どうせなら とことん 【一不做二不休】と中国のことわざ 【毒を食らわば皿…】

大連駅前のホテル。宴会場に約300名の社員が一堂に会した年会の最中。駐在員定番の一曲、テレサ・テンの「月亮代表我的心」を歌いながら、たくさんの丸テーブルの間を歌手然として巡っています。社員達からも拍手が。

一不做二不休

 中国ではどの企業も旧正月前に社員が一堂に会して年会が開かれます。年間を通して最大のイベントである春節を直前に控えて会社上げての忘年会と言ったところでしょうか。

各部門、事業所などを単位として、出し物を1か月ほど前から終業後にこっそりと練習し、年会の場で発表します。コントあり、歌あり、ダンスありで、予選を勝ち抜いた社員やグループにとっての晴れの舞台を会社が提供するわけです。

 会場代や食事代、飲み物などかなりのお金がかかりますが、一年の奮闘を労い、翌年の頑張りに期待していることを会社として社員の皆さんに表明する機会です。社員も楽しみにしている年に一度のイベント。「ここぞ!」という時であり、会社としてもケチなことは言ってはいられません。

 中国古来のことわざに「一不做二不休」とあります。やるからにはとことんやるのがよい、と。ということで総経理(社長)としても、「唐装」と言われる中国服を着て、会場内を歩きながら熱唱するパフォーマンスを披露しました。仕事のときとは違って社員達とも直接コミュニケーションをとることができる雰囲気がいいですよね。

螳螂拒辙でも

 毎年、初夏のすばらしい季節に開催される「大連国際マラソン大会」。この大会は1987年に始まった公式マラソン競技で、フルマラソンや車いすマラソン、駅伝もあり、中国で数多く開かれるマラソン大会の中でも古くからの伝統を誇ります。自由にエントリーできるとはいえ本格的な大会です。身の程も知らずに強敵に向かう無謀さを言った螳螂 轍を拒む」とのことわざのように、ど素人にどこまでできるのかと思いましたが、社員達の団結心を醸成する一助になればと駅伝にエントリーすることにしました。

 その話を幹部社員達に話すと、彼らの目も輝き早速手作りのチーム編成が始まりました。半年くらい前に社内予選会を行い、選ばれた社員は土日の休みに練習を重ね、本番に臨みました。

 選手は総務や営業、業務といったそれぞれの部門から選ばれた一般社員です。もちろんマラソン経験者はゼロ。中には日頃の仕事上ではぱっとしない社員も選ばれ、そういった社員にもスポットライトを当てることにもなります。仕事に対するモチベーションも上げてくれことを期待しました。

 社員でチームを構成し42.195キロのコースを、タスキをつなぎ走り抜くというイベント。選手以外の社員は主要リレーポイントで応援に参加。さらに希望する社員がミニマラソンに参加したり、できるだけみんなが参画できる機会を増やすように考えました。

力をひとつに

 年会や、駅伝の他にも全社員参加の10キロ・ウオーキング大会、夏にはシーサイドレクリエーション、秋には工会(労働組合)主催の一泊旅行などを開催。

 実務上では、年初に「年度会社方針発表会」や「セールスコンテスト」「実技コンテスト」など、「一年中、いつも何かをやっている…」という感じにしました。

 ビジョンによって近い将来の夢を持ち、それを目指した足元の具体行動である業務上のイベントは「縦糸」のようなもの、そして並行して開催する各種イベントやレクリエーションは組織に潤いを持たせる「横糸」、といったイメージでしょうか。

 中国古典の淮南子には「五指の更(こもごも)弾つは捲手の一挃に若かず」と、五本の指で交互にたたくよりも拳の一撃が勝る、つまり力をひとつにすることの重要さを訴えています。

 日頃の仕事上のマネジメントでは、辛辣なことを言ったりやったりすることも少なくありませんでしたので、ややもするとぎすぎすしかねない組織内を和らげる効果も少なからずあったように思います。

 しかし、そんなことに大事な会社の金を使うのか!という寂しい声が日本から聞こえてきたことを覚えています。そんな現場を知らないバカの一言は無視しましょう。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

五指之更弹,不若捲手之一挃 / 五指の更(こもごも)弾つは捲手の一挃に若かず

◆中国語:五指之更弹,不若捲手之一挃   [ wǔ zhǐ zhī gèng dàn, bù ruò juǎn shǒu zhī yī zhì ]

◆出典:淮南子・兵略訓

◆原文:五指之更弹,不若捲手之一挃、万人之更进,不如百人之俱至也。[ 五指の更(こもごも)弾つは捲手(けんしゅ)の一挃(いっちつ)に若かず、万人の更進むは、百人の倶(とも)に至るに如かざるなり ] ※「更」とは「かわるがわる、入れかわって」の意。

◆意味:五本の指で交互にたたくことは、拳の一撃に及ばないし、万人が交互に突進することは、百人が一緒に突撃するに及ばない。知恵を合わせて力をひとつにすることが大事であるとの意。

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一不做二不休 / 一に做らず、二に休まず

◆中国語:一不做二不休   [ yī bù zuò èr bù xiū ]

◆出典:唐・赵元一(奉天录)

◆意味:やらないか、或はやるのであればいっそのこととことんやる。物事を始めた以上は最後までとことんやる、との意。

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螳螂拒辙 / 蟷螂 轍を拒む

◆中国語:螳螂拒辙   [ táng láng jù zhé ]

◆出典:史通(载文)

◆意味:蟷螂(かまきり)が轍(車)を阻む、との意。到底できない能力しか無い、必ず失敗することの例え。

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