【千丈の堤も螻蟻の穴を以て潰える】と中国のことわざ 小さな蟻を見くびると…

会社の営業には必須の提案書。高度成長の真っ只中の中国で提案書はどう見てもモノクロよりもカラーの方が訴求力は強い。

そこで、会社でトナー式のカラープリンターを購入することを検討しました。かなり高価ですから費用対効果などをそれなりに検討しなければなりません。

最新カラープリンターと言えば選ぶべきは日本ブランド。まずは見積を。しかし意外なことが…

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石は海に沈む

会社でカラープリンターを買おうと考えたときのことです。当時はトナー式のカラープリンターは非常に高価で中国・大連の一般的な会社ではまだ見かけませんでした。

そんな時に日系の某一流事務機メーカーの中国法人の営業が北京から訪問してきました。どんぴしゃりのタイミングでしたので、さっそく見積を依頼し後日届けてもらうことになり、彼からの書面を待つことにしました。

 

ところが一週間たち十日たっても何の音沙汰もありません。まるで海に沈んだ石

已む無く大連にある別の日系事務機メーカーのカラープリンターを購入しました。わが社は大連で第一号のカラープリンターユーザーであったと聞きました。

巧言令色

その見積を出さなかった「某社」からはその後も何の連絡もありませんでした。そして数年が経ちその「某社」の本社の方が中国法人の営業社員を伴って突然訪問がありました。その時の用件は文書の電子化についての提案でした。

 

当時、我が社は右肩上がりにユーザーが増加し、紙ファイルによる顧客データの保管方法の改善策を考えなくてはならない時期にさしかかっていました。

ちょうどよかったので、わが社用にカスタマイズされた提案をしてもらうことになり、「某社」の日本本社の担当の方からも、丁寧なあいさつとともにカラープリンターの時の不義理を詫びる言葉がありました。

 

ところがまたもやそれを最後に連絡が来ることはありませんでした。巧言令色とはいえそんなにも口先だけだったとは思いたくなかったのですが…

結局、二度にわたって我が社の意向は無視された形になってしまいました。現地ではそんなに規模の大きくない我が社です。見くびられた、ということでしょうか。

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冨みて驕らざる

日本本社から出張で現地に入り自社の中国法人担当者を伴って顧客訪問…

よくあることです。この時に本社側の出張者の役職が上であればあるほど要注意。彼らは現地の自社社員を見下すことが間々あるからです。

 

見積要請を受け成約可能性を感じつつも半信半疑。何せ会社の規模は大きくないのですから。そこで日本本社の出張者は、こちらに向かっては「巧言令色」、隣席の現地部下社員には尊大な態度で「ちゃんとやっておけ!」と。

冨みて驕らざる」とは中国古来の格言です。日本で少しの出世、成功をおさめ海外出張もできるようになった自身を驕って、現地社員を見下していてはその先の発展はおぼつかい。

 

また、本社からの出張者は二、三日後には帰るのですから、その場をしのげばよいことくらい現地社員にもわかります。つまり重要視しなくても大きな問題にはならないと。もちろん責任感旺盛な現地社員もたくさんいるのですが…

その後はお決まりのパターン。中国では元来「見積」という概念が希薄で担当者は見積書作成を面倒がってつい後回しにされとうとう放置。

本社からの出張者も数日後には帰国、見積を出したか否かなどのフォローは眼中から消えてしまいます。

蟻の一穴

もとより私は一駐在員。会社は成長軌道に乗っているとはいえそれほど大規模ではありません。「某社」にとってはカラープリンター1台、文書電子化システムなど取るに足りないことかもしれません。

 

しかし、韓非子には「千丈の堤も螻蟻の穴を以て潰える」とあります。つまり蟻があけた小さな穴が堤防を崩してしまうことになるというのです。

口コミのこの社会で相手を侮っていては足元をすくわれることになりかねません。ライオンは小さな兎を捕まえるときにでも、一旦は一歩下がり勢いをつけて跳びかかるというのです。常に謙虚さを持ち、たとえ相手が地策ても侮らず真摯な態度で臨むべきであるということを忘れないようにしたいものです。

「中国ビジネス成功の決め手 現場目線で急所を解説」の目次はこちら

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

巧言令色 / 巧言令色

◆中国語:巧言令色   [ qiǎo yán lìng sè ]

◆出典:論語

◆意味:機嫌を取ろうとして、言葉を飾り表情を取り繕うこと。口先だけの言葉。

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富而不骄 / 冨みて驕らざる

◆中国語:富而不骄   [ fù ér bù jiāo ]

◆出典:左传(定公十三年)

◆意味:富裕であるが偉ぶらない。実はこの格言の全文は「冨みて驕らざる者は鮮(すくな)し。驕りて亡びざる者は、いまだこれ有らざるなり」と。少しばかりの成功を驕っていたのでは先はおぼつかないぞという警鐘を鳴らしています。

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石沉大海 / 石 大海に沈む

◆中国語:石沉大海   [ shí chén dà hǎi ]

◆出典:西厢记

◆意味:さっはり音沙汰がないこと。梨の礫。

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千丈之堤,以蝼蚁之穴溃 / 千丈の堤も螻蟻穴を以て潰える

◆中国語:千丈之堤,以蝼蚁之穴溃   [ Qiān zhàng zhī dī, yǐ lóu yǐ zhī xué kuì ]

◆出典:韓非子

◆意味:些細な油断や不注意から思いもよらない大事を引き起こすとの例え。

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