曹操は【志 千里に在り】と 勇気の出ることわざ 自身はどうする…

中国・大連の病院の病室。

ベッドに横たわった身体に繋がれた何本ものコードが。その先あるテレビドラマで見た覚えのある機械には何やら波形が表示され、ピッピッと無機質な音が深夜の静寂な病室に響きます。おまけに口には酸素吸入まで…

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人生は金石に非ず

 大連に赴任して4年目、突然の心臓発作で緊急入院。人生で初の入院を中国で、しかもベッドサイドのたいそうな機械を見ると、何か生きるか死ぬかの様相です。

初めてのことで不安が大きいのですが、しかし不思議なことに動揺はほとんどないのです。多分、頭の中が真っ白だったせいだと思います。

 CTやMRIなどの検査を経て、診断は狭心症とのことでした。心臓に繋がる冠動脈の一箇所が狭窄しかかった状態で、7割くらいがふさがっていて血流が悪くなっていたとのことでした。

大連に赴任してちょうど4年半、54歳になった直後のことでした。大連の地にも慣れ、業績も右肩上がりが続き充実した日々を送っている真っ最中の出来事だったのです。

人生は金石に非ず」とは人生のはかなさを嘆く中国古典の格言です。気丈に振舞っていたのに、病に遭遇したとたんに、まるで人生がここで終わってしまうかのような弱気が表に出て、たまらない寂しさが込み上げてきます。

 点滴の液がゆっくりと落ちるのを気にしながら、流れ行く空の雲をベッドから窓越しに眺めつつ、そんなことを考えていました。

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天を楽しみ命を知る

 入院前は自分が総経理(社長)として、会社を牽引しているという強い思い(実は多分に思い上がりであろう)によって猛烈に仕事をしていました。それが今度は周りの流れに任せる入院生活。言われるがままにカテーテルによるステント治療を受けました。

以前から私は人生については「太く短く」と強がっていましたが、入院後は「細くても長く」と180度変わりました。

 そして無事に退院したもののどうも胸のあたりがすっきりしません。治っているはずなのに、例えばコトリとしたちょっとした音が小心者の私には大きく響くような不安を感じ、三日後には再び入院。

顔見知りの看護師さんからは「回来了!  」(お帰り!)と冷やかされる始末。

中国古典の易経には「天を楽しみ命を知る、故に憂えず」と。天命を知れば憂いはないと言いますが、私にはとてもそんな達観した気分になることはできませんでした。

 そこで特別に国宝級と尊敬される高名の医師に診察を受け、「病気は自身で治すもの。自信を持て」と激励をされ再度退院。

その後も、飛行機に乗ると気圧の変化が心臓に影響を与えはしないかと気がかりで、処方してもらった安定剤を搭乗前に服用していました。

結局、そういった不安を克服するのにたっぷりと一年かかりました。

大連で植樹した桜 冬は必ず春となる(2015/4)

我が師の激励に涙

 一方、仕事に復帰し約8年間にわたり周囲の協力を支えに、大きく業績を伸ばし完全燃焼。そして本帰国したのですが、その間、心電図の定期検査でずっと異常が続いていました。

本帰国後に医師の進めもあって検査入院し原因を特定することにしました。カテーテルによる心筋の生検の結果、何と特発性拡張型心筋症との確定診断が出たのです。

 原因は不明、治療法もない難病とのことでした。まさに絶望的な宣告を受けたのですが、この時は何故か不安感はありませんでした。自分としては43年にわたった会社勤めの内、30%強に当たる15年を中国で過ごし、しかもそれが大成功の結果をもたらし、一点の悔いもないものであったとの自分なりの思いがそうさせたのかもしれません。

結局、医師と相談し今ある心臓をできるだけ長持ちするように使おうとのことで、何種類もの薬を飲み続けることになりました。

 しかし、その2年後、心臓の不調により約2週間入院。再び悶々とした生活を強いられたのです。検査や薬の調整を重ね退院しました。

家に帰ると、我が人生の師から「健康を祈っております。見守っております。断じて勝利を!希望と栄光の人生のために」との励ましの便りをいただきました。思ってもいなかった激励の言葉に、涙があふれ止まりませんでした。

好死は悪活に如かず

 朝、目が覚めたことを自体を喜びに感じるようになりました。そして、あと何年活きられるのかはわかりませんが、精一杯生きてみようと。「好死は悪活に如かず」とは、たとえぶざまでも生きた方がよいとの格言です。今更カッコよさを求める必要はない。

そう考えると人生をリスタートしたような清々しい気分になりました。

 それに、自分一人の力で生きているわけではなく、周囲の支えがあって生きている。人は決して一人ぼっちではないのです。そこには「自他共に」の精神が厳然としてあります。

 年はとっても「志は千里に在り」と三国志の曹操は言っています。せっかく与えられたこの人生、ならば悔いなく、生涯青年の気概で常に挑戦していきたいと思います。千里先を見据えての挑戦はまだまだ続きます。

「中国ビジネス成功の決め手 現場目線で急所を解説」の目次はこちら

成功のヒント 中国のことわざ・格言

人生非金石 / 人生は金石に非ず

◆中国語:人生非金石   [ rén shēng fēi jīn shí ]

◆出典:後漢・無名氏詩(古诗十九首之十一:回车驾言迈)

◆原文:人生非金石,岂能长寿考(人生は金石に非ず、豈能く長く寿考ならんや)

◆意味:人生は金石のように不朽のものではない。どうして永遠の寿命を夜持つことができようか。時のすぎるのは速く、志を果たすのは難しい。

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好死不如恶活 / 好死は悪活に如かず

◆中国語:好死不如恶活   [ hǎo sǐ bù rú è huó ]

◆出典:西遊記

◆意味:潔く死ぬよりもぶざまでも生きた方が優る。せっかくの人生、死に急ぐことはない。生きること自体に意味がある。

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乐天知命,故不忧 / 天を楽しみ命を知る、故に憂えず

◆中国語:乐天知命,故不忧   [ lè tiān zhī mìng, gù bù yōu ]

◆出典:·易経(系辞上)

◆意味:天命を理解し自然の理に任せたら憂うることは何もない。じたばたすることはないのだ。

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志在千里 / 志 千里に在り

◆中国語:志在千里   [ zhì zài qiān lǐ ]

◆出典:·曹操(步出夏门行・龟虽寿)

◆原文:老骥伏枥,志在千里。烈士暮年,壮心不已(老驥 櫪に伏すも、志は千里に在り。烈士暮年なるも、壮心已まず)

◆意味:壮大な志をもつ者は、年老いても若いころの理想を失わない、との意。年老いてもチャレンジ精神は変わらない、と。こうありたいと私も思います。

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