【心花怒放】ということわざ ちょっと変だぞ中国の師走は

東京・表参道のイルミネーション(2016年12月)

気ぜわしい師走。年々需要は減っているらしいが一応年賀状も書かねばなりません。大掃除など新年を迎える準備もありますし、友人たちとの忘年会等々。

それは中国に住む日本人にとっても同じこと。でも、いつもと違って何かちょっと変…

 

ざわつく12月

 中国で生活をしている日本人駐在員にとって12月はやはり特別。地元の日本商工会が主催して忘年会が開かれ、徐々に自身の気持が年末モードになって行きます。

 ただ、旧暦が習慣の中国では12月と言っても特に変わりなく、街はいつもと同じ。仕事が終わり家に帰ってテレビをつけると、日本のチャンネルでは年末にちなんだ番組が放送されているので、その時だけは「年の瀬」をかろうじて感じることができます。

 そんな時に、殺風景な部屋で新年を迎えるよりも、家族とともに日本でお正月を迎えたいという気持ちがググっと湧いてくるのです。慣れない生活や仕事上でのストレスも背景にあるのだと思います。せめて年末年始は現実から脱出して日本で過ごしたいという気持ちはよくわかります。

 意を決して一時帰国することにし休暇を申請、飛行機も予約したころには心はウキウキ。中国古典にある「心に花 怒放す」とのことわざがまさにそれです。心の中に花がぱっと咲き、うれしくてたまらないという意味でず。そして、新年に向けた自分のカウントダウンが始まるのです。駐在日本人にとって12月はざわつきの月なのです。

 

いつもと変わらないのは

 一方、中国では古来の習慣である旧暦の春節をもって新年とするのが一般的。元旦を含め三連休となりますが、それも単なる休日にすぎず特別な意味はさほど感じられません。

 公式的な新年である1月1日を控えた中国では年末12月と言っても普通の月なのです。中国人社員達もいつもと同じように仕事をこなしています。その傍らでは年末に一時帰国する日本人が浮ついて仕事をしているという、例月とは違う構図が社内に生まれます。

 また、日本でのお正月を満喫するには三連休だけでは足りないので有給休暇を申請し、結局中国人社員が三連休なのに対し、それよりも長い年末年始休暇となります。

 そこで気になるのは普段のとおり仕事をしている現地社員の日本人社員に対する目です。自分たちは仕事をしているのに日本人は休暇を取っていいご身分だ、と思われたとしたら以降の仕事に、ひいては業績に影響することは避けられません。

 考えてみたら、もうしばらくすると春節休暇がやってきます。もし、年末年始に休暇を取ればそんなにも時を置かずやってくる春節にはまた一週間の休暇が取れるのですから、現地社員にしてみればタガが緩んだ日本人総経理だと見えるかもしれません。

 

矛を枕にして寝る

 もし、現地社員達にタガが緩んだ日本人総経理だと思われたらこれはたいへんです。中国古典の書経には「細行を矜まずんば、終に大徳を累わす」と。慎重を欠いた些細な行動が、それまで築き上げてきた信頼を失ってしまうことになると諫めています。

 人の上に立つリーダーとして、わずか三日ほどの休暇によって部下からの信頼を損なうことのないような、自らを律する行動が求められます。慎重さを欠く行動は信頼を失うことになるのです。

 加えて中国では会計年度が1月から12月ですから、12月というのは年度営業実績を持ち上げる最終月であり、同時に当年度決算を見通し1月に始まる新年度の予算を作成するのも12月。新年度早々に開かれる日本の株主総会に相当する「董事会」の準備も行わなければならず、12月は相当に忙しく中国現法で経営を担っている日本人駐在員にとっては、実は12月は極めて重要な月なのです。

 中国古典の晋書は「矛(ほこ)を枕にして寝る」と、戦いの準備の大切さを教えています。お正月を控えて浮き立つこの時期こそ、常在戦場のしっかりとした気持ちで励むべきなのです。

 

元旦とは

 とはいうものの、聖人君子ではない私には、現地で越年を基本としながらも、少しくらい年末年始の雰囲気を味わってもばちは当たるまいと。

 12月31日の仕事を終え、暖房のきいた部屋で見る大晦日の恒例、紅白歌合戦はとにかく一年が終わったホッとするひと時を与えてくれます。中国現地で「越年」する日本人だって何歳になってもお正月は楽しい行事。

 元旦に地元の日本料理店に行ってみると特別メニューの「お雑煮」が食べられるのです。白みそだ、赤みそだと贅沢は言えませんが、外国でお雑煮が食べられること自体がうれしいことです。それでも元旦のお休み中に街に出るとそこはいつもと変わらない喧騒が溢れています。

 「元旦」という文言は三国時代に初めて使われたそうです。元旦の「元」とは「始め」を意味し、「旦」は「日」を表し「元旦」とは「始まりの日」との意です。その響きは気持ちを新たにしてくれます。そしてその度合いはむしろ現地で越年した方が強く表れるように思います。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

不矜细行、终累大德 / 細行を矜まずんば、終に大徳を累わす

◆中国語:不矜细行,终累大德   [bú jīn xì xíng ,zhōng lèi dà dé ]

◆日本語読み下し:細行(さいこう)を矜(つつし)まずんば、終(つい)に大徳を累(わずら)わす

◆出典:書経

◆意味:日常の些細な行動を慎重にしないと、コツコツ積み上げてきた信頼を失うことになる。(小さな弛みが思いもよらない大事を引き起こすことを自覚したいものです)

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枕戈待旦 / 戈(ほこ)を枕にして旦(あした)を待つ

◆中国語:枕戈待旦   [ zhěn gē dài dàn ]

◆出典:晋書(刘琨传)

◆意味:兵器である戈を枕にして眠りながら明日を待つ。戦の準備を怠らないことの意。常在戦場の意識で事に当たるのがよい。

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心花怒放 / 心に花 怒放す

◆中国語:心花怒放   [ xīn huā nù fang ]

◆出典:圆觉经

◆意味:心の中に花がぱっと咲くようにうれしくてたまらないこと。喜びに心が弾む様子。

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