長所は短所でもある お辞儀と握手のチャンポンは今一つ 卑屈にならず堂々と

 

上海から中国の東北地方の大連に異動することが決定し、そのことを当時、習っていた中国語の先生に伝えたところ、先生からこんなアドバイスをいただきました。

「握手をするときにお辞儀をしてはならない。」と。相手の手を握りながら頭を下げるな、ということです。
さて、その心とは…

 

 

▮お辞儀のルーツは中国に

日本人は一般的な挨拶にはお辞儀をするのが習慣。自分の首を差し出し、敵意がないことを表現したのがその由来だそうです。日本人にとってはお辞儀をするのが一般的な挨拶で、その丁寧さは日本の美徳です。

 

お辞儀は奈良時代に中国から伝わったのが始まりで、面白いことに、その中国ではいつのまにか、挨拶をする際には握手が一般的になりました。

 

ということで、中国で仕事をする日本人も、中国人に挨拶をする際には握手をするようになります。しかし、お辞儀が体に染みついた日本人、握手をしながらついつい頭を下げてしまうことがあります。

 

▮謙遜は日本の美学…

挨拶としてはお辞儀であっても握手であっても、相手に対して敬意を表し親睦を表現していることには変わりないのですが、横から見ている人には少々奇異に感じてしまいます。

より丁寧にと思い、左手を添え、両手で相手の掌を包み込むような握手をしながら、頭を下げる、という姿は相手が国家元首でもない限りは、傍から見ると卑屈に見えてしまいます。

 

人に対して謙虚であることはリーダーとして必要なことです。謙虚とは驕ることなく控え目に振舞うこと。

一方、謙遜とは相手に対してへりくだり、自分を低くすること。握手をするときに頭を下げるのは、謙遜が過ぎる。むしろそれは卑屈に見えるから、握手をするときにはお辞儀をしてはならない、という冒頭の中国語の先生のアドバイスになったのである。

 

▮堂々と行こうではないか

君子は泰にして驕らず」と論語にあります。自信を持ちながら同時に謙虚でなければならないとの意味です。そこには「謙遜」はありません。

握手にせよお辞儀にせよ、武器は持っていません、敬意を表し、親睦を表すという意味ですから、お互いが対等であり堂々とした態度が求められます。結婚式のスピーチで、新郎に対する誉め言葉の決まり文句には「儀表堂々」とよく言われます。風采が堂々としているとの意味ですが、中国で求められるのは、へりくだりではなく、堂々とした態度、ということではないでしょうか。

 

▮謙虚も過ぎては…

相手が先輩であれ後輩であれ、また顧客であっても、謙遜することなく、謙虚にして堂々とした態度で臨むのがよいと思います。

但し、謙虚も過ぎるとへいこらして見える。過ぎたるは猶及ばざるが如し。リーダーとしては、謙虚と毅然とした態度を兼ね備えたいものです。

洋式の挨拶である握手をするときに和式のお辞儀をちゃんぽんすると変な味になってしまいます。如何に日本の美徳であっても…です。謙遜は日本人の長所の内のひとつ。しかし、長所は短所といわれるように、海外では短所として映ることもあるということです。

握手をするときには堂々と…がよい。くれぐれも、お辞儀と握手は同時にしないように…。

»「成功のツボ カテゴリー別記事一覧」もご覧ください。

 

▮中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言

泰而不骄 / 泰にして驕らず

◆中国語:泰而不骄   [ tài ér bù jiāo ]

◆日本語表記:泰而不驕

◆出典:論語(子路)

◆原文:君子泰而不骄,小人骄而不泰。

◆意味:君子は静かで落ち着いた態度(自信を持った態度)でありながら、しかも謙虚である。成功するリーダーとしては、謙虚であることが不可欠要件であるが、同時に毅然とした態度も持たねばならない。決して卑屈であってはならない。

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仪表堂堂 / 堂々とした風貌

◆中国語:仪表堂堂   [ yí biǎo táng tang ]

◆日本語表記:儀表堂々

◆出典:王定保《唐摭言·海叙不遇》

◆意味:見た目は端正で、立ち居振る舞いがおおらかで、威厳を持った態度のこと。

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过犹不及 / 過ぎたるは猶及ばざるが如し

◆中国語:过犹不及   [ guò yóu bù jí ]

◆日本語表記:過猶不及

◆出典:論語(先進)

◆意味:行き過ぎるのは足りないのと同じようなものである。

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善骑者堕 / 善く騎(の)る者は堕(お)つ

◆中国語:善骑者堕   [ shàn qí zhě duò ]

◆出典:淮南子·原道训

◆原文:夫善游者溺,善骑者堕(善く泳ぐ者は溺れ、善く騎(の)る者は堕(お)つ)

◆意味:乗馬が得意な人は落馬する。人というのはその道に優れていると、返って油断を招き失敗することがある。成功と失敗、長所と短所、共に背中合わせ。油断はできない。

※長所は短所:長所は時と場合によっては短所にも成り得る。長所であっても当てにしすぎることがないように、との戒め。

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»「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」もご覧ください。

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