【水清ければ魚棲まず】とのことわざ 怖! 中国の部下も三日で上司を見切る

鏡のような清らかな湖面(2019年12月大阪)

大連の我が社のとある日のこと。「○○さんが課長になった。総経理はいったいいくら貰ったのだろう」との噂が耳に入ってきました。なんじゃ、それ…

 

風言風語

 当時の中国社会は高度経済成長の真っただ中。お金を最上のものとする拝金主義が漂い、自分の権力や立場を利用して少しでも個人的利益を得ようと、度を越した出来事がいろいろありました。

 例えば、組織内で役職ランクを上げるからその見返りを要求する上司や、上げて欲しいがために上司に金品を貢ぐ人、等々巷間話題になっていたのです。

 私の会社も、発展に伴い組織も拡大していく中で社員数も増え、役職者を登用する人事も日常的に行っていました。世間で言われているようなことが我が社でも行われているのではないかと、何の根拠もない「風言風語」が流されたようでした。もちろんそんな事実は無く、「一回の昼飯もごちそうになっていない」と冗談を飛ばし噂話を否定しました。

 

 部下の鋭い嗅覚

 そんな風に部下社員から見られているのだとわかると、総経理(社長)としていい気持ちはしません。が、役職者として自身の行動に注意を払い、自分を律していなければ誤解を招きかねないのも事実です。

 中国にも「清廉潔白、品行方正」に相当する「清清白白」という言葉が紅楼夢に見えます。多くの部下社員を率いる総経理は経営者として相応に清廉潔白であること、そして自身が努力を尽くすことが求められます。と同時に組織運営には透明感を持たせることの重要性を再認識しなければなりません。

 何しろ、部下は上司のことをとてもよく見ています。我々の上司は何かおかしなことをしているのではないかと、瞬時に嗅ぎ取る鋭い嗅覚を持っているのです。

 もし、部下が上司である総経理に対してきな臭さを感じれば、信頼を失うばかりか「じゃぁ私も…」となってしまいます。そうなると、会社としても一巻の終わりです。

 総経理や管理者が、自己の立場を利用して利益を不正に得ることは、おそらく中国内では日常的に行われていたのであろうと思います。もちろん、それらを容認することはできません。

 

三日で見切られる

 とても残念なのは、日本本社から派遣された総経理や管理者の中にも、似たようなことをしている日本人がいることです。たまにですが…。出入り業者や取引先との間で癒着し、飲食接待を受け、贈り物やリベートを受け取るなどのよくない行為を伴います。

 もっとも、昨今の日系企業では社内コンプライアンスや企業内統治などが拡充され、責任者である総経理が自らそういった不正を働きにくくしていますが、会社トップがすることに部下社員からの歯止めはなかなか難しいのです。それでも、現地社員から日本本社に内部告発され、「強制」帰国の憂き目にあった総経理がいました。我が社ではありませんが。

 地元社員にとって総経理は雲の上の人。地面に立って雲の上は見えないと「雲の上」にいる総経理は思うかもしれませんが、そうでもないのが世の中の面白いところです。

 周囲からはもちろん、下からであっても総経理を見たら、業者べったり、ズブズブの関係はよく見えるのです。部下は三日で上司を見切る、というではありませんか。

 したがって、総経理としては、業者などとは一線を画し、「不即不離(付かず離れず)」の関係にとどめておくことが賢明というものです。

 

水清ければ魚棲まず

 清廉結核な総経理であるべきだとはいえ、それがあまりにも過ぎると、周囲の皆さんが返って息苦しくなってしまいます。ある地方の官吏が地元紙に「腐敗が取りざたされる今の時代に、こんな潔白な人はいない。中央から人が来ても一緒に食事もしない」などと、彼の潔白さを称える記事が載ったことがあります。しかし、そんな彼も、官吏としての給料では買えそうにない高級マンションに住んでいました…。

 中国の古典には「水至って清ければ則ち魚無し」とあります。あまりにも清らかすぎては人が寄って来ない。もちろん濁りきっていたのでは言うまでもありません。どの程度であれば咎められないのか、総経理たる者はバランス感覚を磨かねばなりませんぞ。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

风言风语 / 風言風語

◆中国語:风言风语   [ fēng yán fēng yǔ ]

◆出典:漢代・焦赣(易林)

◆意味:根も葉もないうわさ。風評。

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清清白白 / 清清白白

◆中国語:清清白白    [ qīng qīng bái bái ]

◆出典:红楼梦(紅楼夢)

◆意味:品行が清潔で汚れがないこと。日本語の清廉潔白と同意。

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不即不离 /  不即不離

◆中国語:不即不离   [ bù jí bù lí ]

◆出典:宋·黄榦(黄勉斋文集)

◆意味:深くかかわらないが、離れすぎもしない。適当な距離を保つこと。付かず離れず。

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水至清则无鱼 / 水至って清ければ則ち魚無し

◆中国語:水至清则无鱼   [ shuǐ zhì qīng zé wú yú ]

◆出典:大戴礼记·子张问入官篇

◆原文:水至清则无鱼,人至察则无徒(水至って清ければ則ち魚無く、人至って察なれば徒無し)

◆意味:水が清らか過ぎると魚みつかなくなり、人は賢明、厳格に過ぎると仲間ができない、との意。水清ければ魚棲まず。

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