長期政権に緩みはつきもの 中国のことわざには【日日に新たに】とあるが

あの時は突然の出来事にしか思えませんでした。部下社員による重大な不正行為が発生し、その次の月には別の部下が、更に次の月にもある部下社員が相次いで不正や大失敗をやらかしたのです。

管理責任を問われた私はあえなく撃沈。役職を解かれ閑職に飛ばされてしまいました。

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日日に新たに

 私にとってはサラリーマン生命を揺るがすその大事件は、私が日本国内のある地方の責任者をしていた時のことです。まずまずの業績で推移していたこともあり、着任後5年を過ぎたころから「長期政権」だと自分でも思うようになりました。

 自負を越え自惚れのような心に潜んでいた自身の緩み。いつの間にか緩んだ心に巣くっていた沉默的杀手(日本語表記:沈黙殺手、サイレントキラー)が一気に噴き出しただけのことで、実は決して突然の出来事ではなかったのです。

 「日日に新たに」とは中国の古典にある言葉です。一日一日重ねるごとに新たになるよう努力すべしとの、緩みを戒める格言です。これを実践しておけばよかったと大いに悔やみました。在任期間が長くなると人はどうしても脇が甘くなるのかもしれません。

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含含糊糊

 現地に進出している日系企業の中には、総経理(社長)の任期を三年程度に設定している企業が少なくありません。

 しかし、習慣や環境が日本とは大きく違う中国では、そこに慣れるだけで1年はたっぷりかかります。自分のイメージどおりの仕事ができるのには最速でも3年はかかるというのが実感です。三年任期であれば「さあこれから仕事をするぞ」という時に帰国、交代ということになってしまいます。すると、またもや中国ど素人の後任がやってきて環境に慣れる所から始めることになります。

 会社としては総経理(社長)が交代するごとにゼロクリアを余儀なくされ、リスタートするわけですから、業績の伸びはのこぎりの刃のような形にならざるを得ません。

 社員も三年で交代する総経理のもとでどれだけ真剣に仕事に取り組むかは少々疑問です。どうせ三年すればまた交代するのだから、と含糊(のらりくらり)の状態になってしまいそうです。

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ひょうたんと瓢

 ある意味で特殊な環境である中国に慣れた人が総経理を張った方が社員の積極性を引き出し、もって業績が上がるといえます。実は、私が赴任するときにも上司から「三年ほど頑張ってこい」と言われたことがありました。結果は14年半という長期になったのですが…

ただ、在任期間が長くなるといわゆるマンネリ化が懸念され、その挙句緩みが生じてしまうのです。

 周期的且つ短期で交代するのがよいのか、或は長期がよいのか悩ましい問題です。「葫芦(ひょうたん)を押さえ瓢(ひさご)浮く」という中国の言葉のように、こちらを立てればあちらが立たず、一長一短なのです。

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剣と砥

 中国での会社経営にとってベストプランは「長期で且つ緩みがない」状態だと言えます。

つまり、赴任した総経理(社長)は、ある程度の中長期な視野に立ち現地の習慣や風土に慣れ親しみ、同時に緩みのない組織運営に当たるのが、求められるところです。

 それを如何にして実現するのか?

 淮南子には「剣は砥を待ちて而る後に能く利なり」との格言があります。砥石で刀を研ぎあげるようにリーダーも自分を砥石にかけるが如く、普段から自分を高める努力を惜しんではならないと。

 振り返ってみると、中国に駐在した約15年の間に仕事上で3回ほど危なかったことがありました。いずれの時も「あ、これちょっとヤバいかな」と途中で気がつき、最悪の事態に至らず軌道修正をすることができました。そして再び脇を締め直すことができたのです。

サイレントキラーを押さえることができたのです。日本国内での大失敗の経験は生かされました。人生に無駄はない、ということを実感しました。

それにしても、経験値でいううならばサイレントキラーはどうも5、6年周期で出現するようですね。

「成功を収めるための重要ポイント 現場目線で見たツボ」 はこちら

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

按下葫芦浮起瓢 / 葫芦を押さえ瓢浮く

◆中国語:按下葫芦浮起瓢  [ àn xià hú lu fú qǐ piáo ]  

◆慣用句

◆意味:ひょうたんを押さえつければヒサゴが浮き上がる。あちらを立てればこちらが立たず。円満な解決ができないことの例え。

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苟日新,日日新,又日新 / 苟に日に新たに、日日に新たに、又日に新たなり

◆中国語:苟日新,日日新,又日新   [ gǒu rì xīn, rì rì xīn, yòu rì xīn ]

◆出典:大学

◆意味:一日努力し、一日一日重ねるごとに新たになるよう努力し、更に毎日新たにし行く。自分を新たにする努力を毎日続けなければならない、との意。

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含含糊糊 / 含含糊糊(のらりくらり)

◆中国語:含含糊糊   [ hán hán hu hū ]

◆出典:紅楼夢

◆意味:不明瞭な様子。のらりくらり。

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剑待砥而后能利 / 剣は砥を待ちて而る後に能く利なり

◆中国語:剑待砥而后能利   [ jiàn dài dǐ ér hòu néng lì ]

◆出典:淮南子

◆意味:剣は砥石にかけて研ぎあげて鋭い切れ味が生まれる。人間も同様で自分を立派な人間に育て上げるためには、普段の修養を怠ってはならない。リーダーたる者は自分を砥石にかける労力を惜しんではならない。

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