中国のことわざ【持之以恒】とは 成功する総経理 路程の第一歩

雪景色の大連駅(2012/12)

朝礼で今日も頑張りましょう、月例の幹部会議では今月も頑張りましょう、気合を入れたつもりなのでしょうが、その程度のことでいったい誰が頑張るのでしょうか。

 

精神論では勝ち目あるか

 現場を知らない、或はマーケットを知らないと、精神論でしかものが言えなくなってしまうのかもしれません。ただ、現地から遠く離れた日本では現場のことはわからず、せいぜい前年比などの数字でものを言うくらいで、「がんばれ」だけに終始するのも已むを得ません。

 しかし、現地会社の責任者として派遣されている総経理としては、精神論だけでは立ち行きません。会社を発展させ社員をより幸福にするためには何をどうすればよいのか、考えをめぐらすことが必要です。そうでないと社員は動かず、結果として経営拡大にはつながりません。

 日本の約25倍もの広い国土を持つ中国では、日本本社の言うような画一的な指示や施策ではとても対応できません。史記には「勢に因りて利導す(因勢利導)」とのことわざがあります。中国の都市によっても発展度合いが異なり、また習慣もそれぞれ違います。そういった事情に応じた、画一的ではない独自的な施策を考えなければなりません。

 

社員の心に刺さるビジョン

 考えに考えて独自色を打ち出した方針・施策を社内で訴えても、社員達はどこ吹く風。「無動于衷」と言うが如くに、心を動かしている様子は感じられません。せっかく大発展を期した方針・施策ですが、言葉で説明しただけでは社員達の心には響かない。

それは、総経理として会社の発展拡大を思い描いたものであって、社員達が何のために仕事をしているのかという思いがリンクしていないからです。

 総経理は会社のために仕事をしていますが、社員達は会社の為ではなく自分や家族が豊かな暮らしができる等に仕事をしていると言えます。つまり、総経理が言う施策を社員として実行すれば、自分の暮らしもきっとよくなるという理解がなされ、腑に落ちてこそ徹底がなされるというもの。

 その重要な第一歩はビジョン作りだと思います。会社がビジョンを明確にすることは、社員に夢と希望を与え、社員自らが挑戦する勇気を湧きたたせることになります。

 例えば、「5年後には売上〇〇元を目指す」とか、「地域で業界ナンバーワンの会社になる」などと言った、そのエリア、その会社(事業)にあったビジョンを、責任者である総経理が自ら考え策定するのがよいと考えます。

 それを実現するために共に努力しようと訴えれば、社員達は自分の中でイメージを作り、実現することを夢見て「いい会社に入った」ときっと思うはずです。

 既に設立されていた会社であっても、それ以降の発展を展望したビジョン作りを行うことが、「第二の創業」のように更なる発展の可能性を膨らませることになります

 

何が成否を決める

 ビジョンを掲げるとともに、具体的な理念があればそれに越したことはありません。例えば「顧客第一主義」です。中国では「客戸至上」というスローガンをよく目にします。これは「客戸」すなわち顧客が至上の存在である、との意味です。しかし、我々の側にも言いたいことはあるわけですから、顧客の言いなりにはなれないはずです。

「客戸至上」という看板を掲げているところは、実際にはそうでもないようです。

 従って、客様は神様ではなく、第一に考える存在である、というのがより正解に近いと思います。社員に対してもビジョンと共に、「顧客第一主義」の思想を何度も訴えました。また、自己中心型の社会にあって、自分よりも顧客や他者を優先して考え実行することは結構難しく、顧客第一主義という思想は的を得たものになりました。

 中国の中庸には「事予めすれば則ち立つ(事予则立)」とあります。何事も、十分に準備をして取りかかれば成功する、というのです。方針・施策を熟考しビジョンを作る、合わせて実行基盤となる思想を組み上げるという準備が成功の要因です。

 

勝利の決定打は

 日本で経験したことのひとつに、大事な会議で聞いたことは帰る途中で半分くらいは抜けてしまい、三日もすれば何も残っていない。まあ、サラリーマンはそんなものです。聞いただけではすぐ抜けてしまうと考えておくべきでしょう。

 会議や朝礼で訴えるだけでは十分ではありません。そこで、啓発ポスターを作り社内に貼り出し、四六時中、目に入ってくる状態を作ることも効果的です。目と耳と口でビジョンを語りかけ、社員が理解する接点を作ったことになります。

 これらのことは本社では出しかねる事ばかり。何せ現場のことがわかっていないのですから。ですから、総経理が自らの意思としてやるのです。

 「恒を以って之を持つ」という中国古典にあることわざは、根気よくやるのがよいと言っています。社内で物事を徹底するには、どこまでも丁寧に、一歩一歩、時間をかけ、理解させ、納得を得、共感させるという気の遠くなるような総経理の取り組みが欠かせません。

 風土が異なる地で物事を衆知徹底するには、我慢と根気が何より大事だと思います。これらを乗り越えると、組織は自然と回転していきます。総経理が自身でビジョンを策定し組織内に周知させることが成功の路程の出発点である。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

事予则立、不予则废 / 事予めすれば則ち立ち、予めせざれば則ち廃す

◆中国語:事予则立、不予则废   [ shì yǔ zé lì, bù yǔ zé fèi ]

◆日本語表記:事予則立、不予則廃

◆出典:中庸

◆意味:何事も、十分に準備をして取りかかれば成功し、それを怠れば失敗するとの意。成功と失敗を分けるのは、まずは準備のでき具合による。十分な準備をして事に臨むことが大事であるとの意。

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无动于衷 /  無動于衷

◆中国語:无动于衷   [ wú dòng yú zhōng ]

◆日本語表記:無動于衷

◆出典:清・蒲松龄(聊斋志异)

◆意味:少しも心を動かさない。無感動無関心を例えた言葉。

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持之以恒 / 恒を以って之を持つ

◆中国語:持之以恒   [ chí zhī yǐ héng ]

◆出典:曾国藩(家训喻纪泽)

◆意味:根気よく頑張るとの意。恒は恒心(根気)の意。

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因势利导 / 勢に因りて利導す

◆中国語:因势利导   [ yīn shì lì dǎo ]

◆日本語表記:因勢利導

◆出典:司馬遷(史记・孙子吴起列传)

◆意味:事情や発展の趨勢によって、目的の実現に向かって有利に導くこと。

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