人生の大病は只是一の傲の字なり 傲慢な上から目線は弊害でしかない

 

あるとき、大連空港のチェックインカウンターで、荷物検査のためスーツケースを開けるよう求められたある日本人搭乗客が、「俺は中国のために仕事をしに来てやっているのに、スーツケースを開けろとは何事か」と、大声を出しているところを見たことがあります。

搭乗手続きのために大勢の人が並んでいる中での出来事で、経緯は私にはわかりませんでしたが、なんともはや上からのもの言いです。

 

 

▮日本人の大きな勘違い

日本では、たかだか一部門のマネージャーとして、上と下に挟まれて汲々としていた人が、中国現地に派遣され仕事を始めたとたんに、現地ローカル社員に対して偉ぶって上から目線で接することが往々にしてあります。

 

そういう傲慢な人は、休日のゴルフに行っても、自分の腕前はさておき、キャディーさんにいかにも偉そうに当たったりして、なんと心が貧しい人たちかと思ってしまいます。「御里が知れる」とはこのことで、それに気がつかない実は寂しい人です。古来、中国では「傲」は諸悪の根源と言わんばかりに語られています。

 

現地の社員からは総経理だの部長だのと持ち上げられ、さらに多くの場合、運転手付きの専用車まで用意されるので、自分は偉くなったのだと勘違いをしてしまうからなのかもしれません。

▮謙虚と信頼

しかし、現地の社員たちは、そういう上司のことをいかに薄っぺらな人であるか、とっくに承知しているのです。傲慢でいるとそのことに気づきもしません。

「三国志」の劉備は常に謙虚と信頼をもって部下に接したそうです。その劉備が自身の子である劉禅にあてた手紙の中に、「賢と徳二文字が人を動かすのである」と書かれています。

 

苦境の中でも咲く蓮の花。傲慢さはありません。(大阪)

現地ローカルの社員のみなさんが支えてくれているからこそ、駐在員として、総経理や部長などの仕事ができているのです。

決して駐在社員が頑張っていることだけで会社が存在するのではないのです。そう考えれば、偉ぶったり、上から目線にはならないと思います。

役職では、自分が上であっても社員の皆さんは「仲間」です。

目線の高さを合わせ互いに補完しあって団結するところに、会社の発展があると確信します。

 

「賢と徳」を身につけるためには、自らが人間力(魅力)を身につける努力をしなければなりません。

仕事が「できる人」になろうとする前に、周囲に発散するほどの「人間的魅力」を身につけること。その努力を怠らないことの方が大事だと思います。私はそう考えています。

 

▮縦社会の中だからこそ普通の目線が活きる

そもそも中国は、親や学校の先生、お国のお説など「上」には従うような教育を受けて育ってきた人たちが多いいわゆる縦社会です。会社にあっても上司が偉そうに上から目線で部下に接するのは何の不思議もないごく普通のとこです。

社員はだまって言うことを聞くでしょう。しかしそれは表面的でしかありません。

 

一方で、総経理が上からの目線ではなく、社員達と同じ高さの目線、つまり普通に接すれば、「わが社の総経理は良い人だ。」と、きっと心を開き心服してくれるはず。そうして社員の心に入り込んでいくと、彼らはきっといい仕事をしてくれるはずです。中国ビジネスを成功に導くツボがここにもあります。虚勢を張る必要などまったくありません。

»「成功のツボ カテゴリー別記事一覧」もご覧ください。

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▮中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言

惟贤惟德、能服於人 / これ賢、これ徳、よく人を服す

◆中国語:惟贤惟德、能服於人  [ wéi xián wéi dé, néng fú yú rén ]

◆日本語表記:惟賢惟徳、能服於人

◆出典:三国志

◆意味:賢と徳、この二文字が人を動かすのである。(小さな悪だからといって、けっして行ってはならない、小さな善だからといって、けっして怠ってはならなぬ、との教え。)

◆背景:呉との戦いに敗れ、後事を丞相・諸葛孔明に託して死去した蜀の劉備が、息子の劉禅にあてた遺書の一節です。賢とは聡明さ、徳は人徳を表し、部下や国民を感服させ上手く用いるには、武力や権威ではなく聡明さや思いやりの方が重要だという。関羽、張飛、諸葛亮などの有能な人物から信頼を受け国をつくり上げた劉備の真骨頂があらわれています。

◆劉備玄徳のプロフィール

後漢末から三国時代にかけての武将。蜀の初代皇帝。関羽・張飛とともに義勇軍を結成し、黄巾の乱の鎮圧などを皮切りに勢力を拡大した。大きな度量をもって部下を信頼し、部下・民衆から信頼された。

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人生大病,只是一傲字 / 人生の大病は、只是一の傲の字なり

◆中国語:人生大病,只是一傲字   [ rén shēng dà bìng, zhǐ shì yī ào zì ]

◆出典:王陽明(伝習録)

◆意味:人生でもっとも害になるのは「傲」の一字である。さらに、「人と為って傲なれば必ず不幸なり」と。リーダーとして、よくよく心したい言葉です。

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狐假虎威 / 虎の威を借る狐

◆中国語:狐假虎威   [ hú jiǎ hǔ wēi ]

◆出典:戦国策

◆意味:他人の権威をかさに着て威張る小人。(狐が虎の威嚇を借りて他の獣を追っ払った、とい寓話から)

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»「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」もご覧ください。

 

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