中国の大連では歯車を回す立場に 堅忍不抜は楽ではないがこれがやりがい?

日本で仕事をしているサラリーマンは、会社組織のいわばちっちゃな歯車。大きな歯車からくるくる回されています。自身で起業した場合はもちろんですが、中国へ派遣された現地子会社の責任者となると、今度は自分が最も大きな歯車となって、他の小さな歯車を回す立場になります。ところが…

不作為の罪を犯すバカ

上から何の指示もないのに、もし自分で何かをして失敗したら怒られるし、以後の出世にも影響するかもしれません。であるならば、指示されていないことは何もしないでおこう、その方が得策というもの。

日本ではいつの間にかそう考える社員が、とても多くなりました。本社も口では加点主義だから、失敗を恐れずに…、なんて言いながら実は減点主義で社員評価をしている。そんな現実も…

百歩譲って、日本ではそれでもいいとしても、本社から派遣されている中国現地でそんな総経理(社長)がいることは、如何なものか。

中国に赴任してからも相変わらず “小さな歯車” として本社を頼み、日本への帰任指示が来るまで、大樹の下で涼んでいようとばかり、不作為を決め込んでいる。

しかし、それは、自分さえ良ければそれでいい、仲間の事や部下である現地社員たちの事、社会の事などを何も考えない、寂しい考え方と言わざるを得ません。

それに、そんな総経理は現地社員からすぐに見透かされてしまい、適当な仕事しかしなくなり、結果としては彼らにとっても不幸なことでしかないのです。

渋沢栄一翁はこう言っています。「事なかれ主義で何もしないで暮らすことは、実は罪悪な行為であることに気づくべきである。」と。

巧遅は拙速に如かずとは言うけれど

「巧」と「拙」。それに「遅」と「速」。総経理にとって悩ましい問題です。確かに中国でも「巧遅は拙速に如かず」と孫子のことわざにあります。ということでスピード第一、「拙」でもいいから「速」を追いかける。すると、いつのまにか、「巧」が置いて行かれて何とも粗削りなものになってしまいます。

孫子が言っている格言は、そうすべきときもある、がそうではないときもある、ということではないかと私は思います。

仕事は速さと出来栄えの両方を同時に追究するのがよいと私は考えます。しかし、現実には同時に両方をするのはそう簡単ではないので、状況を見てスピードを重視する、巧を重視する、という采配を総経理が振るえばよいことです。

総経理が懸命に、そして真剣にやれば、きっと総経理の思いは周囲に伝わるはず。
そして、結果が出たら、その如何を問わず寛大な態度で社員を評価すること。それを続けていれば思いもしない成果が出る。私はそう思います。

二つの内どちらか一つを取るのは誰にでもできることであり、挑戦すべきはその両方を狙うことです。

 

恕とは思いやること

「組織であれ企業であれ、そこに生活する人々に、指導者が平等と尊厳の心で接するならば、人々は自発的な献身に目覚めて立つ。そのとき、社会や組織、企業は真の繁栄へと向かう。」とは米国ハーバード大学ヒックス博士の言。

責任者たる総経理が、社員を見下したり威張ったりしていては、会社の発展はおぼつきません。加えて、論理的であるだけでなく、相手の「感情」に訴える説得力を持つことが求められます。どちらかと言えば、論理よりもむしろ社員の感情に訴えかけることにウエイトを置くのが良いといえます。

その出発点が「恕」を大切にすること。恕とは相手を思いやることです。「身に藏する所恕(じょ)ならずして、而も能(よ)く諸を人に喻(さと)す者は、未だ之れ有らざるなり」とは「恕」がいかに大切であるかを言った格言です。

それにより、社内に一体感が芽生え強い組織に成長していくということです。その総経理は魅力的なリーダーとして周囲の目に映るのではないでしょうか。

経営陣と社員が一体感を持った会社は、業績も右肩上がり、日本本社も文句が言えなくなります。すると、自分がイメージした通りの運営ができるというものです。好循環の出発点は総経理自身にあると私は考えます。

堅忍不抜

経営学者のドラッカー(Drucker)は、リーダーシップは賢さに支えられるものではなく、一貫性に支えられるものである、と言いました。

「一貫性」とはすなわち「ぶれない心」だと思います。その「ぶれない心」を生み出すのはその人の持つ「信念」であり、信念に裏打ちされた「努力」、そして「忍耐」であるということを学びました。

堅忍不抜(けんにんふばつ)とは、古くからの中国のことわざ。やはり、昔から、ぐらつかないことが求められているのです。

少々のことではぶれない総経理に対し、社員達はきっと安心感を持ち、総経理を信頼していい仕事をしてくれるはず。そう確信します。

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中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言

巧迟不如拙速 / 巧遅は拙速に如かず

◆中国語:巧迟不如拙速   [ qiǎo chí bù rú zhuō sù ]

◆出典:孫子(作戦)

◆意味:いかに上手であっても遅いのは、たとえ下手でも速いのにはかなわない、との意。(しかし、その言葉は、うまくやろうとするな、とは言っていません。私は「巧」且つ「速」を求めることに挑戦すべきと考えます。)

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坚忍不拔 / 堅忍不抜

◆中国語:坚忍不拔   [ jiān rěn bù bá ]

◆出典:宋·苏轼(晁错论)

◆意味:意志堅固でぐらつかないこと。困難を耐え忍び信念を貫くこと。

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所藏乎身不恕 / 身に蔵する所 恕ならず

◆中国語(原文):所藏乎身不恕,而能喻诸人者,未之有也   [ suǒ cáng hū shēn bù shù, ér néng yù zhū rén zhě, wèi zhī yǒu yě ]

◆日本語読み下し:身に藏する所恕(じょ)ならずして、而も能(よ)く諸を人に喻(さと)す者は、未だ之れ有らざるなり

◆出典:大学

◆意味:身に備えている所の徳を、他人に真心から及ぼさずして、人に道を諭すことのできる人はいない。他人を思いやる心とは、相手の立場で考えるということ。すなわち自他共の精神で接するのが良い。

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大树底下好乘凉 / 寄らば大樹の陰

◆中国語:大树底下好乘凉   [ dà shù dǐ xià hǎo chéng liáng ]

◆日本語表記:大樹底下好乗涼

◆出典:元·刘弘嫁婢

◆意味:大樹の下は涼を取るのに適している。転じて、他を頼み、事をうまく運ぶ。自分では労せずに成果を得ること。寄らば大樹の陰。

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