石橋を叩いている間に 通り過ぎてしまうそのチャンス

 

 

私が中国に赴任した1998年のちょうど一年前の1997年7月に香港が中国に返還されました。
異なる政治体制の下で、香港はどうなるのか、という不安が社会にあったことは容易に想像できます。

中国は社会主義体制の中でも、資本主義が維持される一国二制度の導入を
50年間にわたって保証するという公約をしました。

以来、20年ほど経過しましたが、昨今ではそれが脅かされそうな事案が散発しています。

「約束が違うじゃないか」と言いたくもなると思われますが、
難攻の相手を言いくるめる、実はそれは「笑裏蔵刀」とか「口蜜腹剣」という常套手段。

 

 

中国でM&Aを試みるも

私が、瀋陽に支店を開設し業務を開始した後の出来事です。一軒一軒顧客を開拓することが基本ですが、他方、地元の会社を買収する方法もあり、という方針が本社より示されました。

 

瀋陽では、それなりに事業を展開していた同業の会社があり、もしその会社を買収すると一気に顧客数は増大します。

ある日、私はその会社に単身で乗り込み、総経理(社長)に向かって「会社を売る気はないか?」と尋ねました。

日本では初対面の相手にそんな不躾なことを言うことなどできませんが、そこは中国、そんな気を使うことはありません。その証拠にその総経理からは「いくらなら買うのか?」との想定外の返事。

私はどうせ「馬鹿なことは言うな。俺が心血を注いで作った会社だ!」と言った返事を予想していたのですが、誠に単刀直入の言葉に、私の方が戸惑い、「まだ値段は検討していない。とりあえずその意向があるのか、ないのかを知りたかった。」と。

 

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問題の元は日本にあった

条件次第では会社を売ってもよいということであり、さっそく本社に報告。その後、担当者が本社から出張で現地入り、詳細を調査・検討を始めました。

 

これが、最悪の問題でした。

日本ではこのような場合、当然ですが、相手方の財務諸表を基に資産状況などを調べます。

数日間にわたる調査検討した結果、その会社を買うのは割が合わないとの結論でありました。

 

しかし、中国の普通の会社ではさほど細かく財務処理をしている訳ではありません。もちろん、よいことではありませんが…。

ということは、中国では買収に値する会社はごく例外的に存在するだけで、一般的には日本基準に見合う会社はないということになります。

 

 

拙くても早い方が

そんな目先のことにこだわっている間に、そのチャンスは通り過ぎてしまいます

中国では、そういうやり方ではなく、ほしいものを持っている(この場合は顧客)会社を、
一旦、自分の掌に載せて(買収)、余分なものは取り除き、必要なものだけを残す。

そんなことをすると、余分なお金がかかってしまうことになりますが、それを織り込んで「買う」決断をしないと、中国での買い物は進みっこありません。とにかく求められるのはスピード。

一旦、手の上に乗せればこっちのもの。後はじっくり次の手を考えればよい。

日本の保身サラリーマンにはできそうにありませんが…

 

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 ♣♣♣ 中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言を解説 ♣♣♣ 

 

笑里藏刀 / 笑裏(しょうり)に刀(かたな)を蔵(かく)す

◆中国語発音:[xiàolǐcángdāo]

◆日本語表記:笑裏蔵刀

◆出典:兵法三十六計の第十計にる戦術。

◆意味: 表向き、笑いの中に刀を隠しもっているの意。敵を攻撃する前段階として、まずは友好的に接近したり講和停戦して慢心させる作戦を指す。「口蜜腹剣」と同意。

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[解説]

 

顾小利则大利之残也 / 小利を顧みるは則ち大利の残なり

◆中国語発音:[gù xiǎo lì zé dà lì zhī cán yě]

◆日本語表記:顧小利則大利之残也

◆出典:韓非子

◆意味:目先の利益にこだわっていると、大きな利益を失ってしまう。

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