未曾有の大災害 中国で仕事をしている身として【電光石火】で何が必要

2008年5月12日午後2時半ごろ、四川省をマグニチュード8の大地震が襲いました。約9万人もの尊い命が失われたこの四川大地震(汶川大地震)はその後の10日間で800回近くの余震があり、被災者の不安はどれほどであったのでしょうか。

同じ中国とはいえ被災地から約2000キロも離れた大連の地でいったい何ができるのか…

スポンサーリンク

惻隠の心

大地震発生後、救援活動を行う様子は連日テレビで報道。その任に当たる軍を礼賛する報道が多いのはお国柄ですが、それは別として被災地の悲惨な状況を見るにつけ心が痛みました。

その中で、その日のうちに被災地に入った温家宝総理の電光石火の速さに驚くと共に、被災した小さな子供を抱きしめて「孩子别哭(子供よ、泣かないで)」と慰める姿をテレビを通してみて、胸が熱くなりました。寄り添いいたわり、思いやる姿に心が打たれました。

孟子のいう「惻隠の心」とはこういうことを言うのでしょう。

最も苦しんでいる人、大変な思いをしている人のもとへ飛んでいき同苦しようとする心が他者への思いやりの行動というものです。

鈍感では成功しない

中国でビジネスを展開している企業グループとして、甚大な災害に対して義援金を出してはどうかと、本社に具申しました。

しかし、非常に残念ですが、それは握りつぶされてしまったのか、梨の礫。

確かに、当時の中国では、拠出した義援金金額の企業別ランキングや、一方ではまだ拠出していない著名企業リストを公表するなど、なかなか理解しがたいこともありました。

また、何に使われるのか、果たして本当に被災者のもとに届くのか、などといった疑念もあったと聞いていました。

そういうことがあって日本本社は決断に至らなかったのかもしれません。

もとより、売名を目的にするわけではないので、金額の多い少ないは問題外。「善、小なるを以って為さざるなかれ」とは三国志の蜀の国、劉備玄徳が残した格言です。

未曽有の大災害に見舞われた中国で事業を展開する企業の総本部として、小さくとも善の心をもってその意を表してほしかったのですが…

私には「鈍感さ」としか映りませんでした。それでは相手の心には響きません。

スポンサーリンク

同憂相救

そんな煮え切らない日本側の態度に業を煮やした私は、大連単独で義捐金を募ることにしました。社内の工会(組合)を通して、真心からの義捐を社員に訴えました。集まった金額は約15000元(約25万円ほど)と決して多くはありませんでしたが、心の入ったお金で、堂々と赤十字社を通して募金しました。

 

中国古典には「同憂(どうゆう)相救う」と互いに助け合うことを訴えています。

地震国である日本で育った私たち日本人は地震の怖さをよく知っています。被災した人々と同じ苦しみの気持ちで助け合う、人として大事なことではないでしょうか。

私達が行っている経済活動も所詮は人の営み。「経世済民」という中国古典の言葉は、世の中をよく治めて人々を苦しみから救うことの意味で、「経済」の語源になっています。

中国国内で起きた大災害に一人の経済人として黙ってみているわけにはいかない。

被災民に「同憂」した総経理(社長)として、現地社員達の目に映ると思います。さらに、義援金の募金活動をする社会的に有益な会社に所属している誇りと自信を持ってくれたことと思います。

そういった誇りや自身は必ずや仕事に好影響を与えることになり、会社の業績拡大に寄与することになると考えます。

決して打算でやるわけではありませんが、社員や人に寄り添うことは巡り巡って結局会社のためになっているのです。

「中国ビジネス成功の決め手 現場目線で急所を解説」の目次はこちら

中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言

电光石火 / 電光石火

◆中国語:电光石火   [ diàn guāng shí huǒ ]

◆出典:宋·释普济(五灯会元)

◆意味:稲妻の光と火打石の火。動きが非常に速いことの例え。

»本文に戻る

 

恻隐之心 / 惻隠の心

◆中国語:恻隐之心   [ cè yǐn zhī xīn ]

◆出典:孟子(公孙丑)

◆原文:恻隐之心,仁之端也(惻隠の心は仁の端なり)

◆意味:他人を思いやったり、同情しあわれみ痛む気持ちのこと。

»本文に戻る

 

勿以善小而不为 / 善 小なるを以って為さざるなかれ

◆中国語:勿以善小而不为   [ wù yǐ shàn xiǎo ér bù wéi ]

◆日本語表記:勿以善小而不為

◆出典:三国志·蜀书·先主传

◆原文:勿以恶小而为之,勿以善小而不为。惟贤惟德,能服于人。

◆意味:どんなに小さな悪事でもしてはならず、どんなに小さな善事でもしようと心懸けよ。(三国志の蜀の国、劉備玄徳が臨終前に息子の劉禅に言い残した言葉。小さなことを軽視してはならないとの意)

»本文に戻る

 

同忧相救 / 同憂(どうゆう)相救う

◆中国語:同忧相救   [ tóng yōu xiāng jiù ]

◆日本語表記:同憂相救う

◆出典:吴越春秋·阖闾内传

◆原文:同病相怜,同忧相救(同病相憐れみ、同憂相救う)

◆意味:同じ憂い(悩みや苦しみ)を持つ人は、互いにいたわり合い、助け合うものである。

»本文に戻る

 

经世济民 / 世を經(おさ)め、民を濟(すく)う

◆中国語:经世济民   [ jīng shì jì mín ]

◆出典:東晋・葛洪(抱朴子)

◆意味:世の中をよく治めて人々を苦しみから救うこと。「経済」の語源。本来はより広く政治・統治・行政全般を示す語であった。

»本文に戻る

「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」はこちら

スポンサーリンク

Follow me!