中国のことわざに【少見多怪】とある 干支がブタ? 十三点? 二百五? なにこれ…

上海でタクシーの運転手が舌打ちしながら「十三点!」と小声で憤っている。そんな光景に遭遇したことはありませんか?

どうも他の車の運転手をめがけて罵っているようです。日本ならさしずめ「てめぇこの野郎!」というところでしょうか。

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十三点!

割り込みされたり運転中に気に入らないことがあった時、相手に対して彼は「十三点!」と罵るのです。大声でいうと喧嘩になりますからもごもごと言って発散するのです。

上海でよく言われるこの「十三点  は人を罵るときの言葉です。

由来はこうです。

上海と深圳にある中国の株式取引所では、以前、この二つの取引所の時間を正確に保つ為に、一時は鐘一つ、 二時は鐘二つ、 三時は鐘三つという具合に、一時間ごとに鐘を鳴らしていました。ある時、深圳の株式取引所で12時に13回鐘が鳴らされました。この事を上海の人は深圳が13回も鐘を鳴らしたとして、嘲り笑ったということです。

つまり、「わけのわからないことをする間抜けな奴だ、頭がおかしいんじゃないか。」ということです。

 

入境问俗

私がいたころの上海では、外地人(よそから来た人)の運転手が結構いて、上海の道路に不慣れでもそれは仕方のないこと。ある時、乗ったタクシーは正にそんな運転手さん。かくいう私は中国語を習いたてであったので、行先をメモに書いて運転手に差し出しました。そこに書いたのは誰でも知っている有名百貨店の名前。そのメモを見ても彼は場所がわからないというのです。そこで私はお世辞にも上手ではない中国語で、どこどこの交差点を左折し、まっすぐ行ったところ、と言う具合に説明しました。

車を出したので、よっしゃ、と思ったその時、彼はすぐに車を止め、通行人に場所を聴き直していました。何故に? (私の中国語が通じていなかった…?)

 

上海語は単なる方言とはいえ、大連の人にしてみるとまるで外国語。上海人には上海語が最も通じやすいのは当然。そこでタクシー用語を上海人に教えてもらって、「そこを右に」「ここで止まって」などは上海語でいうようにしました。これが見事に決まるのです!

 

それに、客が上海人でないとわかった運転手は、ときに遠回りしたり悪さをします。そんなことの予防にも上海語は役に立ちました。

例えばオールド上海の観光スポットである「豫园 へ行くとき、豫园の地元での名称である「城隍庙 」と告げるとスムーズに到着できます。私が住んでいた「古北新区」も上海語読みで伝えると一発でした。

中国古典には「入境问俗」、入境するに俗を問う、とありますが、その土地に倣うのが大事であると思います。

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二百五

大連駐在時代に、社内で新規顧客の開拓数値目標の設定について幹部社員と議論していた際に、私が「250件でどうか?」と言うと、皆は怪訝な顔つき。変な雰囲気が漂いました。

そして幹部からは「では260件にしましょう」と。

聞いてみると「250」は中国語で「「二百五 」という表記になり、その発音は「頭がおかしいのではないか」という意味にもなるとのことでした。それを目標数値にするには聞こえが悪いというのです。

なぜそうなのか調べてみると諸説紛々、とても面白いことがわかりました。そのうちの一つはこうです。

昔の中国では銀500両を「一封」、250両を「半封」と言ったそうです。「半封」と同じ発音の言葉に「半疯」というのがあります。「疯」とは気が狂っていることを意味し、250は「半疯」、つまり「頭が普通ではない」ことを意味するようになったそうな…

ということで、中国人と会話しているときに「二百五」というと変な顔をされますよ。

半封 

半疯 

 

見知らぬ乗客に渡す電車賃

大連の市街地を走るレトロな路面電車(2015年)

私が駐在していた大連には、中国では珍しい路面電車が走っています。満州時代のものが今も現役で走っているのです。市内の公共バスも路面電車も運賃の基本は1元。

ICカードで払う人が多いですが、現金派も少なくありません。現金の場合は乗車時に払います。私も休みの日に時々乗りました。

あるとき、運賃箱に1元を入れようとすると、横に立っていた見知らぬ乗客が手を出して「俺にくれ」と言っています。「…?」

最初は意味がよくわからなかったのですが、よくよく聞いてみると、その人は1元の小銭を持っていなかったので、5元札を運賃箱に入れたようです。しかし、お釣りが出るようなシステムはないので、あとから乗車する人から4元をもらわねばならない。だから、運転手の横に立って次に乗る人を待っていたという訳でした。

私から1元を回収した彼は「あと3元だ。」と呟いていました。おおらかなのでしょうか?

 

干支がブタ

十二支は中国から日本に伝わりましたのでどちらも同じですが、十二番目の亥年が少し様子が異なります。亥年の動物は猪。この「猪」という漢字は中国では「豚」のこと意味します。「豚肉」も中国では「猪肉」という具合です。

中国では「野猪」がイノシシを意味する単語です。つまり、亥年を表す動物は「猪」ですが、それは日本では「イノシシ」のことで、中国では「ブタ」のこと。人から干支を問われると「ブタ」です…

 

ところで「ブタ」に関する「遼東の豕(いのこ)」ということわざがあります。誰でも知っていることを自分だけが知っていると思い込んで得意がるという意味。

「豕(いのこ)」は、豚の異名で、「遼東」は中国遼寧省南部一帯を指します。そして遼東半島の南端に位置するのが大連。それにしてもわが愛する大連のことを「遼東の豚」とはいかなることか?

いささか憤慨の念を持ちたくなりますが、冷静に考えると、「少見多怪」とのことわざにあるように、見聞をしっかりと広め、少々のことでは驚かないようになりたいものです。

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中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言

入境问俗 / 入境するに俗を問う

◆中国語:入境问俗   [ rù jìng wèn sú ]

◆出典:礼记(曲礼)

◆意味:別の国に入るときには、まず禁止事項や風俗習慣を問い、間違いを犯さないようにすること。郷に入っては郷に従え

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辽东之豕 / 遼東の豕(いのこ)

◆中国語:辽东之豕   [ liáo dōng zhī shǐ ]

◆出典:後漢書(朱浮传)

◆意味: 世の中で知られていることを、自分だけが知っていると思い込んで得意がることの例え。

◆故事:昔、中国・遼東で頭の白い豚が生まれ、珍しいので朝廷に献上しようと河東地方まで来た。そこで見た豚はみな白かったので恥ずかしくなり引き返した。

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少见多怪 / 見聞少なく怪多し

◆中国語:少见多怪   [ shǎo jiàn duō guài ]

◆日本語表記:少見多怪

◆出典:漢・牟融(牟子)

◆意味:見聞が少ないと、ありふれたことでも不思議に思う。その後、転じて見聞が少なく常識のない人を嘲る意味で使われるようになりました。

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