諸葛孔明は【鞠躬尽力、死而後已】と 三国志の成都には可愛い大熊猫や変面も

何とも愛くるしいパンダ(成都 2011年4月)

中国に赴任中に、とある日本人駐在員から「機会を作って成都の街を見に行った方が良い」というアドバイスが。そこで、実際に行ってみたら…

 

可愛いパンダをネタに

 成都と言えばジャイアントパンダ(中国名:大熊猫)の本場。郊外にある大熊猫繁育研究基地へ行ってみました。そこはパンダだらけ。ゴロゴロしているのや、お座りして食事をしている姿など、どのパンダも本当に可愛い。目の前の愛くるしい姿を見ていると大人でも時間がたつのを忘れてしまいます。

 生まれたてジャイアントパンダの体重は通常は100~200グラム程度。とても小さいのですが、大人になると100キロを超えてきます。立ち上がると170センチにもなりなかなかの迫力です。ジャイアントパンダの外見や動作はこの上もなく愛らしさと映りますが、気性が荒いという一面も持っており、飼育員や見学者が襲われた事件が過去にはあったようです。

 下世話な話ですが、ジャイアントパンダをつがいで借り受けるには、年間1億円ものレンタル料がかかるそうです。また、大熊猫繁育研究基地では約2万円ほどを払えば、ジャイアントパンダを抱っこできるサービスがあります。その抱っこサービスは午前中のみということで、午後に行ったものですから抱っこは実現できませんでした。

 礼記には「貨、悖って入る者は、また悖って出る」との格言があります。不正に得た財は、他人の不正によって失うとの戒めです。高額のレンタル料や抱っこ代など、「悖る」とは言えないのでしょうが、パンダをネタにしたビジネスを行う逞しさには脱帽です。

 

三国志のリーダー論

 成都市は中国南西部にある四川省の省都。私が住んでいた大連市からは直行便でも約3時間半かかります。三国時代には蜀の国の都がおかれていました。その成都は今では1000万人を超える市街地人口を抱える大都会。しかも街には2300年以上と言われる歴史を感じるたたずまいがそこここに。

 229年までに魏(初代皇帝:曹丕)、蜀(初代皇帝:劉備)、呉(初代皇帝:孫権)が成立し、中国内に3人の皇帝が同時に並び立ちました。互いに覇権を争った三国時代については、『三国志演義』をはじめとする数々の物語が書物で残されています。

 蜀の皇帝であった劉備玄徳は、口数は少なく偉ぶらず、男気があり若者は争って彼についていったそうです。三国時代の三人の皇帝の中では、私はそんな劉備の生き様が最も好感できます。

武侯祠漢昭烈廟(劉備殿)

 蜀の丞相・諸葛亮やその主君劉備などを祀るのが成都武侯祠漢昭烈廟(劉備殿)。門前に「明良千古」と記された額があります。「明」は劉備が賢明、「良」は諸葛孔明が忠誠という意味。「千古」とは後世まで伝わるということです。

 蜀の丞相(天子の補佐役)であった諸葛亮(諸葛孔明)。劉備亡き後の二代目皇帝の劉禅に対して「鞠躬尽力、死して後已まん」という言葉を残しています。国のために身を粉にして働き、死んでからゆっくりとする、との意ですが、そのようなリーダーの下では部下も働かざるを得ません。周恩来首相が亡くなったときに贈られた言葉もこの言葉だったそうです。

 建物の中に入ると正面で南に向って座しているのが劉備の像で、ここに「業紹高光」と書かれた額が掛かっています。「業」は業績、「紹」は越えている、「高」は前漢の開国皇帝の高祖劉邦のことで、「光」は後漢の最初の光武帝劉秀のことです。業紹高光とは劉備は劉邦、劉秀よりも業績が上であるとの意味です。

 

弾指(だんし)の間

大熊猫、三国志と並んでもうひとつの見所が四川の伝統芸能である「变脸」。

 日本語では「変面」と訳される变脸とは伝統劇「川劇」の中で披露される技で、仮面を瞬時に変化させます。これが「弾指(だんし)の間」の超早わざで、何度見てもその仕組みがわかりません。約700年の歴史をもつ門外不出の秘儀で一見の価値ありです。

 成都には、ジャイアントパンダ(大熊猫)の愛くるしさと、劉備玄徳、諸葛孔明の身の引き締まるようなリーダーの物語を彷彿とさせる歴史が息づいています。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

鞠躬尽力、死而后己 / 鞠躬(きくきゅう)尽力、死して後已まん

◆中国語:鞠躬尽力、死而后己   [ jū gōng jìn lì, sǐ ér hòu jǐ ]

◆出典:三国志(諸葛亮の「後出師の表」の一節)

◆意味:うやうやしく身を屈めて尽力し、死ぬまでやめません。との意。諸葛孔明が蜀の二代目皇帝の劉禅に対して、この身を捧げて死ぬまで全力でやり続けるという強い決意を表明をしたもの。

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弹指之间 / 弾指(だんし)の間

◆中国語:弹指之间   [ tán zhǐ zhī jiān ]

◆出典:安般守意经序

◆意味:指を弾くだけの極めて短い時間のこと。

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货悖而入者,亦悖而出 / 貨、悖って入る者は、また悖って出る

◆中国語:货悖而入者,亦悖而出   [ huò bèi ér rù zhě, yì bèi ér chū ]

◆出典:礼记·大学

◆意味:正当ではない方法で得た財物は、他の人の正当ではない方法によって持ち去られる、との意。やたらに得た金は無駄に使ってしまうとの意も。

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