6・18は自分記念日 中国のことわざ【捲土重来】 到来した敗者復活のチャンス

成田発上海行の機内でファイナルアプローチのアナウンスが。眼下には何故か赤茶けた色に染まった海、陸上に見える建物はレンガ色が目立ちます。こんな光景を見るのは初めてです。この先の上海での仕事はどうなることやら、不安がよぎります。

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捲土重来

 その大きな緊張と不安を抱えた旅は1998年6月18日のことです。上海現地法人の総経理(社長)としての事務引き継ぎのために上海に向かいました。

自分がその機内にいることが、つい二週間前には考えもつかなかったことです。今日までの忙しない二週間の中で、未知への不安と希望が入り混じったとても不思議な感覚です。そして、さまざまな出来事がよみがえってきます。

 サラリーマン生活25年目にあたる一年ほど前の大失敗。減俸処分と左遷人事に、もう人生は終わったと気落ちしてしまい、生気を欠いた日々を送っていました。しかし、同僚や先輩の激励のおかげで希望を持てるようになり、前を向くことができました。

 人生では失敗もあるでしょう。しかし、希望を持ち続けていれば再起のチャンスが必ず巡ってきます。大切なことはチャンスが来たことに気がつくように、4日頃から感性を磨いておくことです。そして「来た~っ!」と感じたら逃がさないことです。そうすれば再挑戦はできます!

 さあ、行こう、私自身にとっての新しい旅へ。「捲土重来」、敗者復活戦のスタート! 大きな失敗をしたけれど、先輩や友、そして 家族のおかげで再挑戦できるんだという思いが、顔を上げさせてくれます。49歳の再挑戦、もう失敗はできません。せっかく掴んだ復活のチャンス。むしろ「東山再起」を誓いました。

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初上海 地に足つかず

 ついに中国・上海に降り立ちました。当時は今の浦東空港はまだ建設中で、着いたのは虹橋空港でした。初めて見る上海の町の風景、初めて吸った中国上海の空気、えもいえない心地であったことを覚えています。出迎えの車に乗り、虹橋空港から高架路を会社のある浦東に向かって走りました。途中、車窓から見える高層ビル群に度肝を抜かれました。私がいた大阪よりもはるかにすごい景色に唖然としました。

 高ぶる気持ちが冷めやらぬうちに会社に到着、さっそく引継ぎが始まりました。前任者と通訳が話す日本語以外に、聞こえてくるのは上海語だけでした。この上海語が私にとっては、耳に突き刺さるような「音」としか聞こえませんでした

 まったく聞き慣れない「音」の嵐は退社時間にもなると、私をヘロヘロ状態に追い詰めてきます。会社を出て車に乗り込んだころには、気分も心ももの憂い「意懶心慵」という中国古典にあることわざが、ピッタリ。

 やっとの思いで仮住まいのホテルに帰りつくと、部屋のソファーに座りこんでタバコの煙を吹かすこと20分。やおらテレビをつけると、またもや中国語の容赦のない「音」が…

「謝謝」と「再見」しか知らない当時の私には拷問に近いものでした。 そんな毎日が二週間続き、引き継ぎが終了しました。

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始まった中国ビジネスへ挑戦

 その後、就労ビザ取得のため一旦帰国。日本で渡航荷物の整理、発送やその他の準備をすませ、1998年7月12日に正式に赴任をしました。前任者との引き継ぎ期間中は、半分は他人事のように感じていましたが、今日から一人で仕切らねばなりません。「形単影只」、強い孤独感と不安、一方で期待や気負いなどが入り混じる、何とも座りの悪い一日でした。

 中国ビジネスは全くの素人の私でしたが、その後14年半にわたって続いた中国駐在の第一歩がまさにこの時に始まったのでした。サラリーマンとしてしくじった後、10か月後に巡ってきた敗者復活のチャンス。ついに掴むことができたのです。

♣「冬は必ず春となる。それを信じて、腐らずに、弛まぬ努力が成功の源」の記事もご覧ください。

「成功を収めるための重要ポイント 現場目線で見たツボ」 はこちら 

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成功のヒント 中国のことわざ・格言

东山再起 / 東山再起

◆中国語:东山再起   [ dōng shān zài qǐ ]

◆出典:晋书·谢安传

◆意味:いったん勢力を失った後、再び地位を復活することを言う。

◆解説:晋代の謝安という高潔な官吏は若くしてその職を辞し会稽の東山という地に隠居してしまいました。しかし、その後、謝安は政界に復帰しました。
類語に「卷土重来」がありますが、こちらは、漢の劉邦と楚の項羽の故事に基づくものですが、項羽は再起できないまま自決しました。一方、謝安は復帰に成功しました。よって「东山再起」の方が縁起が良いと思います。(…私見です)

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卷土重来 / 捲土重来

◆中国語:卷土重来   [ juǎn tǔ chóng lái ]

◆出典:杜牧『題烏江亭』

◆意味:重ねてやって来るの意味から、一度は失敗した者が、砂ぼこりを巻き上げるがごとく、すさまじい勢いで再び勢いを盛り返すことのたとえ。

◆原文:【題烏江亭】 勝敗兵家事不期 包羞忍恥是男兒  江東子弟多才俊 捲土重來未可知 下線部は、「(項羽が)もう一度巻き返していたならば、歴史はどうなっていたかわからない」との意。つまり、項羽は戦いに敗れて自ら命を絶ったのであって、「捲土重来」はしていないことになります。

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意懒心慵 / 意懶心慵 

◆中国語:意懒心慵   [ yì lǎn xīn yōng ]

◆出典:广成子

◆意味:気分がけだるく消沈している様子。「懶」、「慵」いずれも、もの憂いとの意。

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形单影只 / 形 単にして 影 ひとつ

◆中国語:形单影只   [ xíng dān yǐng zhī ]

◆出典:韩愈(祭十二郎文)

◆意味:孤独で仲間がいないこと。形は身体の意。

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「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」はこちら

 

 

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