中国のことわざ【一朝一夕】には身につかない「人の徳」 そこに救いは無いのか

ある時、社員達と雑談中、「何でうちの給料はこんなに安いのか…」と言うのです。同じビルに入っている他の日系企業と比べたら一番安いと。総経理がいる所で何故そんなことをしかも自信ありげに言う…?

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怖い井戸端会議

 ビルの各フロアにある共用の給湯室で行われて(?)いる井戸端会議での情報に違いない、とピンときました。SNSが発達しているとは言え基本は口コミの社会。日々、給湯室では他の会社の社員との情報交換がなされています。さらにオフタイムの友人たちとの食事など情報交換の機会はたくさんあるようです。

噂話レベルも含めて様々な情報は一般社員の方がたくさん持っているかもしれません。「うちの総経理はケチで…」というようなぼやき、またある時は自社のボスの自慢など彼らの本音が飛び交っていることと思います。居酒屋で愚痴をこぼす日本国内のサラリーマンと同じですね。

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薄っぺらだと…

 総経理(社長)の立場というのは現地社員にとっては首根っこを押さえられている人であり、また雲の上の人です。そのボスのもとで明るい将来を感じられるのか、観察し同僚たちと情報交換しているのです。ですから、自分たちのリーダーはどういう人なのか彼らには手に取るようにわかるはずです。ですから、日本から総経理として派遣されて着任したときから、現地社員達の目に晒されているのです。

 本社に早く帰りたいばかりにその場しのぎで仕事をする人。せっかく異国の中国に来たのだからと、羽を伸ばし夜な夜な夜の街に繰り出す人。もしもそんな振舞をしていたのなら、現地の社員にとっては自分たちのボスがこんな程度の人間かとすぐに見破られてしまいます。その薄っぺら加減は、下からは三日もあればわかるそうですよ。

リーダーである総経理(社長)は社員の前では威厳を保ち、自分ではうまく取り繕っているつもりでも、日々の仕事や生きざまに心根が現れます。そこを現地社員は敏感に感じとるのです。

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力を恃む者は亡ぶ

 一方で、一般論ですが、日本本社から現地に派遣された人の中で、優れた実績を残すリーダーは、「この地に骨を埋めよう」、「地元に貢献しよう」などといった固い決意を固めている人が多いそうです。実際にそうするのかどうかは別にして、少なくともそういう心意気で取り組んでいる人達もいるということでしょう。どう見てもこのタイプに人の方が現地社員からは尊敬され、信頼され、そして後々業績に好影響が出てくるはずです。

 史記に「徳を恃む者は昌え、力を恃む者は亡ぶ」とあるように、すばらしい経歴や能力があったとしても総経理だからといって、ふんぞり返り威張っていると誰からも尊敬されることはなく、いずれ運営の破たんを招くことになると思います。

 また、自分の上にはこびへつらい、失敗を恐れるあまり従前を踏襲することしかしない。都合のよい報告を本社に上げることにのみ関心を示し、何かあると人に責任を押し付け自分では決して泥をかぶらない。こんな人も同じですよね。

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徳は事業の基なり

 総経理の仕事は会社を大きく発展させることですが、それは自分一人だけではできるわけでなく、社員の仲間やユーザーの皆さんに支えられて初めて可能になることです。まして、外国人である日本人が総経理の場合はなおさら。そのために必要なのはその人の能力と人間性だと思います。中でも、大事であり優先するべきは能力よりも人間性であると私は考えます。

 中国古典の菜根譚には「徳は事業の基なり」ということわざがあります。「徳」や「人間性」という基礎ががっちりとしていれば、その上の建物も堅固となり、自身の能力が発揮されるということです。

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一朝一夕には無理だが

 頭では理解できますが、人徳や人間性を磨くことは「一朝一夕」にはできることではありません。まして、突然本社から中国に派遣された本人にしてみれば、十分なものを身につけたうえで赴任したわけではありません。

では一体どうすればよいのでしょうか。そのヒントは先達の言葉にあります。

インド独立の父と呼ばれているマハトマ・ガンジーは「喜びとは、勝利それ自体にではなく、途中の戦い、努力、苦闘の中にある」と、結果よりもそのプロセスにこそ喜びがあると言っています。

江戸時代初期の武将、真田信繁(幸村)は「夢をつかんだ奴より、夢を追っている奴の方が、時に力を発揮する」と。

創価学会池田SGI会長は「勝利を誇る姿…それも美しい。しかし、それ以上に美しく、気高いのは “さあ、戦うぞ! いよいよこれからだという挑戦の姿であろう」と。

 共通しているのは「結果よりも、その途上での努力、がんばり」が大切であるということ。つまり「徳」を身につけると言ってもそもそもゴールはありません。従ってゴールに向かって努力している、自己を高める不断の努力をしていることに人は輝きを放ち、周囲に魅力として感じるのだと強く思います。そしてそんなボスを見て社員達はきっと誇りに思うはずです。

そうであるなら、未完成の凡人である私にも周囲から尊敬され信頼を得ることができそうです。

「成功を収めるための重要ポイント 現場目線で見たツボ」 はこちら

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成功のヒント 中国のことわざ・格言 

德者事业之基 / 徳は事業の基なり

◆中国語:德者事业之基   [ dé zhě shì yè zhī jī ]

◆出典:菜根譚

◆意味:事業を発展させる基礎は、その経営者のもっている「徳」である、との意。「徳」が欠けた人物は仮に一時的に隆盛であっても長続きしないことを言っています。

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恃德者昌,恃力者亡 / 徳を恃む者は昌え、力を恃む者は亡ぶ

◆中国語:恃德者昌,恃力者亡   [ shì dé zhě chāng,shì lì zhě wáng ]

◆出典:史记(商君列传)

◆意味:徳によって立つ者は栄え、力を恃む者は亡びる。

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一朝一夕

◆中国語:一朝一夕   [ yī zhāo yī xī ]

◆出典:周易(文言)

◆意味:わずかな時間の例え。

◆原文:臣弑其君;子弑其父;非一朝一夕之故;其所由来者渐矣。(臣にしてその君を弑し、子にしてその父を弑するは、一朝一夕の故にあらず)

つまり、家来が君主を殺したり、子が親を殺したりするようなことは、ある日突然起こるのではなく、長い年月を経て、やがて起きてしまうような出来事である、との意。

「一朝一夕」ということわざには、普段小さなことを見過ごしてきたから大事が起こったのであり、もし何かのよくない兆候があれば、すぐに解決することが必要であるとの戒めが込められています。

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