韓非子は「人は利益で動く」と言う 信じたくないけど現実は… 何事もお金目当て?

 

 

「今月から業務部門も総務部門も、“全社員営業”の考え方で頑張ってください。」

と号令をかけて、社内セールスキャンペーンを、営業職ではない社員向けに行いました。

営業職以外の社員が新規顧客の開拓に成功したら報奨金を出すというやり方です。
そうするとたちまち自信のある社員が動き出しました。報奨金狙いです。

施策が成功しそうな喜びもつかの間、今度は自分の本来業務をほったらかしにして、
「営業に打ち込む者]が出てきたのです。しかし、これはちょっと問題あり…想定外でした…。

 

 

「全社員営業」の号令には反応がない

成長するマーケットにあって、セールスを担当する営業社員を増員すれば、もっと業績を伸ばすことができるはずです。実際に、右肩上がりに経済発展を続けていた、当時のマーケットは営業パワーを投入すればするほど売れるということが実感される状況でした。

 

しかし、人を増やせば当然その分の人件費も増加します。結局、業績と人件費の伸びのバランスが課題です。したがって、現有の勢力で業績を今以上に伸ばすことができればそれに越したことはありません。

 

そこで思いついたのが、日本でよくやる「全社員営業」という考えです。
例えば、総務部の社員が取引業者を通じて新規顧客を開拓する、というふうに本来業務をこなしつつ、営業にも寄与するという都合のよい方法です。

 

しかしこの方法は、現地の社員には思ったようには受け入れられませんでした。

 

現地社員は自分の担当する仕事の範囲にはとても敏感です。営業職社員以外の社員の職掌の中には、「営業」という文字はありませんので、彼らは当然のごとく責任外のことはやりません。

 

ですから「今月から全社員営業の考え方で頑張ってください。」と言っても、皆ポカンとしています。
みんなで協力して会社の業績を上げると皆さんの給与も上がりますと動機づけをしたのですが、とても鈍い反応でしかありません。

 

報奨金には食いついた

ならば、ということで、セールスキャンペーンを非営業社員向けに行いました。

営業職以外の社員が新規顧客の開拓を成功させたら報奨金を出すというやり方です。

そうすると、報奨金狙いで、家族や友人を巻き込み、“営業”に動き出したのです。

本来の業務で得られる給料以外に報奨金をゲットできるとなると目の色が変わります。

 

韓非子が言う「人は利益で動く」とある通りです。

最初は、しめしめと思っていたのですが、しばらくすると、今度は自分の本来業務をほったらかしにして、営業に“打ち込む”社員が出てきたのです。しかし、これはさすがに会社としては望むところではありません。

 

結果的にはこの施策は大失敗、中国では合わないということがよくわかりました。

結局、それぞれの社員が自身の本来業務を通じて「新規顧客の開拓に貢献」するという、考えが妥当な方法であるという結論となりました。

地味でいささかインパクトには欠けますが、営業に協力した実績は年間賞与の評価に反映させるということにしました。

 

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余談になりますが…

業務サービスを顧客に提供する部門の社員には、直接営業貢献することとは別に、彼らが顧客に提供するサービスレベルを上げて、顧客から「さすが」と言わせるようなサービスを提供すること、を強調しました。

顧客を感動させるような高いレベルのサービスを提供しようという至極まっとうな戦略です。

 

そのためには彼らに対する教育が重要となります。毎月の集合教育やOJTで繰り返し指導しました。

そして、顧客から感謝状をいただいたり、ねぎらいの言葉を頂戴したときは当該社員を社内表彰し金一封も出すようにしました。

 

すると、今度はあろうことか社員が顧客に「ねぎらいの言葉」を要求するという、とんでもないことが発生しました。あきれるとともに一筋縄ではいかないことを痛感しました。

 

毒と薬 調合を間違えずに

結果的には、会社の「営業」実績に営業部門以外の社員達も関心をもつことになってよかったと思います。(やや、苦し紛れですが…)

それにしても、報奨金や表彰の金一封など、社内施策にお金を絡ませるときには、よく考えてやらないとうまくありません。毒にもなるし薬にもなる、それがお金です。

 

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 ♣♣♣ 中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言を解説 ♣♣♣ 

 

利之所在,则忘其所恶,皆为孟賁 / 利の在る所、則ち其の悪(にく)む所を忘れ、皆孟賁(もうほん)となる

◆中国語発音:[lì zhī suǒ zài, zé wàng qí suǒ è, jiē wèi mèng bì]

◆日本語表記:利之所在,則忘其所惡,皆為孟賁(「孟賁」とは、昔の勇者の名前)

◆出典:韓非子

◆意味:利益があるとなれば、誰でも怖さを忘れて勇者に変身する。

◆補足:人を動かしているのは仁や義、愛、名誉などではない。ただ「利」のみである。だから、利益さえ示してやれば人間を思うがままに動かすことができる。(これが韓非子の考え方。)

◆私見:この韓非子の考えには目の前の状況を見るとなるほどと思えます。しかし、いかにもドロドロしたものを感じ、私自身は同感を覚えつつも心の中では「人間、そうでもない」という思いも残してマネジメントをしていました。

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