性急な中国でも「急がば回れ」の方が勝つ その理由は…

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私が大連に赴任したのはわが社が設立されて約6年余り経過したころ。

当時は競争相手が1社だけ。と言っても、そこは地方政府直轄の同業社で、権力を背景にした国有会社でした。

政府の一部局のような位置づけで、地方政府の「権力」を背景に幅を利かせていました。
顧客数はわが社の30倍以上を保有。圧倒的な占有率でした。

ちっぽけな存在であった我が社が、そんな市場でどうやって戦い、そして中国ビジネスを成功させるのか。
勝利を呼び込む現場目線でのツボはどこに…

 

 

▮簡単ではない 市場競争型になりきれていない社会

中国・大連は総人口が約600万人、そのうち市街地人口は約350万人。中国としては、決して大きくはありません。

1978年から中国で改革開放政策が始まり、翌1979年には深圳等が経済特区に指定されました。その後1984年には上海や大連などにも対外開放という新しい波が及んできて、それまでの計画経済から市場経済に移行を始めました。

 

そうは言っても、30年余りも続いた計画経済の習慣が、突然変わることは不可能です。改革開放路線にかじを切って20余年のころの大連では、市場競争社会にはまだまだなり切れていませんでした。

 

▮中国人は一発勝負が大好き…

そんな市場にそろり、船出した我が社。日本からやって来たちっぽけな現地会社としては、強大な権力を背景にした官権企業の前に、こそこそやっていくしかなかったようです。

したがって大連のマーケットを開拓する際の原則は、一軒一軒説明をして、必要性を認めてもらい顧客を開拓することです。

日本人はそういう新規開拓に慣れていますが、中国人はどうも「コツコツ」は好きではないようです。中国人は、大口の顧客開拓を狙って一発勝負には目の色を変えますが…。

急いては事を仕損じる。」ということわざもあるのですが、現代の「楽に儲ける」考え方に傾斜しているように思えてなりませんでした。

 

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▮”御上”との競争に

もとより私は、「競争は向上心をもたらし成長を促す」という考え方をもっていましたので、その同業社を我が社の競争相手にして、事業を拡大させ中国ビジネスを成功に導くことを当然のように考えました。

 

ところが、当時の社員の心の中には、お上である政府は絶対的で、その直系企業と競争するなどということは考えも及ばなかったようです。

結果的に私の考えに対して皆は懐疑的で、同調する社員はいませんでした。そもそも我が社は外資企業であり、そんな権力を伴うバックグランドはもちろん無く、公正な競争はあるべくもないことで、彼らの考えもやむを得ないことだと思います。

 

▮強力な権力を背景にした官企業 見つけた! それこそが弱み

一般の国民を睥睨する政府の姿勢が際立っている国家で、その権力を背景にしているその競合社は、簡単に言うとユーザーに対してとても偉そうに振舞っていました。そのビジネス構造は、自分たちのために、ユーザーという下部から利益をむしり取っている。決してユーザーのために仕事をしているわけではないのです。彼らの振る舞いを見てそう感じました。

 

権力を背景に投網をかけるように、有無を言わせず顧客を開拓(?)し、そのあとはほったらかし。そんなことですからユーザーからの信頼は得られていませんでした。

一党独裁下で絶対的ともいえる強力な権力を背景にした企業です。しかしながら、視点を変えると、そこにこそ弱点があり、そこを攻めれば我が社は勝てる! 私はそれを確信しました。

 

我が社は、顧客には顧客のために最良の品質でサービスを提供し、同時に私たちの努力で新規顧客を最大限に開拓する。遠回りのようでも地道に一つひとつを積み重ねることこそ勝利の要点であると確信をもちました。

さほど大きくはない大連市で、その競合社との違いは口コミで瞬く間に市場に広まって行きました。

 

 

▮急いては事を仕損じる

我が社の一軒一軒説得して回る地道な営業活動を見て、競合社の彼らは笑っていたようですが、その数年後には答えが出ることになります。

ろくなサービスしか提供していないその管企業、良質なサービスを一軒一軒に提供する我が社、優劣が明らかになったのです。

中国では、株式(中国では「股票」)や不動産投資など、すぐにでも儲かる投資に関心が集まり、果ては公園での賭け将棋やトランプ、賭けマージャンに至るまで、一発勝負ものが好まれます。まどろっこしいものには関心を示しません。

 

しかし、我が社のコツコツ型営業が勝利したことで、社員達は「急いては事を仕損じる。」ということを少しは理解してくれたものと思います。

 

但し、いくら急がば回れといっても、スピードが求められる中国マーケットにおいては、日本本社のように判断が遅く、時には「石橋を叩くばかりで、結局渡らず」のようなことは論外ですが…。

 

▶ 「成功のツボ カテゴリー別一覧」もご覧ください。

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▮中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言を解説

欲速则不达 / 急がば回れ 急いては事を仕損じる

◆中国語:欲速则不达      [ yù sù zé bù dá ]

◆日本語表記:欲速則不達(読み:速やかならんことを欲すれば則ち達せず)

◆出典:論語•子路

◆原文:子曰:“无欲速,无见小利。欲速则不达,见小利,则大事不成。”

◆意味:急がば回れ。せっかちにやろうとすると目的に到達できない。急いては事を仕損じる、の意。

 

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瞻前顾后 / 石橋を叩いて渡る

◆中国語:瞻前顾后   [ zhān qián gù hòu ]

◆日本語表記:瞻前顧後

◆出典:戦国·楚·屈原《离骚》:“瞻前而顾后兮,相观民之计极。”

◆意味:前をよく眺め、後ろを振り返る。あれこれ気にかけてためらうこと。(優柔不断)

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▶「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」もご覧ください。

 

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