麻中之蓬、環境は人を育む。中国で社員の成長のため競争原理を機能させるには

 

中国が市場経済に移行したのは1978年。
以来、経済の改革を続け、この間の経済発展は目を見張るものがあります。
しかしながら、実際の中国の市場での競争はまだまだの状況で、さらに改革が進むことを期待しなければなりません。

一般の社員達も、競合する他の会社との競争など、市場競争経済に徐々に慣れてはきていますが、社内の社員間で競争するなどとは考えられないことであったようです。

元来、社員ごとの業績評価もしないで、一律のベースアップをするという“大鍋飯”の運営をしていたので、それは無理もないことです。

しかし、そのままでは生ぬるい会社にしかなり得ず、スピード豊かな発展は望めません。
どうしても、社員間で競争し会社を活性化させなければ…。

 ※大鍋飯誰もが同じ待遇であること。

 

 

▮以前は考えられなかった 社員が仲間と競争をする

中国でのビジネスを成功させるには、まずは活力のみなぎる会社にしなければなりません。社内に活力を生み出すには社内で社員同士の間にも競争原理を働かせることが肝要であると考えました。

それを実現し、常とする仕組みはどのような形が良いのか、それをどう作ればよいのか沈思黙考、熟慮しました。

 

手始めに社員のみんなにこう語りかけました。

「中国では改革開放が進み、すでに“大鍋飯”の時代ではなくなった。今までは、手をつないで横に並んでみんなで一緒に歩を進めてきた。しかし、それではついて歩くのがつらい人もいるだろうし、また、他の人よりも速く歩きたい人もいるだろう。だから一旦その手を放そう。」と。

更に、「競争は向上心をもたらし自身も競争相手も、共に成長できる。各人の生活をもっと豊かで、幸せになものにしよう。」と競争の必要性を説いたのです。

 

社員の反応は予想通り芳しいものではありませんでした。

中には、そんなことをしたら友達を無くす。だから友達とは競争できないと訴える社員が目立ちました。

それに対し、「お互いに幸せになれるのが「競争」だから、友情と競争が共存できるはずだ。また、そうするのが真の友人ではないのか。」と口酸っぱく訴えたのです。

とにもかくにも、社員同士の慣れない競争が始まりました。会社としては中国ビジネスを成功させるため、社員個人にあっては競争によってより高い豊かさを享受できるようにするため、自他共の成功を目指しました。

 

▮三重の競争

さらに、こんな仕組みを作りました。

営業部門は、数名で1チームとして数チームを編成しました。そのチームごとに課長をリーダーとして配置し、そして課長間で競争する仕組みを作りました。

次にいくつかの課で「部」を編成し、責任者である部長間でも競争しました。

つまり、社員同士、チームのリーダーとしての課長同士、それに部長同士という各階層で競争することにしました。こうして社内に幾重にもなる競争関係を作り、各層での競争が始まったというわけです。

 

▮同期の社員間の競争

さらに、少し優秀な社員が出現し、例えば彼を「主任」に任命したいときには、あえて別のもう一人を「主任」に任命し、同時期に二人の主任を作り、彼らの間でも競争をしてもらいました。

 

同期に任命されたわけですから、両者ともに相手に負けたくないという気持ちは当然のごとく湧いてきますので、ことさら「競争」を強調しなくても自然と競い合うようになりました。

 

 

スポンサーリンク

 

 

▮表彰のツボ

月単位で競争し、勝利者にはもちろん栄誉を送りますが、非勝利者(敗者とは言わずあえてそう言います)に対しても健闘を讃え、次月の期待を表明するわけです。面子をつぶすと一巻の終わりですから、むしろこちらの方が大事です。

 

時にはセールスキャンペーンも実施しました。よくある、最優秀者賞、敢闘賞などと設定するのですが、これはあまり効果が期待できません。

 

何人もいる中で賞をもらえるのはせいぜい2~3人。そうすると結果が見えてきたころには大半の人があきらめて努力をしなくなり、結果としてトータルの成果はさほど大きな期待はできません。

むしろ、成果に応じて全員に何らかの「賞」が行きわたる仕組みの方が全体としての効果が上がります。
例えば、個人目標を達成した人全員に「目標達成賞」を出すなど。

 

▮外との競争

そして、そんな競争の中で極めつけは、「上海のグループ会社に勝とう」戦略です。

誰が考えても上海と大連では市場規模が桁違いです。たとえば新規顧客の獲得実績など、上海の方が大連よりも多いのは当たり前で、そういう結果を見ても誰も驚きはしません。

 

しかし、もし、大連が上海を上回る成果を出したらどうなるか。もちろん計画対比の達成率ではなく、スクラッチの勝負です。これは誰もが驚くはず。そして、上海は大連に負けたくないですから更に頑張ることでしょう。

 

するとグループ全体としての成果は大きく伸びます。

常にトップと自認していた上海を覚醒させ、安閑とはしてはいられない状況を作り出すことで、結果として全体の業績を押し上げることになります。この施策は、大連の我が社のみならず、中国にあるグループ会社全体の成功に導く大きなツボでした。

 

そういう使命が大連にあるのだ、と強烈に社員に訴えました。実際に上海社を脅かすところまで行きました。きっと大連の社員にも大きな自信がついたと思います。

 

▮楽しく競争 大きく成長

幾重にも重なる競争シーンは、社業拡大にとても大きく貢献する結果となりました。もちろん、中国でのビジネスが成功したって、厳しくなる競争環境によって、もし「ぎすぎす」した組織になってしまうのは本意ではありませ。それを少しでも和らげるための社内イベント活動を併用しながら、「楽しく競争する。」を是としたのです。

 

麻の中の蓬」の例えの如く、環境は人を育む。多くの素質を持っていなくても、人は環境によっては能力が開花し成長することもあります。

競争の仕組みを作り、楽しく実行したという環境の中で、努力した社員たちが大きく成長しました。

彼らにとって最初はなじめなかった「競争環境」ですが、結果は待遇面の改善を自らの努力で勝ち取ったり、仕事や人生に自信を持てるようになったり、と私にとってもうれしい結果となりました。

 

▶「成功のツボ カテゴリー別一覧」もご覧ください。

 

 

▮中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言を解説

蓬生麻中,不扶而直 / 蓬(よもぎ)も麻中(まちゅう)に生ずれば、扶(たす)けずして直し

◆中国語:蓬生麻中,不扶而直   [ péng shēng má zhōng, bù fú ér zhí ]

◆出典:荀子(劝学)

◆意味:蓬は普通は地面に沿うように生えている。しかしまっすぐ上に伸びる麻の中に植えると、支えがなくともまっすぐに育つ。人間も同じで、 環境や良い交友関係に恵まれれば、それに感化されて立派な人間に育つのだという意。

▶ 本文に戻る

 

 

沉思默想 / 沈思黙考する

◆中国語:沉思默想   [ chén sī mò xiǎng ]

◆出典:明·吴承恩《西游记》

◆意味:深く掘り下げて考える。

本文に戻る

▶「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」もご覧ください。

スポンサーリンク

Follow me!