左思右想。総経理(社長)が労働組合を作った… その心は?

 

中国では法律で各企業は会社内に工会(組合)を設けなければなりません。

工会とは労働組合のようなものですが、総経理としては、中国の法律で設立が義務付けられていると聞くと、どうしても構えてしまうようなところがあります。

そんなことがあってかどうか、当時の日系企業には、きちんとした工会を設立している企業、工会があるけれども形骸化して無活動の企業、設立さえしていない企業と、様々。

私が大連に赴任したころの我が社も、以前から工会自体はありましたが、形だけ、名ばかりで何の活動もしていませんでした。

そこで私は左思右想、意を決して自らが工会を作り直したのです。普通の日本人総経理は嫌うことを何故?

 

 

▮工会は社員とのパイプ

法に従って従業員の合法的権益を守ることが工会の目的のひとつですが、有り体に言えば、更なる幸福を追求することであり、その思いは企業側とて同様です。

 

中国ビジネスが拡大するにつれて、現地の社員がどんどん増加していきます。そのような状況で、待遇面やベースアップなど、社員に相対することが求められるシーンは増えていきます。日本人総経理(社長)にとって、それらのシーンでの対応は決して易しくはありませんし、手抜きもできません。

そこで、工会を設立しその責任者である主席に、普段から一般社員とのパイプ役を担ってもらうことを考えました。
自社のビジネスを成功させるツボのひとつである、社員との意思疎通のための一翼を工会で担ってほしかったのです。結果としては社員の皆さんのためにもなるはずという考えでした。

 

 

▮工会は要らないのか 聞いてみた

そんな腹案をもって、何人かの社員に「工会は要らないのか?」と聞いてみると、一様にあった方がよいとの意見。ならば、ということで、改めて正式に設立することを提案、もちろん賛同を得ました。

 

主席などの役員の立候補を求め、投票の日時を設定し社内に周知するところまでを、私(会社側)が行いました。

直接投票までのお膳立てを行い、開票以降の作業は彼らが自身の手で行い、役員を選出し正式に発足させました。その後、正式に工会上部組織に加盟が認められました。

 

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▮敵対関係?

規定のとおり、総経理と人事担当者以外はすべて工会員とし、工会主席にも工会サイドから組織のまとめを担ってもらう体制がスタートしました。

 

日頃のパイプ役のほか、各社員と会社の労働契約更新時期が到来した際の、更新不更新の協議や、社内リクレーション共同開催など、組織運営の円滑化にずい分貢献するところとなりました。

例えば、給与のベースアップでは、工会主席を通じて一般社員の持つ「上げ幅感」を事前に聞き取ってもらい、改定案を作るという具合です。

 

中国の工会と会社の関係は、日本式にいうところの「労使は敵対する」関係では決してありません。むしろ、横に並んで座って同じ方向を見つめる協力関係にあると思います。

 

小さな会社といえども社員数が200人も超えてくると、なかなか現場の社員達の思いや彼らが考えていることなど、上からは下が見えなくなってきます

その点を補ってくれるのが工会であり工会主席です。社内の風通しがよくなり、立場上、違う角度から共通の目標にチャレンジする方向性が生まれました。

 

 

▮すべての道はローマに

企業は従業員による工会の設立を妨害してはならないという中国の規定があります。

一般的に総経理は工会設立を嫌がるはずであるのに、私は自らが積極的に関与したことに、社員の皆さんは驚いたはずです。

すべての道はローマに通ず。工会も会社も目指すところ場同じだ。例えば、山の頂上を目指すのに、会社の選んだ登山コース、工会が選んだ登山コース、それぞれ違います。が目指す頂上は同じです。

▶「成功のツボ カテゴリー別一覧」もご覧ください。

 

 

▮中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言を解説

愈上则愈聋瞽 / 愈いよ上れば則ち愈いよ聾瞽(ろうこ)なり

◆中国語:愈上则愈聋瞽   [yù shàng zé yù lóng gǔ]

◆出典:呻吟語

◆意味:地位が高くなれば耳が聞こえなくなり眼が見えなくなる。組織が大きくなれば現場の声はトップに届きにくくなる。

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左思右想 / 左思右想(さしうそう)

◆中国語:左思右想   [ zuǒ sī yòu xiǎng ]

◆出典:明、冯梦龙《东周列国志》(馮夢龍《東周列国志》)

◆意味:あれこれ思い巡らせること

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▶「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」もご覧ください。

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