中国のことわざ【衣食足りて栄辱を知る】 これって本当?

大阪では知り合いに出会ったときに「儲かりまっか?」と尋ね、「ぼちぼちですわ」と答える。それは商都ならではの挨拶言葉。もっとも最近はあまり聞かなくなりましたが…

中国では「ごはん、食べた?」がちょうどそれに当たります。でもそこには結構深い意味が…

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同病相憐れむ

 腹いっぱい食べることそれ自体が幸せであった時代。そのころからの名残かも知れませんが、「ごはん、食べた?」という挨拶言葉には相手を思いやる気持ちから発せられた一言のように思います。

 もし「まだ食べてないんだ」と返事があれば、「何故だい?そんなに忙しいのか?」と相手のことを心配する。また「うん、食べたよ。君は?」等とのやり取りはお互いに相手を思いやる暖かな気持ちが込められています。

 中国古典にある「同病相憐れむ」ということわざは、はるか昔のみんなが貧しかったころのいたわりの気持ちが現代にも生きているやさしい言葉なのではないでしょうか。

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食と業績の関連

 人は空腹を満たした時に心も穏かになります。営業で売り込みなどの交渉事には昼食後のお昼一番がよいと学んだことがありました。

 誰しも昼ご飯の前は空腹で、「心 煩にして思いは乱る」との格言があるように、イラつき落着かないのは時代を問わず言えるとこです。そんなお腹がすいてイライラしている時にややこしい話を持って行ってもうまくまとまる訳がありません。飽食の現代にあっても人は空腹感に勝てないということですね。

 ということで、人にとっては「食」が充実しているか否かは、中国の現地に進出した日系企業にとっても実は大きな問題なのです。

 一時期、中国の日系工場でストライキが頻発したことがありました。給料や福利待遇などの条件に不満を抱いた一部の従業員が携帯電話を使って情報を発信、あっという間にストライキの波が連鎖したのです。その中で、ストライキを回避した企業もありましたが、そこに共通していたのは社員食堂が充実していたことである、という説を聞いたことがあります。

 大連のある日系企業の大規模工場を訪問した時のこと。総経理さんが社員食堂を見てくれ、とおっしゃるので見学したことがありました。まるで体育館のような広大な社員食堂。何より驚いたのが中華料理はもちろん洋食や日本食まで、ショッピングモールにあるフードコートを思わせるそれぞれの料理店のブースが見事に並んでいるのです。もちろん無料です。

 ここまでやるかと思うほど充実させ、好きなものを好きなだけ食ってくれと。その企業にはストライキは無縁であったようです。

 人の本能にもかかわる「食」をけちるか、或は充実させるかで会社の業績は大きく変わることを教えてくれています。

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衣食足れば栄辱を知る?

 中国の高度成長が始まった2003年頃までは、よく取引先の方々と会食したものですが、経済の発展とともにそのような食事をする機会は目に見えて減って行きました。誘っても「以前と違い今はいつも美味しいものを食べているから食事には満足している。誘ってくれる気持があるなら他のものにしてくれないか」と遠回しに断られたこともありました。

 中国の古典には「衣食足れば栄辱を知る」と有名な言葉が書かれていますが、さて現実にはどうなんでしょうか?

日本には「ボロは着てても心は錦」と、外面は粗末な風体であっても内面は高い人格を備えているという言葉があります。中国でも老子は「褐(かつ)を被(こうむ)り玉を懐(いだ)く」と言っています。

 目の前の現実を見ていると、私にはどうも「衣食が足りているかどうか」と「栄辱を知るか否か」は別の問題のように感じます。

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

衣食足而知荣辱 / 衣食足れば栄辱を知る

◆中国語:衣食足而知荣辱   [ yī shí zú ér zhī róng rǔ ]

◆出典:管子(牧民)

◆原文:仓廪实而知礼节,衣食足而知荣辱(倉廩実つれば礼節を知り、衣食足れば栄辱をしる)

◆意味:米蔵がいっぱいになれば、はじめて礼儀や節度わきまえるようになり、衣食の心配がなくなってはじめて名誉を重んじ恥を知るようになる。

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心烦意乱 / 心 煩にして思いは乱る

◆中国語:心烦意乱   [ xīn fán yì luàn ]

◆出典:楚辞(卜居)

◆意味:いらいらとして心が落ち着かないこと。「心煩」とは悩ますことが多く苛立たしいこと。「意乱」とは心が落ち着かないこと。

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同病相怜 / 同病相憐れむ

◆中国語:同病相怜   [ tóng bìng xiāng lián ]

◆出典:吴越春秋(阖闾内传)

◆原文:同病相怜,同忧相救(同病相憐れみ、同憂相救う)

◆意味:同じような境遇にある者同士は互いにいたわり同情し合う、との意。

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被褐怀玉 /  褐(かつ)を被(こうむ)り玉を懐(いだ)く

◆中国語:被褐怀玉   [ pī hè huái yù ]

◆日本語表記:被褐懐玉

◆出典:老子(德经)

◆意味:「被」はまとう、「褐」は粗末な衣服、「 懐」はふところの意。うわべは粗末な服を着ているが、懐には玉を隠している。外面は粗末な着物だが、内面は立派な徳を備えているとの意。

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