実力よりも「長幼の序」が根付く中国社会 座りの良い形を

 

年老いた母の手を取ってレストランに入り、家族が揃っての食事会。きっと、母親の誕生日なのでしょうね。
中国でそんな風景を時々見かけます。中国社会には「長幼の序」が今も根強く生きています。

会社などの仕事現場でも、役職上の目上の上司とともに、年上の社員を敬う習慣が厳然としてあります。
ですから、社員が自分よりも年長の部下を持ったりするときは、長幼の序が逆転することになり、すわりの悪い組織になってしまいます。

 

 

成功するのは座りの良い組織の方

水は低い方に流れる、と言われるように、本人の実力や能力はそれはそれとして、長幼の序を外さないような組織作りが、中国では必要ということ。

すわりが悪い組織体では、社員間の団結や気持ちよく仕事をする環境が整わず、それぞれの社員が心底から努力することに対して、大きな期待ができない状況となってしまい、結果としては業績を拡大することは非常に困難です。

総経理としては、多少不本意な気持ちが残るかもしれませんが、まずは座りの良い組織にするのが賢明だと私は考えます。

 

 

▮酒の席での外せない「序」

この社会では、「序」はことほど左様に重要で、これを誤ると日本以上に厄介です。例えば、取引先を招待して会食をする際の席順です。円卓にどのように座るのがよいのか。

そこそこ場数を踏んでいた私にもなかなかわかりずらいのが席順。

図では①が上座で、テーブルにはあらかじめグラスやお皿などがセッティングされており、①の席にはナプキンが他の席よりもひときわ高く折られているので一目でわかります。

 

ここにはゲストの最上位者が座る席といわれます。しかしながら、実際にはホストが座るケースの方が圧倒的に多いようです。

 

ホスト=その日の支払者ということが当たり前ですので、ゲストもそれに対して敬意(謝意)を表して、本来ゲスト席をホストに譲ったということかもしれません。

①にホストが座る場合は、その左である②にはゲストの中の最上位者。後は招待者側とゲスト側の人が「序」を考えながら交互に座ることになります。

 

実際の場面では、自分がどこに座ればよいのかがわかりにくいので、全員が揃うまでは決して座らず、当日の顔ぶれが揃ったところで空気を読みながら席順を決めると言ったところでしょうか。取引先などの自分との力関係、部長か課長かといった地位、親近感(友達関係)等々を考えて相応の座席に座るのは結構面倒なことです。

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▮自分が良ければ…

日本ではさしずめ「とりあえずビール」を注文してから料理を注文するケースも多いかと思いますが、中国ではそうはいきません。

 

ゲストに何を呑むのか一応は尋ねますが、東北地方では「白酒にしましょう!」と進めるのが一般的。それに対してゲストがワインが良い、と言えばそれに従います。そして、白酒やワインが無くなったら、次はビールを飲む、という順番です。ビールを注文するときには、半分は冷えたのを、半分は常温を、という心配りも。

 

4種類程度の料理が円卓に出た頃に、乾杯、そして会食、歓談が始まります。それまではお酒にも口をつけず待つのです。

 

日本人がよく間違いをするのが「一人飲み」。中国では、料理もお酒もお互いのコミュニーケーションを深めるツールです。一口飲みたいときにも、誰か相手を見つけて目を見ながら乾杯をするのが習わし。

他の人からも乾杯を求められますから、それに応じることが大事です。そんな席で一人飲みをしていたら、人よりも多くの酒を飲むことになってしまいます。

こうしてお互いに打ち解け合っておくと、後々のビジネスで比較的スムーズに事が運びます。

 

もちろん今では昔と違って、お酒が苦手な場合は最初にそういえば無理強いされることはありません。中国人でも、ジュースやヨーグルトを呑んでいる人が珍しくなくなってきました。

 

▮他者のことを考える人に

日常の家庭で、仕事場での人間関係、地下鉄やバスなど社会生活の中でなど、あらゆる場面で年長者を敬ったりするような気配りが浸透しています。私もバスの中で、若い女性から席を譲られて面食らったことがありました。

 

中国社会の中で生活をして仕事に取組み成功を収めるためには、とても大事なことです。自分の周りにいる年長者、同輩、そして自分よりも年少の人達から慕われ、会社にあっては上司、同僚、部下、そして取引先などいずれからも、信頼される人物になりたいものです。

»「成功のツボ カテゴリー別記事一覧」もご覧ください。

 

▮中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言

长幼有序 / 長幼の序

◆中国語:长幼有序   [ zhǎng yòu yǒu xù ]

◆出典:荀子·君子篇

◆意味:年長者と年少者の間には前後尊卑に一定の秩序がある。

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由水之就下 / 水の下(ひく)きに就くがごとし

◆中国語:由水之就下   [ yóu shuǐ zhī jiù xià ]

◆原文:民归之,由水之就下,沛然谁能御之

◆出典:孟子(梁惠王上)

◆意味:水は低い方に流れる。物事は成り行きとして自然にそうなる。

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老者安之,朋友信之,少者怀之 / 老者は之を安んじ、朋友は之を信じ、少者は之を懐けん

◆中国語:老者安之,朋友信之,少者怀之   [ lǎo zhě ān zhī, péng yǒu xìn zhī, shǎo zhě huái zhī ]

◆出典:孔子 《論語·公冶长》

◆意味:年長者からは安心してもらえるように、同僚からは信頼され、年少者からは懐かしがられる。

会社でいえば、上司からは頼りにされ、同僚とは間は自分さえよければという考えを廃し、部下に対しては思いやりを持つ、ということか。

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»「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」もご覧ください。

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