中国のことわざ【心灰意懶】とはがっかりすること 大連でいったい何があった?

大連で植樹した濃いピンクの桜(2015年)

中国・大連に赴任して十年が経過したころ、自分の人生も60年を過ぎたところでした。それは2010年4月。思うところがあってマイセレモニーをやりました。その9年後、思い描いていたことが崩れ去りました。いったい何があった?

 

六十にして耳 順(したが)う

 49歳で上海に赴任、その後50歳で大連へ。そして10年が経ち還暦を経過しました。「10年、60歳」といういずれもとても切りのよい、不思議な目繰り合わせを感じました。

 60歳と言えば定年に達したわけですが、私の場合は職務などそのまま継続となったため、表面的な変化は何もなく還暦を通過しました。結果、頭では理解できても、自分が還暦を迎えたという実感は何もなく不思議な感覚でした。

 しかし、ちゃんちゃんこ替わりの赤いゴルフ帽子や食事会など、大連の友人の方々から心尽くしのお祝いをしていただき、友への感謝と共にこれからの人生を大切にしなければ、なんて思うようになりました。

 「六十にして耳 順(したが)う」とは論語にある格言です。60歳になればどのような意見にも素直に耳を傾けるのがよい、との教えです。それまでは地位やお金など手に入れたいという欲求ばかりの人生でした。が、還暦を機に社会や会社、人のためになることで、人生の「お返し」をしたいと考えるようになりました。

 

百花斉放

 そんなことを考えている間に、大連赴任10周年となる4月となり、大連にとって長い冬が終わり春の到来が間近の季節です。5月上旬には桜が、下旬にはアカシアも満開になる「百花斉放」のすばらしい季節です。

 静かに春を待つ桜やアカシアは、寒い冬も一瞬の休みもなく力を蓄えている。だからその時が来たら見事に咲き出す。桜なら、毎年、春になれば花が咲きます。例え私がいなくなっても、花の季節になれば誰かが見に来てくれるかもしれません。桜の花を見ながら、昔話でもしてくれたら最高じゃないか…。大連で頑張っていたという証を残すのにはこれ以上はありません。記念に桜を植えることに決めました。

 しかし、大連の街中では、植わっている木を切ることはおろか、勝手に植えることも条例で禁止されていることがわかりました。どうしたものか、思案をしていた時、懇意にしていた大連人のある総経理さんに、自分の思いと計画を話したところ賛同をいただき、さっそくその方の人脈を通じて旅順にある建設途上の植物園を紹介していただきました。

 その総経理さんに同行をいただき植物園園長に面会。趣旨を説明したところ快諾をいただき桜を植樹するという思いが実現することになりました。

 

年年歳歳花相似たり

植樹をした英歌石植物園

 大連市内から車で約1時間、旅順中路沿いにその「英歌石植物園」があります。2010年4月1日、まだ正式開園前の英歌石植物園に、60歳と大連在住10年を記念して桜を植樹しました。

 本来はソメイヨシノを植樹したかったのですが、苗木がありません。植物園にあった少し成長した濃いピンク色の花をつける桜を園長が準備してくれました。

 当日は、植えるための穴を掘ること、木を運ぶことなどの準備は植物園の係員の方がやってくれました。私は最後の土を埋め戻すところを実行。

その総経理さんの提案で植樹した桜の名前を「成功の樹」と命名、小さな碑も作りました。

 記念植樹とはいえ私の思い付きで行った手作りの植樹ですが、とてもいい思い出になりました。社長、植物園園長など実現にご支援をいただいた方々に大感謝です。

 これなら、「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」ということわざのように、毎年桜を見る人の姿は変わっていくでしょうが、桜は同じように咲いてくれます。私がいなくなってもその桜を通して偲んでくれたらこんなうれしいことはありません。

 

記念の桜は潰えた

 植樹をしてから3年後には大連を去り日本に本帰国、4年後には会社をリタイア、5年後、思ってもいなかった知らせがありました。

 元部下の社員が現地の植物園を訪問したところ、あるはずの場所に桜は無く記念の石碑もなくなっているというのです。どうも、植物園側が木々を植え替え再配置し、その際に私が植えた桜も移動してしまったようです。

 そして植樹から9年の月日は過ぎ、紹介者の総経理さんにお会いした機会にその話をしました。植物園長に問い合わせをしていただいたのですが、桜の行方はわかりませんでした。 記念の植樹に対する思いは潰え去りました。

こんなに咲き誇っていると信じます(写真は大阪府堺市)

 「心灰意懶」、がっかりの結果となってしまい意気も消沈。まあ、彼の地は中国ですから、さもありなんということで割り切らざるを得ないようです。ただ、植樹をした事実は脳裏に焼き付いていますし、証拠の写真もあります。何より、我が家の近くには植樹した桜と同じようなの濃いピンクの花の桜が植わっていますので、比較的早く咲くその桜を見て、我慢することになりました。

「成功を収めるための重要ポイント 現場目線で見たツボ」 はこちら

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

六十而耳顺 / 六十にして耳 順(したが)う

◆中国語:六十而耳顺    [ liù shí ér ěr shun ]

◆日本語表記:六十而耳順

◆出典:論語

◆原文:吾十有五,而志于学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳顺。七十而从心所欲,不逾矩

◆意味:60歳になればどのような意見にも素直に耳を傾けるのがよい。

»本文に戻る

 

 

百花齐放 / 百花斉放(ひゃっかせいほう)

◆中国語:百花齐放   [ bǎi huā qí fang ]

◆出典:镜花缘

◆意味:色々な花が一斉に開くこと。

»本文に戻る

 

 

心灰意懒 / 心灰意懶(しんはいいらん)

◆中国語:心灰意懒   [ xīn huī yì lǎn ]

◆出典:西遊記

◆意味:「灰」は元気がない、気落ちしていること。「懶」はだるい、力が入らないこと。がっかりして何をする気もない、意気消沈する、との意。

»本文に戻る

 

 

年年岁岁花相似 / 年年歳歳花相似たり

◆中国語:年年岁岁花相似   [ nián nián suì suì huā xiāng sì ]

◆出典:唐・刘希夷语

◆原文:年年岁岁花相似,岁岁年年人不同

◆意味:毎年花は同じ姿であるが、毎年(それを見る)人の姿は変わっていく、との意。

»本文に戻る

「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」はこちら

Follow me!