中国ビジネスの戦場には論争好きがいっぱい しかし「負けるが勝ち」はあり得ない

 

 

中国では屁理屈も含めて、理屈っぽい人、弁の立つ人がとても多い。

あるとき、「顧客と議論して勝った!」と意気揚々と戻ってきた若い社員がいました。
お客と議論してどうするんだ、と叱りましたが、とにかく彼らは議論好き。
そして、議論に勝つことに快感を覚えるようです。

そんな環境の中国で仕事をしていると、合弁パートナー側や社内の社員との間で、
議論、討論をする場面がたびたびあります。

日本人として、そのとき、どうする…? 負けるが勝ち…?

 

 

 

双方に疑心暗鬼の心と不信感が芽生える 負のスパイラル 危うい日中合弁

日系企業が中国で事業を展開するということは、日本独資形態であったとしても「日本」と「中国」という異なる二つの事情の中で成り立っています。

それが「日中合弁企業」ということになると、出資者間の利害や様々な思いが絡み、時として両者間で争いにもなります。

 

もとより、お互いの長所を合わせることで、事業の成功、発展を期すのが合弁です。

例えば、日本側は事業についてのノウハウや経験を、そして中国側が土地や建物を提供し合弁を成立させる形態です。

 

日中双方が合弁することに合意し、握手を交わしたとしても、思惑は必ずしも一致しているとは限りません。つまり、合弁企業には最初から危うさを含んでいるといえます。

 

日本側は合弁企業を通して自社の製品などを中国マーケットに普及させたい、また、コストを抑えた製品を製造したい、等々バラ色に輝く近い将来の姿を思い描き、一方で中国側は、投資金を速やかに回収し、利益を得ることを夢見ている。

双方が握手をし、杯を交わしながら別々の夢を見ています

 

しかし、そうはうまくことが運ばないのが世の常です。中国側の出資者は、合弁企業が立ち上がった次の日にでも利益は出る、くらいの思いを持っています。日本側は、そうではなく、ある程度時間をかけて事業を継続していれば、利益は後からついてくると考えています。

 

そこで、業を煮やした中国側から文句が出てきます。そして双方のギクシャクが始まり、相互不信が生まれ悪循環に陥るケースが厄介です。

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日中合弁のギクシャク 立て直すのにも理論・討論

私が1998年に赴任したのは、設立されて4年ほど経過した上海の合弁会社です。

4年もたっているのにまだ1元の利益ももらっていないと、口を開けばそう文句を言っている上海地元のパートナー。悪いのはお前たちだと言わんばかりです。

 

更に複雑だったのは、本社が北京に設立したグループのホールディング会社から派遣されてきていた経営幹部の評論家のような存在です。

上海、北京、日本の三者がそれぞれの利益代表として振る舞い、まるで船頭さんが三人いるかのようなバラバラの状態でした。

 

そんな状態で、お互いに口を開けば相手への悪口三昧。本来中国市場の開拓に注ぐべきエネルギーは社内でくすぶっていました。そんな状態では、会社運営を行う幹部に団結も何もあるはずはなく、中国ビジネスが成功するわけもありません。

 

 

負けてはならない論戦に

そのような状態から脱して、成長軌道に会社を乗せるため、正面からの議論を持ちかけました。負けてはならない論戦です。

 

出身母体はそれぞれ異なっていても、同じ一つの会社の運営を担っていることが共通点である。

それはちょうど一つの船に乗っているようなものです。互いの思いや考え、担当する職務は違っていても、同じ船に乗っているのです。

 

そうであるならば、船が目指す方向に向かわねば皆が大変なことになります。

出身母体などの違いを乗り越えて、多くの社員達と一緒に乗っているこの船が、目的地に到着できるようにリードし、運営に努力をしてもらいたい。

 

誰にも反論できない「正論」をもって、具体論を経営幹部にそう訴えました。誰からも反論はなく、社内も落ち着きを取り戻しました。

 

唾を飛ばしながらの論争になった場合でも、中国の現場では一歩たりとも退いてはなりません。もちろん恫喝したり大きな声を出すのではなく、どこまでも冷静に、理路整然と。

相手が合弁相手方であれ、自社の中国人社員であれ、同じことで、理論や議論で負けてはなりません。

もしも、社員に負けてしまったら、その後、制御不能に陥りかねません。

 

日本では「負けるが勝ち」とばかり、その場を収めることもビジネスシーンでは多くありますが、中国人にはそんな気遣いはありません。中国語辞書を調べてみたら、「以退為進」(前進のために退く)という言葉がかろうじて見つかったくらいです。

 

 

3つのツボで理論を構築

1.正論に勝るものはなし。
…自社の経営理念がたいへんに役立つ。日頃から周知させておくとなおよい。(もし、会社理念がなければ自分で作る。)

2.自他共の精神で。…自分の利益だけを考えたのでは相手の納得は得られない。

3.相手のメンツは守る。…これをおろそかにすると相手は承服しない。

 

それらのツボは、総経理が必死に頭を巡らし、誰もが納得する具体的な理論を考え、展開しなければなりません。その理論はきっと合弁当事者の双方に幸福をもたらすことになります。

極論すれば中国市場を開拓する合弁企業の成否は総経理にかかっています。

自他共の精神で誰もが納得する理論武装は、合弁の基礎を強くすることになり、
中国ビジネス成功の第一歩でもあります。

 

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 ♣♣♣ 中国ビジネスの成功を勝ち取る ことわざ・格言を解説 ♣♣♣ 

 

同床异梦 / 同床異夢

◆中国語:同床异梦

◆中国語発音:[ tóng chuáng yì mèng ]

◆日本語表記:同床異夢

◆出典:陳亮「与朱元晦書」

◆意味:同じ寝床に寝ていても、それぞれ違った夢を見ること。 転じて、同じ立場にありながら、考え方や思惑が違うことのたとえ。

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[解説]

 

以退为进 / 退くをもって進むとす(負けるが勝ち)

◆日本語表記:以退為進

◆中国語発音:[yǐ tuì wéi jìn]

◆出典:漢·揚雄《法言·君子》

◆意味:負けるが勝ち

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