唯々諾々の無責任幹部が変わった! いったい何故に…?

 

私がいた当時は、わが社では幹部には1台ずつパソコンを配備し、一般社員はそれぞれの部門で1台~数台を共用するような時代でした。

そんな時、ある社員が仕事で使うパソコンを1台増やしてほしい、と私のところにやってきました。

そういうことなら部門の責任者に言えばいいじゃないか、と告げました。

しかし、彼曰く、言ったけれども責任者からは「総経理に直接言ってくれ。総経理がOKしたら買おう。」と言われたとのことでした。今頃、何を…と思いますが、当時のレベルはそんなもの。

もし、総経理の立場でパソコンの購入を認めなかった場合、購入を申し出た社員の直属の上司は、彼に何というでしょうか?

「私は買いたいのだが、総経理が認めないのだからやむをえません。」と、「ケチな総経理だ。」と言わんばかりに。

 

 

▮唯々諾々とした無責任幹部

他にも、たとえ簡単なことであっても、何でもかんでも社員の方から直属の上司を飛び越えて、直接言って来るのです。「これ、どうしましょうか?」と。

中国では、何事も鶴の一声で決まる」といわれるように、総経理が全権を握る一極集中型の運営が普通だった時代です。
我が社も、私が着任する前から、担当者→総経理が判断→部門責任者に指示、というやり方だったようです。

当時の幹部には「不作為の罪」という認識はなかったようで、唯唯诺诺と総経理の決定に従うのが普通だったのかもしれません。総経理の方も部下を信用できなかった(信用してはいけなかった)という側面もあったのでしょう。

加えて、責任者も総経理とは違った判断をした時の、リスクを感じていたのだと思います。その時に何か失うのではないか、と。

何も判断しなければ、そんな心配はなく怒られることもありませんから。しかしそれでは同時に幹部としての自分の成長もなくなってしまいます。(そんな社員は中国に限らず日本にも多いですよね。)その結果としては、中国ビジネスの成功は遠のいてしまいます。

 

▮総経理一極集中を排除

それで、総経理(社長)一極集中型のやり方を改めることにしました。

発生した問題はその部門の責任者が解決するべきである、ということを原則に、自分の部門だけでは解決できないのであれば、関係する他の部門責任者と相談して決めたらよい。すべての部門責任者が相談しても解決できないような問題があった時には、総経理に相談をすればよい。といふうに改めました。

 

それを左のように図式化しました。

部門ごとの責任者(部長)には、相応の権限を付与し、担当する部門の問題や社員とのやり取りに責任を持ってもらいます。
そして総経理との間の報告・申請などを同時に行います。これは至極当たり前のことなのですが、これができるようになったのはこの段階のことです。

同時に、ありがちな与えられた権力を振り回すような責任者であっては困りますので、私は、そのルートとは別に、一般社員との直接のルートを同時に持つようにしました。これは責任者の暴走をけん制する効果を狙うと共に、責任者に責任を果たしてもらうことを目的としたチェック機能です。もちろん一般社員に対し直接激励を行うことを一体として運営しました。

その結果、その後は唯々諾々の幹部社員は一人もいなくなりました。幹部社員は皆、意を理解し実践してくれました。もちろん社業の発展に大きく寄与した、とてもうれしい結果となりました。

 

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▮如何なることがあっても放してはならない権限…「二柄」

この部門ごとに責任者が責任をもって運営する方式によって、ずいぶん社内の意識改革が進んだと感じています。

ただし、如何に信頼する部下幹部社員であったとしても、丸投げは絶対に避けなければなりません。

もしそれをやってしまうと、一般社員はその権限を手にした幹部社員の方を向いて仕事をするようになり、総経理はいずれ裸の王様状態にされ、無力な名前だけになってしまいます。

私は3つの権限は最後まで手放しませんでした。

韓非子には「賞を与え、罰を科す」という二つの権限をしっかりと握って放すな」とありますが、私は人事とお金、それに表彰制裁に関する権限は自分の手中に置いて放しませんでした。

>「成功のツボ カテゴリー別一覧」もご覧ください。

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▮中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言を解説

唯唯诺诺 / 唯々諾々(いいだくだく)

◆中国語:唯唯诺诺    [ wěi wěi nuò nuò ]

◆日本語表記:唯々諾々

◆出典:韓非子(八姦編)

◆意味:事の善し悪しにかかわらず、他人の言うがままに従うこと。

◆解説:「唯」の字義は、返事の「はい」のこと。「唯々」は、「はいはい」と返事をすること。「諾」とは引き受けることで、「諾々」は他人の言うことに従う様子。君主に媚びへつらう奸臣は、唯々諾々と君主の命令を受け入れてお世辞ばかりを言うこと。

◆原文: “此人主未命而唯唯,未使而诺诺,先意承旨,观貌察色以先主心者也。”

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明主之所导制其臣者,二柄而已矣 / 明主の導(よ)ってその臣を制するものは、二柄のみ

◆中国語:二柄而已矣   [ er bǐng ér yǐ yǐ ]

◆出典:韩非子•二柄第七

◆意味:君主は二つの柄で臣下を押さえ込む。

◆解説:明主とは名君のこと。韓非子は、臣下というものはもともと信用できないという考え方で、いつ裏切るかもしれない。そんな臣下を思い通りに使いこなすには「二本の柄」をしっかりと握り放さないこと。二本の柄とは賞を与え、罰を科す権限をいう。(中国語では「柄」は権力という意味もある。)

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总经理说了算 / 総経理説了算

◆中国語:总经理说了算   [ zǒng jīng lǐ shuō le suàn ]

◆日本語表記:総経理説了算

◆意味:決定権限を持っているのだから、総経理が言ったらそのとおりにします、との意。

◆語源:「今年有人説“房価総理説了不算,総経理説了算”,您对此怎么看?」という質問をラジオ番組の司会者がしたそうです。

「マンション価格について総理(首相)がいくら言ってもだめだが、総経理(社長)が言えば決まると言っている人がいるが、どう思うか」という質問です。

これは発音が似た「総理」と「総経理」をかけたもので、なかなかウィットに富んでいます。

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>「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」もご覧ください。

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