳列だけで、店の人も通路にいるような店もあり、とにかく雑多です。

 まるで迷路のような大きく複雑な勝利広場ですが、何年も通っていると知り合いの店も増え、地下街の通路を歩くと「你好(にーはお)」と声がかかります。

 

窮するもまた楽し

 勝利広場の通路を経て再び地上に出るとそこは青泥蛙桥の商業街。大連随一の立派な商業街です。そこを抜け、更に南に進むと労働公園と命名された大きく立派な公園があります。早朝からずっと高齢の皆さんが太極拳や体操、ジョギング、ダンスなど思い思いの運動をしています。

広場舞

労働公園のあちらこちらで踊り(広場舞)を楽しんでいます(2017年5月)

 公園内のハス池の畔では、自分の子供や孫の結婚相手探しのために、釣書のようなものを木の幹に掲示している「婚活コーナー」もあります。中国には人はいっぱいいるのになかなか適当な相手が見つからず、親がやきもきしているのでしょうね。

 それにしてもその公開釣書には、「うちの娘はとても美人で頭がよくて…」などと書いてあります。よくもまあ恥ずかしげもなく…と思いますが、このあたりにも自己主張の強さが表れているように思います。でも、いずこの国でも子を想う親の心は同じということでしょうね。

 外の喧騒とは対照的に、この公園に来ると、ゆっくりと流れる時間の中で、それぞれが自分の境遇に納得しながら(妥協しているだけなのかもしれません)、人生を楽しんで生きている姿がみて取れます。皆さんの懐具合はわかりませんが、荘子が残した「窮するもまた楽しみ、通ずるもまた楽しむ」とばかりに生きる庶民が頼もしく見えます。

 会社を大きくさせるためにあれやこれやと頭をすり減らす疲れを癒してくれるのは、大連の街のあちらこちらで感じられる庶民の人間臭さです。土曜日、日曜日になると私は街に出て深呼吸をして庶民の空気を胸いっぱい吸い込むのです。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

穷亦乐,通亦乐 / 窮するもまた楽しみ、通ずるもまた楽しむ

◆中国語:穷亦乐,通亦乐   [ qióng yì lè, tōng yì lè ]

◆日本語表記:窮亦楽、通亦楽

◆出典:荘子

◆原文:古之得道者,穷亦乐,通亦乐。所乐非穷通也。

◆意味:「窮」とは逆境、「通」とは順境。「金持ち」と「貧乏」と理解してもよいと思います。昔の有道の人は、逆境にあろうと順境にあろうと人生を楽しんだ。楽しみというのは、逆境だから楽しめない、順境だから楽しめるというものではない、との意。

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心急如焚 / 心 急ぐこと焚くが如し

◆中国語:心急如焚   [ xīn jí rú fén ]

◆出典:西厢记

◆意味:火がついたように気が急く。矢も楯もたまらないこと。

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恍然大悟 / 恍然大悟(こうぜんだいご)

◆中国語:恍然大悟   [ huǎng rán dà wù ]

◆出典:景德传灯录

◆意味:ちょっとしたことをひらめきから悟りを得ること。ふとした瞬間にはっと理解すること。

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垂头丧气 / 頭(かしら)を垂れ気を喪(うしな)う

◆中国語:垂头丧气   [ chuí tóu sàng qì ]

◆日本語表記:垂頭喪気

◆出典:送穷文

◆意味:元気をなくしてしょげかえり、がっかりすること。気が滅入ること。

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