中国でビジネス 方針・施策などを徹底するには…

 

 

どんな立派な方針を立てたとしても、
社内で徹底されていなければ何の意味も持ちません。

特に、歴史的に市場競争の経験が十分ではない中国人社員に、
方針や施策を徹底するのにはそう簡単ではありません。

日本国内の感覚でやろうとすると、強引に感じることがあり、
実働部隊である中国人社員には十分に伝わりません。

理解しているのは総経理一人だけ、などと言った悲劇は避けなければなりません。

 

 

この広い中国で「通り一遍」の考え方では…

私が中国に赴任して5年ほどのころ頃の中国は、いわゆる高度経済成長の真っ只中にあって、会社の運営も非常に楽観的でした。いわゆる「行け行け」でも会社は廻っていた時期でした。

そんなこともあって、マネジメントと言っても、日本本社から示される通り一遍の方針に基づいて、ただただ「がんばれよ」を繰り返す精神論が主流だったのです。

この広い中国では、地方によって人々の考え方、地域性やマーケットが大きく異なります。

日本から見るとそんなことには気がつかず、本社も「中国だからどこも同じ」とばかり、網をかぶせるような画一的な考え方を押し付けてきます。

国が大きいだけに、むしろよりきめ細かな施策やマーケッティングが必要であるはずですが、それぞれの地域にあるグループ各社には、自社のテリトリーの状況や、マーケット特性などに基づく、独自の施策などがなかったのです。

 

社員共通の目標としてビジョンを示そう

では、どうすればよいのか。

 

中国現地で事業を展開するのですから、例えば「5年後には売上〇〇元を目指す」とか、「地域一番店になる」などと言った、そのエリア、その会社(事業)にあったビジョンを、責任者である総経理が自ら考え策定するのがよいと考えます。

会社がビジョンを明確にすることで、社員は希望と勇気を持つことになると思います。いい会社に入ったときっと思うはずです。

例えすでに設立されていた会社であっても、それ以降の発展を展望したビジョン作りを行うことが、発展の基礎を固めることになります

出たとこ勝負ではなく、将来も発展を見据えた準備からリスタートすればよいということです。

何事も準備をしてとりかかれば成功し、準備を怠れば失敗するという意味のことわざが中国にもあるのです。

 

スポンサーリンク

 

”決めて発表する” だけで事足りれば苦労なし

せっかく定めたビジョンについて、社員たちに「共通の目標」として、浸透させることがどうしても必要です。

 

こんな事例があります。

日系の生産工場などでよく行われている「5S運動」。

朝礼で唱和し、管理者はそれで現場では実行されていると思っていました。ある日、そうでもないことに総経理が気付き、「なぜやらないのか!」と大きな声を出す。従業員は、日本人は細かいことばかり言う、と陰で愚痴をこぼしあう。

 

また、日本人経営の飲食店。月1回程度、経営者が日本から様子を見に来る。不在にしているときに備えて、「私語は慎みましょう」などという決め事を紙に書いて貼り出す。

でも、実は決めて貼り出しただけ。日本人経営者が日本に戻った後は、従業員はそんなことはどこ吹く風。昼過ぎの休憩中には、お店の玄関で調理人などが座り込んで、煙草を吸っているところを何度見たことか。

日本人経営者も、従業員の中で気の利いた信頼できる(と経営者が思っている)中国人を店長などに任命し、「ちゃんと管理しておいてください。」と言い残して帰国。しかし、よほどその人が優秀な管理者でない限り期待通りにはいきません。1か月後に来た時に唖然とすることになります。

 

それらのいずれもが、なぜそのようなルールが必要なのか従業員に対して、十分に理解、納得させていないのが共通点であると思います。日本では説明する必要もない、当たり前のことであっても、中国ではそうでもないということを経営者は知る必要があります。

 

