すわ一大事! 中国で面倒なことに緊急入院 【遠水近火】がヒント…

2004年8月25日の夕刻、瀋陽での事業展開について意見交換するために予定されていた会場に向かう車中で、突然込み上げてくるような何とも言えない胸の違和感に襲われました。ただ事ではない事態に迷わず病院へ直行。

病院では問答無用で緊急入院。聞かされた病名は冠心病(日本では狭心症)。

それまでの人生で大きな病気はしたこともなかった私が、よりによって中国・大連で入院とは! 初めてのことに頭の中は真っ白…

中国の病院でカテーテル

中国では普通ではあまり例がないらしい夜間の緊急入院。血液凝固を防止する注射をお腹に打たれ、ベッドサイドには脈拍や血圧などが波形とともに表示される機械が置かれ、いくつものケーブルが私の体とつながれています。テレビでしか見たことのない光景が、すぐそこにあるのですから不安が掻き立てられます。

医師の話しでは、カテーテルを入れて狭窄を起こしている冠動脈を拡張する手術が必要とのこと。

えらいことになりました!

 

翌日になって、日本の医師に電話。医師からは、いくら中国の病院でも飛行機に乗るよりリスクは低いとのアドバイス。腹をくくりそのまま入院、手術をすることにしました。

しかしそれからがたいへん。入院手続きや検査、診察その他にも慣れない「中国流」がいくつもあります。

患者とその付添いや家族なども一緒に来るからかもしれませんが、中国の病院はいつも多くの人でごった返しています。

受付から始まり検査や診察のどこも行列で、おとなしく待っていたのでは自分の順番はいつになるかわかりません。それに、先にお金を払うのが原則ですから、病院内のあっちへ行ったりこっちへ行ったりと、もう大変です。

さらに外国人の場合は言葉も大きな問題です。そんなことで単独で病院へ行くのはなかなかしんどいことなのです。

遠水は近火を救わず

健康であることに越したことはありませんが、なにせ人間は生身、不測の事態への備えることが安心して日頃の仕事に取り組めることにもなると考え、大連地元の医療サービス会社とサポート契約をしていました。私が発病する1か月ほど前のことです。

まさか自分がその利用者の第一号になるとは… あとから運命を感じることとなりました。

おかげで検査や診察の順番取りや費用の支払い、医療専門用語の通訳など、面倒なことはすべてその会社がやってくれましたので、私は本当に助かりました。

 

単身赴任していた私は、日本から妻に来てもらおうと思いはしましたが、勝手がわからないのだからかえって周りに負担がかかってしまいます。

中国のことわざに「遠水は近火を救わず」とあるように、このような緊急事態に直面して頼りになるのは近くの協力者の存在です。

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遠くの親戚 隣人には及ばず

私が緊急入院をしたことを聞きつけた仕事上の中国側パートナーが、政府ルートを使ってその病院でナンバー1の医師を主治医として手配してくれました。

その影響か、事務方や看護婦さんなど、一目置いた対応をしてくれました。

人治の国ではさもありなん、と思いつつもそういう存在があるのとないのでは対応に大きな開きが出てくるのもまた事実です。

おかげで、私は安心して手術を受けることができましたが。

 

中国の病院では日本のような完全看護は存在しません。よって、身の回りの面倒を見てもらえる人が必要になります。(それを職業にしている人もいますが…)

病院食もあるにはあるのですが、見ただけで食欲が萎えてしまいます。私は日本式牛丼やハンバーガーを買ってきてもらって食べていました。(病院側も病院食を食べる食べないはどっちでもよいということでした)

食事の買い出しや身の回りの面倒は会社の運転手やパートナーの方、それにこまごまと世話をしてくれた中国の友人等々に大きな負担をかけてしまいました。

遠くの親戚 隣人には及ばず」とは中国古来の格言。

いざというこの時に駆けつけサポートしていただいた、多くの中国人の方々の協力と支えがあって私の命がつながったと大大感謝です。

中国のことについては勝手がわかっているのは中国人であり、そこで生活する外国人にとっては普段から彼らとの付き合いは大切にしなければならないということです。

乗り越えた正念場

大連に赴任して合弁を組み直し、新しいパートナーと毎日コミュニケーションをとり、社内の幹部と連携を深め、社外の友人などを大事にしてきました。

そういったことの一つひとつが、入院治療を行う私を助けてくれることになったのです。

私は、多くの中国人の皆さんに支えられて、守られて命がつながったのです。そう確信をしました。自分がその中心にいてそのことがよく実感できました。

 

”人は病気を患うことによって人生の意味を見つめ、生命の尊厳に目覚め、そして充実した人生を歩むきっかけにしていくことができる”といいます。

入院・手術という大きな出来事は私にそのきっかけを気づかせてくれたのだろうと思います。

 

孟子が残した格言に「已むべからざるに於いて已むる者は已まざる所なし」とあり、人生の中の一つの正念場で、ここを突破すると大きな自信につながり、一回り大きく成長できるという。

この病気入院によってその後の仕事に対する考え方や、生き方が大きく変わりました。

そして、入院したことが、大連での事業が一瀉千里の大発展につながっていくことになったのです。

「中国ビジネス成功の決め手 現場目線で急所を解説」の目次はこちら

 

成功のヒント 中国のことわざ・格言

远水不救近火 / 遠水は近火を救わず

◆中国語:远水不救近火   [ yuǎn shuǐ bù jiù jìn huǒ ]

◆日本語表記:遠水不救近火

◆出典:韓非子

◆意味:遠くにある水では近くの火事を消すには間に合わない。火急の時には遠方の知人に助けを求めても間に合わないとの意。「遠くの親戚より近くの他人」と同義。

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远亲不如近邻 / 遠くの親戚 隣人には及ばず

◆中国語:远亲不如近邻   [ Yuǎn qīn bù rú jìn lín ]

◆日本語表記:遠親不如近隣

◆出典:元·秦简夫《东堂老》第四折

◆原文:“岂不闻远亲呵不似我近邻,我怎敢做的个有口偏无信。”

◆意味:緊急事態が発生して支援が必要な時、遠くにいる親戚は、近くにいる隣人がすぐに助けてくれることには及ばない。普段から遠くの親戚よりも隣人との付き合いを多い目にするべきであるとの意。

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於不可已而已者、無所不已 / 已むべからざるに於いて已むる者は已まざる所なし

◆中国語:於不可已而已者、無所不已   [ yú bù kě yǐ ér yǐ zhě, wú suǒ bù yǐ ]

◆出典:孟子

◆意味:やめてはならない所でやめてしまっては、何をやっても中途半端にしかならない。

「已むべからざる所」とは、ここで踏ん張らなければ、せっかく今まで築いてきたものを、失ってしまうといった時のことです。

その山を乗り越えれば、大きく展望が開けるはずです。もしそこで踏ん張れずに挫折したら、一生それを引きずって生きていかねばならなくなります。そこで人生の明暗が分かれるとその格言は教えています。

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「現場目線で読み解く 中国のことわざ・格言」はこちら

 

 

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