日中間で大きく異なる価値観… 壊れない金の橋と不争の徳で

 

ある時、日系企業の工場建築の現場事務所で、日本の建築会社の監督が中国人の作業員に大きな声で怒鳴っているところの遭遇したことがあります。

各部屋の電灯のスイッチが斜めに付いていること、および床からの高さがバラバラであったことがその理由のようです。

怒鳴っている日本人は、顔を赤らめてカッカしていますが、怒鳴られているほうは、何を怒っているのかわかってはいません。なぜ? 言葉の問題ではありません。

 

▮スイッチが斜めでも電灯は点く、消せるじゃないか

日本では高さや傾きがないばかりか、スイッチのプレートを止めているビスの締め具合まで+の位置に合わされています。

それが日本品質であり、日本の美学でもあります。

しかし、電灯のスイッチは電灯を点けたり消したりするもの。その機能に問題なければ向きが斜めであっても、高さが違ってもいいではないか、というのが現地の中国人の考え方です。

 

その他にも、建築工事の工程表を作っていない現場(いつ工事が終わるのかわからない)や、建築が終わって建築主の検査の時に、ドアに鍵がついていないことがわかり、指摘すると「ドアは作れとは聞いているが、カギを付けよとは聞いていない。」と反論されキレた日本人の話など、日本人からすれば「なんじゃ、そりゃ」ということが数多くあります。

 

▮お隣さんとの価値観の違い 不争の徳

それらの原因は、能力や知識ではなく、価値観の違いにあると思います。日本と中国はいわゆる「一衣帯水」の関係にあると言われる「お隣さん」です。顔の色や風貌などもよく似ています。ですが、考え方や習慣は大きく異なります。

 

隣家同士が争って得るものは何もない。(旅順・203高地から遥か、旅順港を臨む2017/5/14)

「こんなこともできないのか!」とくだんの現場監督のように怒っても、価値観の違いを埋めることにはならず、意味のないことです。

 

日中友好を語るとき「お互いに相手を認め合い、理解し…」などとしばしばいわれます。日中が国交を正常化して久しいですが、その間ずっと同じようなことを繰り返し言ってる状況です。双方が理解しあえるにはまだまだ何十年もかかることでしょう。

否、永遠に理解し合えることはないように思います。「友好」とは仲良し、よしみを意味しますが、具体的な「友好」のスタイルは様々。ひょっとしたら今の形が「日中友好」なのかもしれません。争わない=仲良し、という理解です。

 

▮違いを乗り越えることが成功のツボ

しかし、日中のビジネス現場では待ったなしです。何としても双方の価値観の違いによるミゾを埋めなければ成り立ちません。しかし、その溝、何十年かけても埋まりそうにありません。こうなったら、溝は埋めるのはあきらめて、溝の上に橋を渡すことにした方が早い。

日本側が中国の現地に乗り込んでビジネスをやっているのですから、日本側が主導的にミゾを跨ぐ橋を架けることをしなければならないと思います。損して得取れと言われているとおりです。中国での事業を成功させるために越えなければならないツボです。

 

双方の間にミゾがあることを認識し、理解をすることにより、対策が見えてくるのではないでしょうか。「一衣帯水」の言葉の奥には、「潜んでいる違いを乗り越えよ」と書かれているように思えてなりません。

»「成功のツボ カテゴリー別記事一覧」もご覧ください。

 

▮中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言

一衣帯水 / 一衣帯水(いち、いたい、すい)

◆中国語:一衣带水   [·yī yī dài shuǐ]

◆出典:南史

◆日本語読み:いち、いたい、すい

◆原文:我为百姓父母;岂可限一衣带水不拯之乎?

◆意味:細い帯のように、長く狭い川や海峡のこと。二つのものがきわめて近いことの例え。

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»「一衣帯水の日本と中国 その狭間で成功発展させるカギは」もご覧ください。

 

 

不争之德 / 不争の徳(ふそうのとく)

◆中国語:不争之德   [ bù zhēng zhī dé ]

◆出典:老子

◆意味:争わないことこそが徳である、との意。徳のある人はむやみに人と争はない。(平和を脅かす場合などでは断固としてその魔性と戦わねばなりませんが…。)

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吃小亏占大便宜 / 損して得取れ(損して徳取れ)

◆中国語:吃小亏占大便宜    [ chī xiǎo kuī zhàn dà pián yí ]

◆出典:清代の著名画家「鄭板橋」が広めた名言。

◆意味:損してでも一生懸命行えば人々が認めてくれて、よい仕事がまわってくる、との意。

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»「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」もご覧ください。

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