すべての社員に浸透させる。それにはまず幹部社員から

私は、自身で会社の今後のあり様を考え直すことにしました。

「黙ってやれ」では今時通用しません。では、どうすれば主体性を持って皆さんに仕事をしてもらえるか。

思考の末に、みんなの力を結集して、大連で「業界トップになる」というビジョンを策定し、それを実現するためのテーマとして「顧客第一」を設定しました。

 

次の問題は、そのビジョンをどのようにすれば、すべての社員に浸透させることができるか、です。

 

そのことについて、まずは、そのビジョンの意図する理由や背景を、社員に理解させることが肝要だと考え、丁寧に、そして何度も説明しました。

社員の一人ひとりが「なるほど」と腑に落ちる所まで納得させること。そしてそれを共感してもらう。共感するということは実行に移すということです。

 

社員の皆に理解してもらうために、毎月の社内幹部会議、毎日の朝礼などを利用し、説明と訴えを繰り返しました。

また、ビジョンに向かっての年間方針を策定し、全社員を対象にして年間基本方針発表会を毎年1月に開催することを始めました。これは、以後、年間行事として定着しました。

 

そんな中でも、ビジョンを組織内に浸透させる鍵は幹部社員が持っていると考え、特に彼らを重要視しました。

社内会議はもとより、毎月のように幹部懇親会を開催し、食事をしながら理解を得るための意見交流を繰り返しました。

幹部社員が理解し、納得すれば、後は彼らがそれぞれの部下社員に説明をしてくれます。

 

スポンサーリンク

 

聞いただけではすぐ抜けてしまう…

会議や朝礼などで話を聞いた時には社員たちは理解するでしょうが、会議が終わると右から左へ抜けてしまうと考えねばなりません。日本で仕事をしていた時に自身がそうだった経験から、容易に想像できました。

そこで、啓発ポスターを作り、社内に貼り出して、四六時中、目に入ってくる状態を作りました。さらに、どうせならばと、そのポスターは自身で手作りしました。

目と耳と口でビジョンを語りかけ、社員が理解する接点を作ったことになります。

 

これらの施策はグループ内のどこの現地法人でもやっていなかったことで、いわば本社指示になかったことをやったものですから、上から煙たがられていたのかもしれません。

でも、社員の仲間たちが元気に、喜んで仕事をしてくれるのならそれで良いと判断しました。

 

「大連で業界トップになる」という会社のビジョンと、「顧客第一」とのテーマを理解・納得・共感という自分のモットーをベースにして訴え続け、以後の会社発展の原動力としました。

 

お客様は神様ではない。顧客第一主義で

中国でよく目にする「客戸至上」(お客様は神様です)というスローガンは、私は否定しました。

 

顧客の言いなりにはなりたくなかったからです。サービスを提供する私たちにも顧客に対して言いたいことはあります。だから「お客様は神様」ではなく、「お客を第一に考える」方が正しいのだ、と訴えたのです。

「顧客第一」は中国語では「客戸第一」となります。共に非常にシンプルですが、自己中心型の社会にあって、他者を優先して考えることを実行するには結構難しく、テーマとしては結果的に的を得たものになりました。

そして、時間はかかりましたが、社員達には周知徹底をすることに奏功しました。

 

社内で物事を徹底するには

・どこまでも丁寧に進める

・理解させ、納得を得、共感させる

・一歩一歩、時間をかける

風土が異なる地で物事を衆知徹底するには、我慢と根気が何より大事だと思います。
これらを乗り越えると、組織は自然と回転していきます。

 

スポンサーリンク

 

 ♣♣♣ 中国ビジネスを成功に導く ことわざ・格言を解説 ♣♣♣ 

 

事预则立,不预则废 / 事予めすれば則ち立ち、予めせざれば則ち廃す

◆中国語発音:[ shì yù zé lì,bù yù zé fèi ]

◆日本語表記:事予則立、不予則廃

◆出典:中庸

◆意味:何事も、十分に準備をして取りかかれば成功し、それを怠れば失敗するとの意。成功と失敗を分けるのは、まずは準備のでき具合による。十分な準備をして事に臨むことが大事。

 

▲元に戻る

Follow me!